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『産後が始まった! 夫による、産後のリアル妻レポート』『夫婦のミゾが埋まらない 産後にすれ違う男女を変えるパートナーシップ学』(ともにKADOKAWA)など、夫婦のパートナーシップに関する著書がある渡邊大地さん。マイナビ子育てで連載していた『渡邊大地の令和的ワーパパ道』より、2022年2月に公開した記事を再配信します。
執筆者プロフィール 渡邊大地さん 株式会社アイナロハ 代表取締役/札幌市立大学看護学部非常勤講師大学卒業後、会社員を経て、2011年に株式会社アイナロハを設立。2012年より「産後サポート“ままのわ”」事業をスタート。自治体の産後サポート事業、全国の産院での両親・父親学級の開催、講演など、多方面で活躍中。三児の父。◆株式会社アイナロハHP:https://www.ainaloha.com/→1話目から読む→前回のお話はこちら→これまでのお話はこちら
小3の長女が必死に漢字の勉強をしていました。どうやら、長女のクラスでは、テストが返却されるときに満点の子だけ名前を発表されるらしく、それがひとつのステータスなんだそうで。特に、年に数回だけ行われる「漢字100問テスト」は、テストのなかでも最難関のものらしく、何としてもここで満点を取って名前を呼ばれたいのだそうです。
テスト当日、帰宅後の娘はご機嫌でした。かなり良い感触だったようです。「今日のテスト、うまくいったんだよね~!ゼッタイ100点とれてる自信ある!」そこへ長男(小6)が目を細めて近づいてきました。
「お前なぁ、いいか、よく覚えておけ。この世の中には“ゼッタイ”なんてものはないんだよ」「はあ? 何言ってんの? 自信あるもん!ゼッタイ100点だと思うもん!」「軽々しく“ゼッタイ”なんて言ってんじゃねえよ」「ゼッタイだもん! アタシにかんしては、ゼッタイって言い切れるもん!」「だから! 世の中に“ゼッタイ”なんてありえないって言ってるだろ!すべての物事に“ゼッタイ”と言い切れることなんてないんだよ!ゼッタイにな!」「…今、ゼッタイって言い切ったよね?」「お、おれはいいんだよ…」
もろくも崩れ去る“ゼッタイ”。
皆さん、こんにちは。渡邊大地です。今回も、「ワーパパ」とは何たるかを一緒に考えていきましょう!
みなさんは、「小1の壁」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?小1の壁とは、保育園から小学校に上がるタイミングで直面する、さまざまな困難を指します。たとえば、保育園は今まで仕事が終わるまで子どもを預かってくれていたけれど、小学校は授業が終わったら子どもは下校します。特に、入学後1~2週間ほどは給食なしの4時間授業、という学校が多く、仕事と子育ての両立が困難になることが挙げられます。こうしたことから、子どもが小学校に入ったことでいろいろなことが変化し、なかには共働きが難しくなってしまう、という家庭もあります。そこで今回は、小1の壁を始め、子どもが小学校に入ってビックリしたこと、とまどったこと、トラブルに発展したことを紹介したいと思います。前回の「入園編」同様、決してみなさんを脅すわけではありません。入学前の親の心構えとして、「こういうケースもあるんだ」という参考にしてみてください。
うちの長男はもう来月には小学校卒業です。あっという間の6年間でした。
今でも、6年前の4月1日のことをハッキリ覚えています。初の「学童」利用の日です。学童とは、主に親が共働きでの家庭などに対し、放課後や長期休暇中(夏休み・冬休みなど)に子どもを預かってくれる施設です。
長男は、夕方お迎えに行くと大泣きしていて「もう学童に行きたくない!」と大荒れでした。3月31日まで保育園に行っていたのが、4月1日からは一転して学童ですもんね、すぐに慣れろというほうが難しいのもわかります。そして、保育園では最年長だったのが、学童に行けば最年少ですから、高学年なんて大人と背丈が変わらないくらいの子もいます、そりゃビックリします(何年生まで預けられるかは、施設によって異なります)。
おまけに、うちの学区の学童は治安が悪いことで有名で、なんと学童室内で高学年がサッカーをしていた、なんてこともありました。お迎えに行ったときに、狭い室内をサッカーボールが飛び交っていて、部屋の隅っこで新一年生がおびえているのを目の当たりにしました。「こりゃ行きたくない気持ちもわかるな……」と。
学童に相談しましたが「学童はそういうところです」の一点張りで改善してもらえなかったため、その後、学校に相談しました。そうしたところ、校長や教頭が誠意をもって対応してくださり、改善を申し入れてくれましたが、結局学童の環境は改善しなかったので、すぐに退会することになりしました。
「すぐに退会」と書きましたが、ここに至るには妻と何日も話し合いをし、学童を利用しなくても済むような働き方の調整をしました(※)。ぼくは経営者なのである程度働き方の自由度がありましたが、会社勤めの共働き夫婦だったらそう簡単にはいかないんじゃないでしょうか。現実に、子どもがいやがっているけど仕方なく通わせている家庭もあれば、子どものために親がパートタイマーに転職したという家庭もまわりにいます。
※詳しくは、拙著『夫婦のミゾが埋まらない』(KADOKAWA)を是非!
もちろん、うちの学童の例ですから、必ずしも学童利用に危機感を抱く必要はありません。ただ、子どもの「合う・合わない」は何にでも起こりうるので、ひとつの可能性として覚えておいていただければと思います。
保育園生活に慣れていると、小学校での生活に、最初のころは「ついていけない」と感じることがあるかもしれません。保育園のように手取り足取り「いつまでに●●を持ってきてください」という個別のお便りをもらえたり、お迎えのときに担任の先生と直接話して情報をキャッチしたり、ということがなくなります。クラス便りで一回書いたらそれっきり、お便りを子どもが出さなかったら、親はまったく知る由もない、ということが起こりえます。
そして、よくあるアレ……。当日の朝に「今日新聞紙いるんだけど」というやつや、突然PTA役員さんから電話がかかってきて「PTA会費が未納です」。一番困るのは朝になって「今日お弁当なんだけど」と言われるやつ。運動会や遠足などの天気に左右される行事はもちろん、昨今ではコロナ禍で急遽イベントごとが延期・中止になり、お弁当持参になるようなケースもあります。
あれ……?そういえばそんな話があったような……? でも、何も用意してないんだけど……。
これを回避するためには、事前のストックがモノを言います。多少収納がかさばってしまいますが、新聞紙やお菓子の空き箱、トイレットペーパーの芯、空のペットボトルなどはすぐに捨てずに、一定数保管しておきましょう。指定の引き落とし口座には、余裕をもってお金を預けておくと安心です。急なお弁当に対応できるよう、メイン+副菜の冷凍食品は必須。お米を炊けばお弁当が完成する状態が理想です。
それ以外にも、筆記用具のストックがあると安心です。子どもは学校で消しゴムを失くしてきたり、鉛筆をどこかに置き忘れてきたり、「今日算数のノート使い終わって、もう書けるページがない」と夜に言ってくることもしょっちゅうあります。
ストックをしたうえで、すみずみまでお便りをチェックして、夫婦で共有することも忘れてはいけません。たとえば、リビングにある家族用のカレンダーに記入したり、カレンダーアプリに入力して夫婦で共有したり、といった方法があるので夫婦で管理しやすい方法を模索してみてください。
長男が新一年生のときの担任は、一年ごとに学校を異動して学校を立て直す役割を担っているというような、超ヤリ手の先生でした。生徒からも保護者からも信頼が厚く、初めて授業参観に行ったときに、一年生の子たちが姿勢正しく椅子に座って、活発に手を挙げて授業を楽しんでいる姿を見て、「今どきの小学校ってすごいな~」と思ったものです。
ところが、長女が新一年生のときの担任は、授業中の先生の声よりも生徒のおしゃべりの方が大きく、立ち歩く子もいれば、机をガタガタさせて落ち着きのない子もいるし、教科書を出してない子もいる……。
娘にクラスの様子を聞いてみたときには、「授業中にうるさい子がいて集中できないし、隣の子は話しかけてくるし、中断ばかりでつまらない」と言っていました。
勉強をする環境が整っているかどうか、これは担任の力が大きいですし、クラスの構成メンバーの影響も大きいです。残念ながら、親や子が担任やクラスを選ぶことはできませんし、先生側からしたら逆もしかりで、「きちんと席に座っていられる生徒」「話をちゃんと理解してくれる生徒」ばかり選べません。つまり、お互い様です。
もし子どもが授業を受けるに適した環境でないと思ったら、先生に状況を相談してみるというケースもありますが、それがすぐに改善しないこともあり得ます。その場合、特に子どもが低学年のうちは、ある程度家庭で勉強を見てあげないと、学校だけでは勉強の仕方が身に付かないことがあるということです。さらに付け加えると、小学校では毎日宿題が出ます。宿題は子どもだけのものではなく、「子どもの音読を聞いて、ハンコを押す」「算数ドリルの丸付けを行う」といった親の作業も発生します。学校からすると、家庭での親のサポートは必要不可欠なんです。
保育園のときはどちらかというと、「置いてかれる子がいないように」のんびりした子に合わせて生活してくれるものですが、小学校はカリキュラムがありますから、それを進めることを優先する印象があります。1年1組はカリキュラム通り進んだけど、1年2組はカリキュラムが終わらなかった、ということではまずいですもんね。学校によっては、勉強の苦手な子に担任が個別指導してくれることもあるようですが、フォローがまったくない学校もあります。
つまり小学校は、保育園ほど一人ひとりていねいに目をかけてくれるわけではなく、学校と家庭の連携で子どもの学びを支える場だ、と考えておいたほうがよいでしょう。
ぼくは仕事柄、両親学級や子育て講座の講師としてお話させていただくことがよくあるんですが、その際よく聞かれるものに「保育園に行っていると、幼稚園の子たちに勉強で置いて行かれますか?」というのがあります。
皆さんご存知の通り、幼稚園は文部科学省管轄なので小学校に入るための準備機関のような位置付けです。平仮名の読み書きをしたり、なかには英語のレッスンをしたりする園もあるようです。そんな話を聞くと、「入学時点で学力に大きな差がついてしまうんじゃないか」と心配になってしまいますよね。
でもこれに関しては、心配することはありません。保育園だったから勉強に遅れたとか、幼稚園に通っていた子が総じて学力が高い、という話は聞いたことがありません。どちらに通っていようと(または、どちらにも通っていなくても)、進度が早い子もいれば、ゆっくりの子もいるようです。
それよりも心配すべきは「スマホやタブレットとの付き合い方」だと、ぼくの友人の小学校教師が言っていました。
最近の子どもたちの教室での話題は、もっぱら動画についてだそうです。ぼくが小学生のときの娯楽はテレビアニメでしたから、「昨日のドラゴンボール観た?」とか「昨日のキャプツバ(キャプテン翼)観た?」とか「昨日のマジカル頭脳パワー(古すぎ?)観た?」と、曜日ごとに話題はだいたい決まっていました。
それが今や動画のチャンネルが無数にあるがゆえ、クラスの話題についていくために、毎晩片っ端から動画をチェックしてくる子もいるそうです。当然その子は、学校で眠そうにしていて、授業に集中できていません。
なにも動画が悪いとか、新聞を読めとか、ニュース番組しか見るな、ということではありません。ただ、家で過ごす時間が動画漬けになってしまうのは心配だし、勉強の心配をするなら、それと同じようにデジタル機器との付き合い方も気にした方がいいですよね。
保育園と違って、小学校は勉強の成果が点数や成績に表れてしまいます。スマホやタブレットを制限させたいのであれば、「『1日30分』など見る時間を決める」「家族で話す時間を持つ」「子どもが起きているときは、親もスマホ・タブレットを触らない」など、親子で家での過ごし方を見直す必要がありそうです。子どもの入学を機に、ぜひ一度、家族で話し合ってみてはいかがでしょうか。
以上、小学校入学当初にビックリしたこと・困ったことを紹介しました。とにかく子どもも親も、保育園・幼稚園生活からの大きな変化に戸惑うことばかりだと思います。子どもにとって初めての「お勉強」、これをスムーズに取り組めるかは、親の協力が欠かせません。「それをしてくれるのが学校じゃないの?」と思う気持ちも一理ありますが、小学校はより学校と保護者の協力が必要になります。
我が子が小学校生活を満喫できるよう、親としてできる限りのサポートをしていけるといいですよね。
小学生になった子どもとともに、生活の変化に対応できるワーパパになろう!
(文:渡邊大地、イラスト:村澤 綾香、編集:マイナビ子育て編集部)
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