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「俺が上司だったら絶対クビにする」育休取得を両親に大反対された男性。それでも育休を取って良かったと思う理由

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目次

育児休業を経験し、子育てに奮闘しているパパの声を聞いていくインタビュー連載・「男性育休取ったらどうなった?」。今回は2011年と2014年に育休を取ったパパさんに話を聞きました。

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育休して妻の復職をサポートした篠原家

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今回のパパ篠原健吾さん/42歳/会社員・IT系

●ご家族圭織さん/48歳/会社員・サービス系第一子2011年生まれ10歳第二子2014年生まれ7歳(※お名前は全て仮名です)

●篠原家の育休一人目2011年5月~2012年4月(約1年間)二人目2014年5月~6月、2014年11月~2015年3月(二回に分けて)

篠原健吾さんのタイムスケジュール

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「最初は料理酒と水の違いもわからなかった」

ーー今から11年まえ、2011年~2012年にまず一年間の育児休業を取られているんですね。

篠原さん最初の育休の時は、なかなかうまくいきませんでした。夫婦の喧嘩も多かった。僕はいい加減なので、掃除の基準がゆるかったし、食洗機で食器を洗ったらそこから取り出して使えばいいんじゃないと思っていたけれど、奥さんはちゃんと食器棚に戻したいタイプ。洗濯物も僕が干したものを後で直されたりとか……自分はやってるつもりなんですが、奥さんからすると「全然なってないじゃないか」みたいな。

ーー家事に関する揉め事は、「育休あるある」と言えるかもしれません。どのように収束したのですか?

篠原さん最終的に、料理は奥さんの担当、僕は買い物担当といったふうに家事の担当を完全に分けました。でもその後、料理研究家のパパさんと知り合う機会があり、料理教室に通ったんです。自分は何ccとか何グラムとか大さじ小さじ言われても全然わからない、みりんも知らないし料理酒も水と何が違うのかなというレベルで、レシピを見てもイメージができなかった。スプーンや計量カップで調味料をはかるところから覚えました。野菜も最初は「いちょう切りとか言われてもわからないし、適当に切ればいいじゃん」くらいにしか思っていなかったのが、大きさを揃えることは大事だとか、太いのと細いのがあると火の通り方が違うとか、だんだんわかってきた感じですね。それで二度目の育休の時は、「僕が全部やるから口を出さないでくれ」と言って、実際に全部やりました。

ーー2014年、第二子のときの育休は、二回に分けて取得していますね。

篠原さん5月に次男が生まれてから約二ヶ月(前半)、「出産後8週間以内の父親等の育児休業に関する特例」を使い、そのあと職場に戻って今度は11月から翌年の3月まで(後半)約五か月の育児休業を取りました。前半は産褥期なので、家事の担当と妻の産後ケア、そして長男ファーストで接することが主な目的でした。どちらかというと次男の世話よりは、長男の相手の方が大事でした。3歳になっていきなり「お兄ちゃんになったから全部我慢して」とはやっぱり、できないじゃないですか。

ーー第二子が生まれると上の子が不安定になったりもするので、夫婦どちらかが上の子をフォローしてあげられる体制はとてもいいですよね。奥様は第二子出産後に、就職活動をされたのですか?

篠原さんはい、なので後半は妻の復職をサポートするかたちで、家事・育児の主担当を担いました。無事に就職先が決まって働きはじめると、それまで妻は母乳で育てていたので胸がどうしても硬くなる、溜まってくるとつらいということで、昼休みに妻の職場へ次男を連れて行っておっぱいを飲ませたりもしました。次男はミルクを嫌がることもなかったのですが、妻もいきなり朝から晩まで子どもと離れる生活になるのは不安があったようで、昼休みの1時間でも子どもと触れ合えるのは良かったようです。

両親が「俺が上司だったら絶対クビにする」と大反対

ーー赤ちゃんのうちは、夜も大変ではありませんでしたか?

篠原さん長男のときは全然寝てくれなくて、夜の10時や11時にベビーカーで外を散歩して、何とか寝たと思って布団に置くとまた起きる。じゃあもう一周、みたいな。二人で夜対応をしているとどちらもダウンしてしまうので、日中は僕がお昼寝の寝かしつけをやって妻にも昼寝してもらい、ミルク拒否で母乳だったのもあって夜中は妻が起きる体制になりました。パパが育休を取らなかったらやっぱり大変ですよね。

ーー寝ない問題はツーオペでもしんどいですよね。

篠原さんただでさえ産後の女性は心身が不安定でイライラもしますし、育児も家事もしなくちゃとなると、それはすごい大変なこと。子どもができるまで僕もそれがわかっていなくて、「子育てって楽しそうでいいなー」くらいに思ってました。やってみないとわからないし、大変だと言ってもなかなか伝わらないんじゃないかなとも思います。ただ、育児を経験した人でも「女性だけがやればいい」と考えている人もいますよね。僕の場合は、最初に育休を取るとき、親から大反対されました。

ーー「大黒柱として仕事にいっそう励むべきだ」みたいな?

篠原さんそうですね。自分の親は「男は仕事、女は家事」という価値観なので、まさに「1年間も仕事を休むなんて!男は子どもが生まれたらもっと稼ぐもんだろう。なんで奥さんもいるのに休むんだ」と言われたんです。毎日のように電話がかかってきて「今からでも上司に謝れ。俺が上司だったら絶対クビにする」とか。今思い出しても腹がたってきました(苦笑)。まあ、そこは価値観の違いですよね。今もそういう考えの人はいると思います。イクメンという言葉も定着して、男性も子育てするものだって風潮になってはいますが、それでも「あくまでも奥さんを助けてね」みたいな感じがまだありますよね。

ーー実際、職場では男性の育休に対してどのような雰囲気でしたか?

篠原さん比較的フラットというか、「制度は制度だから使っていいよ」という感じでしたが、歓迎されたわけでもなく、かといって嫌がらせされるわけでもありませんでした。ただ、自分が抜けている間に、代わりに自分の仕事をやる人が入るわけで、復帰したら同じポジションの人間が二人いる状態になって多少のやりづらさはありました。そこは自分の見通しが甘かったかもしれません。育休を経て戻ってからのキャリアプラン、こういう仕事をやりたいんだという話を、事前にしっかりできていなかったんですね。これから育休を取る人は、復帰後のことをちゃんと意識してお話しされた方がいいかもしれません。

いったん会社を離れる期間も大切にしてほしい

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篠原さんの必需品・愛用のカメラ。次男が生まれる前に購入し「息子たちの成長をしっかり残すことができました!いいカメラがあると、ついつい写真を撮りたくなります」。

ーー育休を経て、夫婦の関係性に変化はあったと思いますか。

篠原さん妻とは苦労を分かち合った同志ですよね。もし自分が外で働いていたら、帰ってきたときに妻から「今日こんなことがあって」と子どもの話をされたとしても、たぶんよく分からなかったと思うんです。たとえば「泣きやまなくて大変だった」とか、大変なのはわかるけどどう大変なのかとか、聞いているのと実際にやるのでは全然理解が違う。一緒にやってきたからその大変さがわかるぶん、育休を取ってよかったのかなって気がします。

ーー最初からがっつり関わっていることで、お子さんに何かあったとき、パパもママも同じように対応できるようになりますしね。

篠原さんそうですね。母子手帳がどこにある、子どもの体重が何キロか、予防接種はいつどこで受けるとか、把握しているだけでも違うと思います。保育園に通っていたころ、息子の緊急時の第一連絡先は自分の番号を登録していましたし、子どもの体調不良には妻と交代で対応してきました。子どもを健診に連れて行くと、周りはママさんだけで最初は気後れしたのですが、こっそりしていればいいというか、輪に入らなくても気にせず行けるようになりました。今も半休を取って小学校の保護者会に行ったりします。

ーー今は上の子は5年生、下の子は2年生ですね。

篠原さんもう友達と遊ぶばっかりで、親のことなんて全然目に入らず、頼み事がある時だけ擦り寄ってくる感じですよ(苦笑)。でも、小さい時一緒にこんなことをやったよな、といった思い出があるだけでも良かったなと思いますし、かわいいものですね。

ーーこれから育児休業を取る男性に伝えたいことはありますか?

篠原さんパパ同士のつながりを作れるといいと思います。10年以上前も両親学級はあって夫婦で参加している人は多く、プレパパとしてみんな沐浴の練習とかしたのですが、そこだけで終わっちゃって交流は持てませんでした。もうちょっと深い話をしたり、パパ同士でコミュニケーションを取る機会があってもいいんじゃないかなと思います。僕はNPO法人ファザーリングジャパンにご縁があって、そこからパパ友もできて、育休中に子連れでお茶したりとかもできました。そこでいろいろ相談できたり、いい思い出ですね。

ーー仕事の面ではどうでしょう。

篠原さん会社から離れる期間ってすごい大事なんだな、と思いました。それまで、会社の中のことしか知らなかったわけです。僕の所属している組織はグループ全体で30万人の社員がいる大きさなのですが、その中でキャリアアップするには社内でどれだけ人間関係を作れるかなんですね。でも、IT企業としてGAFAやBATHと渡り合うには、内向きの人間関係をいくら強化してもダメだと思うんです。もう一社で一生働く時代ではありませんし、そういう意味でも、いったん会社を離れられる育休期間は、外から会社を俯瞰して様々な情報を知るいいチャンスです。もちろん子育てが最優先ではありますが、今後の自分の働き方についてもじっくり考えたらいいのではないでしょうか。

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子どもたちが小さいとき、レシピを見ながら、時にはオリジナル作品まで、一緒にたくさん作って遊んだというブロック玩具のLaQ(ラキュー)。育児では大変なこともいっぱいあるけれど、子どもたちと過ごした時間や思い出はやはりプライスレスですよね。

(取材・文:マイナビ子育て編集部、イラスト:ぺぷり)


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この記事のライター

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