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冬は子供が鼻水をずるずるさせていることがよくあるもの。でも鼻水ってどうして出るのでしょうか?そして最適なケアは?小児科医の森戸やすみ先生に詳しく聞きました。
(※画像はイメージです/PhotoAC)
風邪などの感染症にかかると、大量の鼻水が出ることがあります。これはどうしてなのか、みなさんご存じでしょうか?
私たちは常に鼻や口から空気を取り込んで「呼吸」をしていますね。この鼻や口から肺までつながる空気の通り道を「気道」といいますが、空気だけでなくウイルスや細菌やホコリなどの異物が入ってくることもあります。そのため、鼻毛によって大きな異物を、線毛や粘液によって小さな異物を外に出す仕組みになっているんです。
ところが、それでもウイルスや細菌などの異物の侵入は防ぎきれないので、体内に入って感染することも。すると気道で炎症が起こって粘膜が腫れたり、鼻が詰まったりするだけなく、異物を追い出すために鼻水が出るというわけです。
鼻水には、透明でさらさらした「水様性鼻汁(すいようせいびじゅう)」、黄色や緑色でどろどろした「膿性鼻汁(のうせいびじゅう)」があります。黄色や緑色の鼻水は、ウイルスや細菌の死がい、それらと戦うために血液中から出た白血球を含んだもの。
最初はさらさらで透明だった鼻水がだんだん量が減って粘度を増し、黄色や緑色になってから治るのは普通のことですから心配ありません。
鼻水をそのままにしていると、子どもは息をしづらいし食事もとりづらいです。気道が小さくて軟らかい月齢・年齢が小さいほど呼吸が苦しいので、できるだけ小まめに取るようにしましょう。鼻をかめる子は、頻繁に声をかけてかませてください。
よく保護者の方から「何歳くらいにできるようになるものですか?」と聞かれますが、経験上では早い子は2歳くらい、多くの子は5歳くらいになれば鼻をかめるようになると思います。最初は「鼻から空気をふん!って出してね」などと説明しても、ただ口で「ふん!」と言うだけかもしれませんが、たまにやらせてみてくださいね。
自分で鼻をかめない場合は、保護者が取ってあげるしかありません。鼻の穴の近くを拭くだけでもいいですが、鼻水吸い器を使うとよりしっかり取れると思います。昔は親が、子供の鼻に直接口をつけて吸い出したりしていましたが、衛生的ではありませんね。子供の風邪がうつってしまうこともあるでしょう。
鼻水吸い器にはスポイト式やストロー式、電動式などがあります。電動式があれば、鼻水の量が多すぎる時も、小児科や耳鼻科に行って吸引してもらわなくてもしっかり取れますから便利かもしれません。保護者の方も花粉症の時期に使っているという話を聞くこともあります。でも、保護者の方が使いやすいものを選べば問題ありません。
鼻水が出る病気には、風邪以外にも、アレルギー性鼻炎、副鼻腔炎(蓄膿症)、花粉症などがあります。まれに、子供が自分で鼻に物を詰めてしまっていて炎症を起こしていることも。
いずれにせよ色のついた鼻水が1週間以上続くときは、抗菌薬を飲んだほうがいいかもしれませんから、小児科か耳鼻咽喉科を受診しましょう。症状に応じて、その場で鼻水を吸引したり、鼻水や痰の分泌を抑える抗ヒスタミン薬や抗菌薬などが処方されたりすると思います。
参照)森戸やすみ『小児科医ママの子どもの病気とホームケアBOOK』(内外出版社)
お話をお聞きしたドクター 小児科専門医/どうかん山こどもクリニック院長森戸やすみ 先生 一般小児科、NICU(新生児特定集中治療室)などを経て、現在は東京都谷中のどうかん山こどもクリニック院長。医療者と非医療者の架け橋となる記事や本の発表に意欲的に取り組んでいる。『子育てはだいたいで大丈夫 小児科医ママが今伝えたいこと! 』(内外出版社)、『祖父母手帳』(日本文芸社)など著書、監修多数。どうかん山こどもクリニックTwitter
この記事の執筆者 大西まお 編集者・ライター。出版社にて雑誌・PR誌・書籍の編集をしたのち、独立。現在は、WEB記事のライティングおよび編集、書籍の編集をしている。主な担当書に、森戸やすみ 著『小児科医ママの「育児の不安」解決BOOK』、名取宏 著『「ニセ医学」に騙されないために』など。特に子育て、教育、医療、エッセイなどの分野に関心がある。■Twitterこの記事のライター
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