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育児休業を経験し、子育てに奮闘しているパパの声を聞いていくインタビュー連載・「男性育休取ったらどうなった?」。今回は2020年10月に育休を取ったご夫婦に話を聞きました。
今回のパパ西方智毅さん/31歳/オイシックス・ラ・大地株式会社Oisix EC事業本部 コントロール室 室長
●ご家族妻:西方実日子さん/32歳/オイシックス・ラ・大地株式会社サービス進化室ヘルスケアセクションマネージャー長女:菜奈実ちゃん /2歳(※お名前は全て仮名です)
●西方家のパパ育休第一子誕生(2022年8月)夫:妻は里帰り出産し1ヶ月ほど実家で過ごして、自宅に戻るタイミングから1ヶ月の育休を取得。2020年11月より職場復帰。
――智毅さんが育休を取りたいと会社に伝えたときの反応はいかがでしたか?
智毅さん社内は取得しやすい雰囲気で、当時の上司も前向きに背中を押してくれました。社内では育休を取得した男性社員はたくさんいるのですが、現在のチーム内では、僕は男性育休の2例目なんです。1例目は職場でもかなりバリバリ働いている先輩。当時はその先輩が一定期間休んでしまうと、業務がどうなってしまうのか不安でした。でも、先輩が育休を取得していた実績があったおかげで、僕が育休取得することへの周りの理解も得やすかったと思います。前例があることは大きいですね。
――実日子さんとは職場結婚ということですが、お互いの仕事への理解も得られやすかったのでしょうか?
智毅さん部署が異なるので、同じプロジェクトなどは持ちませんが、同じOisixブランドのサービスに携わっているので、会社の状況や仕事の進み具合、流れなどは把握できています。お互いの業務の優先度なども理解しやすいですね。
実日子さん業務内容のイメージができていると、仕事で何かトラブルがあったり、急に対応することがあったりしても、夫もすぐにわかってくれますね。この日は夫がお迎えに行くよとか、じゃあ私はこの時間のミーティングだけ出るねとか、相談しやすいです。毎日の育児や家事は大変です。でも、仕事に関するコミュニケーションも取りやすいから、なんとか日々を回すことができています。
――職場復帰してからのほうがやっぱり大変でしたか?
智毅さんそうですね。帰宅する時間は、子どもが寝た後がほとんどです。水曜日はワンオペデーと名づけて、僕が娘の保育園のお迎えから寝かしつけまで、全て担当する日があるんです。その日だけは、スケジュールを調整して、18時ごろまでに娘のお迎えに行きます。
実日子さん復帰後は日々をこなすことに精一杯。私も忙しかったので、家に帰って家事、育児をこなして、子どもを寝かしつけてからさらに残った仕事をすることもあって……。一時期、仕事と家事、育児だけをするために家に帰っているような状況がつらくなってしまったんです。そこで、夫と話し合って、水曜日は夫に娘を任せて、残った仕事を片付けたり、空き時間で食事に行ったり、友人と映画を観に行ったりする日にしました。その1日があるだけで、ずいぶん心が軽くなって、自分のワークライフバランスが取りやすくなりました。リフレッシュタイムがあるから、また頑張ろう!と切り替えられています。
――それは素晴らしいですね!
実日子さん私は娘が生まれてから、生活に関することは夫にたくさん交渉していると思います(笑)。
智毅さん僕は、気になることがあっても、揉めるきっかけになってしまうなら、口をつぐんでしまう傾向があるので、逆に妻がこうしたいと提案してくれるのはありがたいです。言ってくれたことは、なるべく対応したいと思っています。
水曜日はお迎えから寝かしつけまですべてパパ
――産後、夫婦の関係性に変化はありましたか?
実日子さん会社の同期なので、もともと戦友や親友という感覚が強く、特に変化はないです。そういう感覚があるからこそ、パパだから何かしなきゃいけないとか、ママだから何かしなきゃいけないなどの特別な役割や分担もありませんでした。普段から、2人で一緒に頑張ろうという気持ちです。
智毅さん僕は腹を割って話すことが増えました。娘が生まれる前は、お互いに仕事が忙しかったので「そのときできる人が家事をやる」という感じだったんです。今までは、特別なルールがなくても、家の中のことが回っていたけど、子どもが生まれて仕事が始まると、やるべきことが一気に増えますよね。家庭内のタスク量が増えているのに、当初はあまり明確に役割を決めていなかったので、妻には負担をかけてしまいました。
実日子さんワンオペデーも、夫婦の話し合いの場をきっかけに生まれたんです。お互いに嫌なことやモヤモヤしたことは言葉にするようになり、「朝にまとめてこの家事をやろう」とか、「夜はこれをやりたくない」とか、それぞれの家事の担当を見直しました。子どもが生まれる前は、夫はとても気が利いて、言わなくても進んでやってくれることが多く、家事スキルもとても高いほうだと思っていたんです。でも子どもが生まれたら「あれ、こんなにはっきり言わないと伝わらなかったっけ?」とか「これも言わないとわからないんだ」と思うこともありました(笑)。子どもが生まれてからのほうが、私からストレートにお願いすることが多いかな。何ならお互いがストレス少なく分担できるかを考えて、家事についても育児についても話し合う機会が増えています。
――話し合わないと変わらないこともありますよね。
智毅さん仕事でいろんな業務の調整をしていると、家に帰ってから、家庭内の調整は「もういいかな」って思ってしまうこともあるんですよね……(笑)。ただ、夫婦2人だけだったときよりも、明確に家事分担ができるようになったので、それぞれの負担は少しずつ改善できていると思います。僕は洗い物や、朝食作り、保育園の送りなどを担当。仕事の後に家事をするのがどうしても難しいので、朝にできる家事が多いです。我が家の冷蔵庫には、妻と一緒に作った家事・育児のリストが貼ってあるんですよ。娘を起こすのは誰、ごはんをあげるのは誰って細かい項目が冷蔵庫に貼ってあって。ちょっと形骸化していて、僕はもう冷蔵庫の景色の一部になっているけれど……。
実日子さんそのリストはもう捨てましたよ!(笑)でも「こんなものがあっても無駄だー!」と思って捨てたわけではなくて、リスト通りにできるようになったり、担当できるほうがこなせるようになったので、もう必要ないと思って捨てました。育児をしていると、自分の気持ちやコンディションに関係なく、日々の家事育児をやらなくてはいけないときがありますよね。もしかしたら女性はそれがより顕著かもしれない。夫が協力したいという気持ちは、もちろん伝わってくるけれど、わりと気分によって変わるときもあって。私にはそれが不平等に感じられたんです。うまく2人でバランスを取りたいと思って、リストに項目出しをしました。
――今はもうリストが不要になるくらいバランスが取れたんですね。
実日子さん役割を明確にするだけで、かなりストレスが減りました。曖昧だとモヤモヤするし、夫がやらないこと、その他は全て私がやる状況が嫌だったんです。小さな約束を守ってもらえないと、育児中のストレスになりますよね。自分も約束したことはできるだけ守っているから、どんなに些細なことでも、相手にもちゃんと守って欲しいと思ってしまう。リストはお互いの認識合わせに使うことができました。今は夫1人でも娘を安心して任せられるし、やっぱりいざというときに頼れるのは夫だけだから、頼りにしています。
――普段の食事で自社のミールキットは使っていますか?
実日子さん子どもを生んでからものすごく重宝するようになりました。平日はほとんどミールキットを使っています。19時過ぎに帰宅して、娘の相手をしつつイチから夕飯を作るなんてとても無理……! 産後はとくに時短の大切さを実感するようになりました。最近は月火木は私がミールキットを使って夕食を準備し、夫のワンオペデーは温めるだけの比較的調理が簡単なもの、金曜は母子で「一週間おつかれ!」とファミレスで乾杯するのが定番になりました。
智毅さん近くにスーパーがないので、買い物の手間も省けて、とても助かっていますね。今やミールキットで平日の夕飯を済ませることが定石なので、夫婦で大きく衝突することもなく、家事や育児、仕事をうまく回せています。
時短でおいしく。いただきまーす!
――男性の育休は今が大きな転換点だと思いますが、智毅さんの周りでも取られる方は増えていますか?
智毅さん僕たちは社内結婚で、妻が妊娠していることも周知されていたので、周りの理解も得やすかったと思います。でも僕の友人は、転職してある程度の年月が経っていないと育休を取りたいと言い出しにくいとか、周りの理解が得られているかわからないから、とりあえず働いておこうと考えている人も多い気がします。男性は特に「妻が妊娠しました」と伝えるタイミングをはかるのが難しいですよね。
――確かにどのタイミングで報告すべきなのか迷う人もいるかもしれません。
智毅さん突然「法律上は問題ないから、育休取得してもいいよ!」と言われても、それだけでは実際に取ることは難しいかも、とは思います。僕の場合は、職場のチーム内で男性育休の2例目だったことが取得しやすさにつながりました。自分が取得したから、これから子育てを始める部下が同じ状況になったとしても、もちろん取るべきだと思いますし、当然のように連鎖して欲しいです。
――0から1になるよりも、すでに1があるなら後に続きやすいですよね。
智毅さん同じ事業部にも、これから男性育休を取得する後輩がいます。男性育休のいいところは、女性の職場復帰率が上がりやすいことだと思うんです。男性が育休を取ると、家庭内の夫婦のバランスが取りやすくなるし、仕事しながら育児をするにはどうしたらいいか、どうしたら日々をうまく回せるかを自然と考えるようになる。パパだけ、ママだけではなくて、2人で考えて話し合うことが大切ですよね。
(取材・文:マイナビ子育て編集部、宮本貴世、イラスト:ぺぷり)
この記事のライター
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