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「柑橘類やキウイ、いちじくなどの果物・野菜に含まれる成分『ソラレン』がシミを増やすから、午前に食べないほうがいい」という話、聞いたことがありませんか? 多くの場合、レモン、オレンジ、グレープフルーツ、みかん、グレープフルーツなど柑橘のほか、キウイ、いちじく、じゃがいも、セロリなどが該当するとされます。
「これは誤情報が広がってしまったもので、多くの野菜・果物は無実です」と語るのは、駒沢女子大学健康栄養学科 教授 西山一朗先生。えっ、そうなんですか!? 私はてっきり、柑橘はシミの元だと思い込んでいました。詳しく伺います。
「確かに『ソラレン』の摂取で日焼けが増すこと自体は考えられます。しかし、多くの野菜や果物は無実の罪です。たとえばキウイフルーツはそもそもソラレンを含みませんし、オレンジ、いちじくの場合は考慮する必要がないであろう含有量に過ぎません。推測ですが、いちじくについては『いちじくの葉に存在する』という趣旨の論文の『fig』という単語だけを拾って、果実と勘違いしたのではないかと考えていますし、じゃがいもに至っては『ソラニン』との混同ではないかと」
じつは西山先生は「キウイ推し」を自称するくらいの熱心なキウイファン。「日焼けが怖くて朝食にキウイを食べられない」という女性の声を聞き、事実確認のために文献を調べたものの、危険を示唆するデータが見当たらないため、実際にご自身でキウイのソラレン量を測定して無実を証明したそうです。
「さらに、なぜこのような誤情報が広まったのかを調査し、訂正依頼をメディアに自ら行うようになりました。キウイについてはもともとは2011年の1つの記事の誤情報が原因のようです。それが訂正されないまま拡散され、500以上の記事に無実の野菜・果物が列記されてしまいました。大変残念なことですので、この機会に皆さんも認識を改めてください」
しかし、挙げられたすべての野菜・果物にソラレンの含有がないわけではありません。西山先生の文献調査によれば、たとえば、レモン、ライム、グレープフルーツ、セロリ、パセリなどは確かにソラレンを含有します。
「ソラレンそのものは尋常性白斑という病気の治療に医薬品として使われることもある成分で、服用から1時間ほどで効果が出るとされます。そこで、『どのくらいの量食べたら日焼けを増す可能性があるか』も推定しました。薬剤での1回あたり成分量は20㎎ですので、安全側を大きくとって半量の10㎎で計算すると、グレープフルーツは457g、パセリは263g~で影響も考えらるかもしれません。作物の品種や産地、収穫時期などによって含有量は変化するため、何gまでは安全とは言うのは大変難しいのですが、少なくともキウイはそもそもソラレンを含んでいないためまったく安全ですし、オレンジやいちじくも考慮の必要はないでしょう」
上記の表を眺めてみても、気を付けるべきは先生のご指摘通り、グレープフルーツ(中サイズ1つの可食部約300g)と、パセリくらいだと感じます。例えばライムは1㎏、レモンならば30㎏となると、わざわざ我慢する必要もないだろうとわかります。
「柑橘の場合は皮に含まれるが実には少ないなども部位による違いもあり、たとえばマーマレードにしたらどうなるか等もあります。が、少なくとも、朝、キウイを食べたいけれど、日焼けが気になるという人は大丈夫。これからは気にせずたっぷり食べてください! 改めて、日焼けに関係ある『ソラレン』はキウイには含有されていません」
西山先生も太鼓判。キウイやオレンジは毎朝安心して食べてください! なお、他の野菜の含有や、誤報が広がった経緯など、より詳しい情報はぜひ西山先生がご自身で書かれた以下の記事をご参照ください。
この記事のライター
OTONA SALONE|オトナサローネ
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