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菊(キク、きく)は仏壇やお墓に供えられていることが多いからか、菊には怖い花言葉がつけられていると思っている人も少なくないよう。ですが、実は菊の花言葉にはとても美しく温かみのある言葉がつけられているのです。ここでは、菊の概要や特徴、花言葉、名前の由来などを詳しく解説します。
仏壇やお墓に供えられることも多い菊。そのイメージから、菊には「死」に関する花言葉がつけられていると思っている人も多いのではないでしょうか。
実はそのようなことはまったくなく、菊につけられている花言葉は「高貴」「高尚」「高潔」。
鎌倉時代、「菊の御紋」と呼ばれる紋章が後鳥羽上皇によってお印として使われ、その後、後深草天皇、亀山天皇、後宇多天皇がこれを継承しました。
皇室の紋となった菊。その気高いイメージからつけられた花言葉です。
菊にはたくさんの品種があり、色もさまざま。色別に花言葉もつけられています。
菊の中でも見かけることが多い黄色の菊。
実は黄色の花にはネガティブな花言葉がつけられていることが多く、黄色の菊にも「破れた恋」の花言葉がつけられています。
一方、「長寿と幸福」という花言葉も。
ポジティブとネガティブ、両面での花言葉がつけられています。
白い菊も、葬送の場面などで見かけることが多いですよね。
白い菊の花言葉は「真実」「誠実」。
何にも染まらないまっさらな様子からつけられたものでしょうか。とてもすてきな花言葉ですが、やはり白い菊はお葬式のイメージが強いので贈り物には避けたほうがよいかもしれません。
花の種類にかかわらず、赤い花には情熱的な愛に関する花言葉がつけられることが多いです。
赤い菊にも、「あなたを愛しています」の花言葉がつけられています。
なんともストレートで胸を打つ、愛の花言葉ですね。
あまりイメージにないかもしれませんが、ピンク色の菊もあります。
ピンクの菊につけられている花言葉は「甘い夢」。
かわいらしいピンク色の花にぴったりマッチした花言葉ですね。
お葬式のイメージもあり、怖い花言葉がつけられていると思われがちな菊ですが、死や呪いを思わせるような怖い花言葉はありません。
ただ、黄色の花言葉には「破れた恋」というネガティブな花言葉がつけられていますし、白い菊は弔いの場で使われることが多いなど、菊を贈る際は色選びに慎重になる必要があるでしょう。
菊は中国を原産国とする植物で、日本に伝わったのは奈良時代から平安時代にかけて。
原種が何であるかは複数の説がありますが、植物学者である北村四郎氏が説いた「シマカンギクとチョウセンノギクが中国中部で交雑し手生まれた」という説が有力といわれています。
日本だけでも多くの品種が存在し、ハマギク、ノジギク、リュウノウギク、アブラギクなどが自生しています。
菊の種類にとって開花時期が異なりますが、多くは秋の時期の10~11月頃が見ごろです。
・分類…キク科キク属・原産地…中国・別名…ホシミグサ(星見草)、チヨミグサ(千代見草)、菊(和名)・開花期…9月~11月・出回り期…通年
「キク」という花名の由来は諸説あり、中国から日本に伝わった際に「Kuku(クク)」と呼ばれていたのが訛って「キク」になったという説や、一年の最後に咲く花から「窮まる(きわまる)」が語源となったという説など。
また、漢字の「菊」の下部分はお米を手で丸く握ったさまを表しており、その上に草冠をつけ、「多くの花を握って丸めたような形をした花」としています。菊の丸い形状がうまく表された漢字です。
誕生花とは、生年月日にちなんだ花のこと。ギリシア・ローマの神話に由来するとされています。菊が誕生花となる生年月日は以下のとおりです。
日本の江戸時代は空前の園芸ブーム。中でも多くの園芸好きたちを夢中にさせたのが菊の花。
菊に大金をつぎ込むものも現れ、「碁打ち、ばくち打ち、菊づくり」は江戸時代の三大親不孝といわれるほどでした。
また、この時代は菊の品種改良も盛んに行われ、江戸時代につくられた菊を「古典菊」と呼んでいます。この「古典菊」も含め、日本で独自に発展させた菊を「和菊」と呼びます。
一方の、ヨーロッパなどで改良された菊は「洋菊」と呼ばれ、和菊と区別されています。洋菊は花色も花の形もバラエティに富んでおり、アレンジメントなどでも人気。供養の場で使われる菊とはまったく姿形が異なり、一見するだけでは菊と思えない洋菊もたくさんあります。
旧暦9月9日の「重陽の節句」は「菊の節句」とも呼ばれ、平安時代からこの日には菊の花びらを浮かべたお酒(菊花酒)を飲み、邪気を祓う習慣がありました。
この節句の由来は中国の古くからの言い伝え。中国では昔から「満ちれば欠ける」との考え方があります。10が満ちた数で、それに対し9は満ちる手前の最高の数字。その9が重なる9月9日は吉日とされ、この時期に咲く菊の花が吉の象徴として扱われるようになりました。
近年は重陽の節句はあまり意識されなくなってきましたが、日本でも菊花酒を飲んだり栗ごはんを食べて祝う風習があります。
菊は中国で長寿を意味する花としても知られています。
三国時代の魏の初代皇帝・曹丕(そうひ)は体が丈夫でなく、15歳までしか生きられないと余命宣告されていましたが、菊花酒を飲んだことによって健康になり、歴史に名を残すまでに活躍したとされています。
ここで言う菊花酒は、菊の花びらを浮かべたお酒でなく、菊の葉や茎をもち米に混ざて発酵させた薬酒のこと。現代の医学においても、この菊花酒は血圧の降下や中枢神経の鎮静などに効果が期待できるとされています。
日本人にとって馴染み深い菊の花ですが、こんなにも多くの種類や花言葉があったことに驚いた人も多かったのではないでしょうか。
葬儀やお墓まいりで用いられることの多い和菊はプレゼント向きとは言えませんが、洋菊はフラワーアレンジメントやブーケにしても映えますよ。仏花としてだけでなく、さまざまなシーンに菊を取り入れてみてはいかがでしょうか。
この記事のライター
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