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お友達に比べておもらしがなかなかなくならなくて、さらにおねしょも続くと気になりますね。おもらしとおねしょの関係やその原因、治し方などを沖縄県立南部医療センター・こども医療センターの川合志奈先生にうかがいました。2回目となる今回は「おもらしとおねしょの原因」についてお伝えします。
【子供の昼&夜のおしっこ相談】連載一覧第1回おもらしとおねしょ、治療が必要なのはいつから? 第2回なかなか止まない「おもらし」と「おねしょ」の原因は? ←第3回おもらしとおねしょはどう治す?
おもらしとおねしょの原因は同じなのでしょうか?
川合先生昼間尿失禁と夜尿症のどちらもおしっこをもらしますが、それぞれの原因には、いろいろな要因がからみ合っています。
川合先生昼間尿失禁の原因の多くは、尿意を適切に認識できていないことだと言われています [*4]。上の図は、このことを説明する時に私が使っているものです。
図の「尿意の知覚」(グリーン)は膀胱におしっこが溜まっている感覚で、通常はこれと一致して尿意を認識します。つまり「膀胱がおしっこでいっぱいになるぎりぎり」である最大尿意以外にも、「ちょっとおしっこしたい」とか「割としたい」などの通常尿意も認識できるため、自分の置かれている状況に応じて、トイレに行くかどうかを決められます。
これに対して、昼間尿失禁がある場合の「尿意の認識」(オレンジ)は、「ちょっとおしっこしたい」「割としたい」といった通常尿意の知覚を「おしっこない」と認識してしまい、最大尿意だけをいきなり認識します。そのため、トイレに行くのが間に合わない…ということになるのです。
おもらしをしやすいお子さんの親御さんの中には、「おしっこを我慢するクセがある」という人もいます。尿意は感じていないのに我慢しているということでしょうか?
川合先生昼間尿失禁のお子さんは「尿保持姿勢」といって、おしっこを我慢する姿勢をよくします。「足を交差させる」「陰茎をつまむ」「しゃがんで会陰部にかかとを押しつける」といった姿勢です。身体はおしっこが出そうだとわかっているのでこういう姿勢をするのですが、それでもお子さん本人は尿意を認識していないので、「おしっこたまっていない」と言ってなかなかおしっこをしようとせず、「おしっこ!」と言った時は間に合わなくてもらすんです。
夜尿症の原因は何でしょうか?
川合先生夜尿症の原因は、「睡眠中にたくさんおしっこが作られること」「睡眠中に膀胱に貯められるおしっこの量が少ないこと」「睡眠中に膀胱からおしっこがあふれそうになっても起きられないこと」などが関連し合っています。
なぜ睡眠中にたくさんおしっこが作られてしまうのでしょうか?
川合先生成長すると、おしっこを作るのを抑える「抗利尿ホルモン」が眠っている最中に分泌されて、睡眠中に作られるおしっこの量が減り、おねしょをしなくなってきます。夜尿症のお子さんの中には、「抗利尿ホルモン」の分泌量が少なかったり、神経発達や脳機能などに原因があって、「膀胱の中に貯められるおしっこの量」よりも「睡眠中に作られるおしっこの量」が多いため、おねしょをする子もいます。
夜尿症の原因は『睡眠中にたくさんおしっこが作られること』『睡眠中に膀胱に貯められるおしっこの量が少ないこと』『睡眠中に膀胱からおしっこがあふれそうになっても起きられないこと』などが関連し合っています [*3]。
夜尿症について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
昼間尿失禁と夜尿症の両方が見られる場合は、うんちをチェックした方がいいと川合先生は言います。
川合先生便秘で直腸にうんちが溜まると、膨らみ過ぎた直腸に膀胱が押されておしっこがもれやすくなります。
また、直腸が広がり過ぎると、神経が混乱してしまい、排便ではなく排尿するよう脳から指令が出てしまう、という説もあります [*5]。
こうして便秘がきっかけで、昼間尿失禁と夜尿症が起こることがあるのです。うんちがコロコロや硬めだったり、毎日しっかり量が出ていない場合は便秘の可能性があります。その場合には便秘治療も必要です。
昼間尿失禁は、尿意を適切に認識できないことが多く、夜尿症は寝ている間に膀胱におしっこを貯められなかったり、たくさんおしっこを作ってしまったり。
どちらも自分ではコントロールできないということでしょうか?
川合先生昼間尿失禁も夜尿症も、自分でコントロールすることはできません。なので「おねしょやおもらしをした!」と怒っても、治ることはないんです。昼間のおもらしやおねしょが続いたら、お子さんを怒るのではなく、医療機関に相談するのがおすすめです。
昼間尿失禁(おもらし)と夜尿症(おねしょ)の原因はまったく同じではないということがわかりました。でも、おもらしとおねしょは、おしっこの機能に関わりがあります。おしっこの機能の発達と、昼間尿失禁や夜尿症との関係を見ておきましょう。
[*6]
昼間のおもらしやおねしょと、体の発達との関係を教えてください。
川合先生昼間尿失禁も夜尿症も、排尿機能の発達と関係しています。0~1歳頃は、反射的にちょろちょろとおしっこをします。2歳になると、トイレに連れていってもらえばおしっこができる子が増えてきます。3歳には、自分からトイレに行っておしっこするようになっていきます。そして4歳には昼間おもらしをしなくなる子が多くなり、5歳には夜におねしょしない子が多くなります [*6]。
年齢とともにおしっこの出し方が変わっていくわけですね。4歳を過ぎても昼間のおもらしが残ったら「昼間尿失禁」、5歳を過ぎても夜のおねしょが続くなら「夜尿症」ですね。
(文:大崎典子/監修:沖縄県立南部医療センター・こども医療センター 川合志奈先生)—————————【子供の昼&夜のおしっこ相談】連載一覧第1回おもらしとおねしょ、治療が必要なのはいつから? 第2回なかなか止まない「おもらし」と「おねしょ」の原因は? 第3回おもらしとおねしょはどう治す?
※この記事は以下の記事を元に作成されました。「【医師解説】おもらしとおねしょは関係あるの?原因や治す順番、治療方法が知りたい!」(文:大崎典子/監修:沖縄県立南部医療センター・こども医療センター 川合志奈先生)
※画像はイメージです
この記事の監修ドクター 川合志奈(かわい しな)先生 沖縄県立南部医療センター・こども医療センター 小児泌尿器科医師。医学博士。⽇本夜尿症・尿失禁学会評議員および夜尿症診療ガイドライン作成委員、日本泌尿器科学会専門医・指導医、日本小児泌尿器科学会認定医・評議員、逆流性腎症フォーラム運営幹事。参考文献[*1]Kyrklund K, Taskinen S, Rintala RJ, Pakarinen MP. Lower urinary tract symptoms from childhood to adulthood: a population based study of 594 Finnish individuals 4 to 26 years old. J Urol 2012;188:588-93.
[*2]Austin PF, Bauer SB, Bower W, et al. The standardization of terminology of lower urinary tract function in children and adolescents: update report from the Standardization Committee of the International Children’s Continence Society. J Urol 2014;191:1863-5.e13.
[*3]Neveus T, Fonseca E, Franco I, et al. Management and treatment of nocturnal enuresis-an updated standardization document from the International Children’s Continence Society. J Pediatr Urol 2020.
[*4]Franco I. Overactive bladder in children. Part 1: Pathophysiology. J Urol 2007;178:761-8; discussion 8.
[*5]Burgers RE, Mugie SM, Chase J, et al. Management of functional constipation in children with lower urinary tract symptoms: report from the Standardization Committee of the International Children’s Continence Society. J Urol 2013;190:29-36.
[*6]Campbell-Walsh-Wein Urology, 12th ed.
[*7]Neveus T, Eggert P, Evans J, et al. Evaluation of and treatment for monosymptomatic enuresis: a standardization document from the International Children’s Continence Society. J Urol 2010;183:441-7.
[*8]Chang SJ, Van Laecke E, Bauer SB, et al. Treatment of daytime urinary incontinence: A standardization document from the International Children’s Continence Society. Neurourology and urodynamics 2015.
[*9]Allen HA, Austin JC, Boyt MA, Hawtrey CE, Cooper CS. Initial trial of timed voiding is warranted for all children with daytime incontinence. Urology 2007;69:962-5.
※この記事は、マイナビ子育て編集部の企画編集により制作し、医師の監修を経た上で掲載しました
※本記事は子育て中に役立つ情報の提供を目的としているものであり、診療行為ではありません。必要な場合はご自身の判断により適切な医療機関を受診し、主治医に相談、確認してください。本記事により生じたいかなる損害に関しても、当社は責任を負いかねます
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