接客が大好き
もう10年以上も前、私がアパレル販売員として働いていたのは、大型ショッピングモールの中にある店舗でした。
そのショッピングモールでは、接客ロールプレイングコンテストが開催されたり、どの店舗も活気があり、販売員は切磋琢磨しながら働いていました。
午前中の客層は主に主婦のお客様で、お子様連れのお客様も多くいらっしゃいました。
私は、販売員の仕事の中で一番接客が好きでした。
お客様は必ずしも欲しい商品が決まった状態で来店されるとは限らないのですが、丁寧にニーズをお聞き出しながら、ホスピタリティの心を持って応対します。
そして共感、傾聴、寄り添いの中で聞こえてくる本音をキャッチし、喜ばれる提案をすることに楽しさを感じていました。
上手くいかない
そんな接客を楽しんでいた私が上手くいかなくてしばしば悩んでいたのは、お子様連れのお客様の接客でした。
お母様を接客していると、お子様は飽きてしまうことが多々あります。
接客の中で必要なやりとりもあり、お話は長引きがち。お子様が飽きるとお買い物どころではなくなり、こちらも焦ってしまったりして、お買い物の途中で退店されてしまうことも。
このバランスがなかなかとれず、簡潔に接客する方法を試したりもしましたが上手くいかず。お子様に比重を置くとお母様が満足されず。
色んな角度から考えようと、独身なのに育児本を手に取ったこともあります。
お母様とお子様の両方に満足して頂ける接客をするのは、あの頃の私にはとても難しかったのです。
その時助けてくれたのが、育児経験のあるスタッフでした。
育休中にスキルアップ
子育て中の今なら、お子様にはお母様のお洋服を見てもらう役割なんかをつくって、楽しみながらお相手ができるでしょうし、お母様に対しても子供を連れたお買い物に苦労する気持ちや、体型の悩みについてもよく理解できます。
しかし当時は体型が産前と変わって新しくお洋服を買いに来られる時の不安な気持ちや、そもそも体型が変わる悲しさなど細かな気持ちまでは理解しきれていませんでした。
体型が変わったために勇気をだして買う初めてのデザインのお洋服を前にして、どれを選んでいいか、サイズ感や似合うデザインは?第三者からの客観的なアドバイスがほしい...。そして、子供から目を離さず必要な買い物をしたい。このようなことを経験せずに想像することは容易ではありませんでした。
上記の内容は、まさに現在の私の体験談ですが、今、私が販売員でしたら、選ばれたお洋服に対し、それまでその人が大切にしてきた"その人らしさ"や"個性"がプラスできるアイテムをご提案し、"新しい自分"を見つけるサポートができます。
色んな経験をした上で、時代や内面、体型の変化にもしなやかに対応していける方法をお客様と一緒に見つけ出すお手伝いができたら嬉しいです。
新しい自分
アパレルの販売は0を1にするお仕事です。
話の進め方や言葉の選び方など、細部への気配りが大切です。
商品の魅力に頼らず、接客スキルを磨くことができると自信にも繋がります。
お洋服を買いに行った時に、たくさんの商品知識を持った販売員さんの意見を聞けると、とても楽しいです。
中でも自分と同じような気持ちを持つ販売員さんからアドバイスをもらえると、お買い物がますます楽しくなりますよね。
トレンドの最前線で様々なお客様を応対している販売員さんには目に見える資格こそありませんが、一人一人が持つ知識や対応力は膨大にあります。
そこに様々な経験をプラスして引き出しを増やしていきます。
育休中であれば、子育ての経験でスキルアップした新たな自分をプラスすることができます。
新たな客層へのアプローチが得意になったり、当時の私のような育児未経験のスタッフを助けることもできます。
育休に入る前や、育休から復帰する時、現場との距離感から不安になることもあると思います。
復帰後は以前と同じ店舗に配属されなかったり、年齢層が上のブランドに配属されることもあるかもしれません。
しかし、だからこそ今の自分の強みを再確認し、ぜひ自信を持って復帰して欲しいと思います。
きっとこんなご時世なので、業務内容に沢山の支障が出ていると思います。辛いなこともあると思いますが、子育てをしながらお仕事に向かうお母さんの後ろ姿をお子様も応援してくれていると思います。