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「1ヶ月間の男性育休取得率100%」を6年連続で実現するなど、早くから育休制度の設計や運用に乗り出しピジョンは、失敗や試行錯誤を経て蓄積されてきた同社のナレッジを公開しました。
ピジョンでは、改正育児・介護休業法の施行に関連した意識調査(※1)や、社会状況の把握を目的とした企業ヒアリング(※2)を行ってきました。
その結果、明らかになったのは男性社員の育休取得に関する3つの壁です。
意識調査や企業ヒアリングから見えた課題とアクション
「育休に対する経済的な不安を抱える社員に対し、国の仕組みや社内制度の説明が不足している」「育休取得対象者が、職場への後ろめたさやキャリアへの影響を不安に感じている」「男性の育休取得に対する職場の理解が不足している」という課題があることがわかりました。
この3つの課題は、同社が2006年に社内調査を行ったときの結果と非常によく似ています。
ピジョンが2022年1月に全国に住む25~39歳の既婚男性を対象に行ったWEBアンケート調査より、「育休を取得したくない理由」(n=62、MA)
そこで同社では、課題解決に向けてさまざまな取り組みを実施。2006年に開始した、1ヶ月間有給で取得できる育休「ひとつきいっしょ」は試行錯誤を経て、現在では「1ヶ月間の男性育休取得率100%」を6年連続実現しています。
今回は、「社員で作り上げる育児制度プロジェクト」を経て改訂した同社の育児休暇制度や、育児休暇を取得した社員の声を紹介します。
同社が上記の課題について行ったアクションは下記の通りです。
●育休制度の理解を深めるための個別フォロー出産予定日の報告を受けた時点で育休制度の詳細を説明すると同時に、育休を取得する場合の「雇用保険育児休業給付金の受給額」や「社会保険料の免除」などの仕組みを、各社員のケースに沿って、給与額の試算なども交えつつ個別に説明。どのタイミングで育休を取得するかを、社員と家族で相談してもらえるよう働きかけも行います。
●経済的な不安を解消する制度設計2006年には、男性でも取得しやすい有給による1ヶ月間の育休制度「ひとつきいっしょ」を導入。失効年休を積立てた「積立休暇」と、会社が付与する「特別休暇(有給)」を利用する制度で、1ヶ月間育休を取得しても経済的な不安を抱えずにすむのが特長です。
ピジョンの1ヶ月間育児休暇「ひとつきいっしょ」の仕組み
●育休取得に対してトップが発信する、強く前向きなメッセージ「育休取得対象者が、職場への後ろめたさやキャリアへの影響を不安に感じている」という課題に対しては、トップから「男性も当たり前に育児をする会社でありたい」「積極的に育児をしてほしい」というメッセージを全社的に発信。トップから発信されることで、社員全員が共通の意識を持ち、育休取得に不安や後ろめたさを感じていた取得対象者本人も、安心して育休が取得できるようになりました。
●自己申告制度で心理的なハードルを下げる同社には自己申告制度があり、「プライベート・家庭状況について会社に伝えておきたいこと」についても自由に自己申告が可能。今後の妊娠・出産予定や介護の可能性などの情報もあらかじめ伝えておけるため、育休取得申請への心理的ハードルも下げることができます。
●スムーズな引き継ぎを可能にする体制の整備男性社員からは、経済的不安のほか、「育休期間中の業務に対する不安」や「上司や同僚へ迷惑をかけるかもしれず心配」という声も挙がっています。そこでスムーズな業務引継ぎ体制を築くための、妊娠を早く申告できる体制整備も整備しました。
とはいえ、「ひとつきいっしょ」の制度導入後も、取得率はなかなか向上しなかったという同社。そのために、社内風土を醸成する必要がありました。
●「育休を取得しない」という場合は、社長への報告するルールを導入「ひとつきいっしょ」を浸透させるために、同社では育休に送り出す側の上司や同僚の意識も変えるルールを導入初期に設けました。「育児休暇を取得しないと申し出た社員が出た場合は、所属長から社長へ理由とともに報告する」というもので、その結果、送り出す側も「きちんと育休を取らせ、育児をしてもらおう」という意識へと変化。その後は育児休暇取得率100%を維持しています。
●ネーミングを社内公募し、愛着を持ってもらう「ひとつきいっしょ」のネーミングは、制度を知り、愛着を持ってもらうために、社内公募で決定。社員を巻き込むことで、育休を身近に感じてもらう工夫を行いました。
●育休だけが特別じゃない、全社的な働きかけ育休以外の理由での休みも取得しやすいように、働き方の最適化や休みを取得してのリフレッシュなども推進。誰もが休みを取れる・取りやすくなるための働きかけを行いました。
こうした取り組みを行ううちに、育休へ送り出す社員を温かい気持ちで送り出そうという心遣いが社内で根付くようになりました。現在では、寄せ書きや復職時のWelcomeメッセージづくりなども自然な形で生まれています。
寄せ書きや復職時のWelcomeメッセージ
実際に、育児休暇を取得した社員の声を紹介します。
2022年4~5月に第2子の誕生に伴い2度目の「ひとつきいっしょ」を取得した社員Oさん(研究企画職)。「育休取得の個別相談により、取得の半年前に取得時期の把握ができたので、事前の業務調整も行いやすかったです。育休中は長女の世話の大半が父親担当になったことで、長女のケアにも時間を割くことができました」とコメント。
また仕事面では、「将来的に同僚や部下が同じ状況になったときに、理解ある行動を取れるようになると実感している」と話します。
「妻も、最初の1ヶ月は母子ともに生きることに精一杯だったので、そのタイミングに育休を取得してくれて良かったと言ってくれました。育休取得により、親も様々なことに気づかせてもらいました」(Oさん)
社員Oさん
社員Kさん(営業事務)は、2022年2月に、第一子誕生に伴い「ひとつきいっしょ」を取得。取得前は、これまでに経験のない長期間の休みについて、漠然とした不安があったと話します。しかし、「休みに入る際には周囲から『いってらっしゃい』などの明るい声掛けをもらい、復職時も明るい雰囲気で迎えてもらったため、負い目を感じることはありませんでした」とコメント。
育休中は、生活スタイルや育児の仕方など、わからないことだらけだったと話すKさん。それでも育児に専念する時間を最初に持てたことで、「そこから生活のリズムや過ごし方を夫婦2人で作ることができました」と語りました。
社員Kさん
調査対象者:全国に住む25~39歳の既婚男性(事実婚を含む)計7,345人調査日:2022年1月26日~26日調査手法:WEBアンケート調査
調査対象:印刷業、製造業、ビジュアル制作業を事業内容とする企業計5社調査日:2022年4月28日~5月12日調査手法:オンラインによる聞き取り調査
ピジョンhttps://www.pigeon.co.jp/
(マイナビ子育て編集部)
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