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“お店でおもちゃをねだらない” “保護者の言うことをおとなしく聞く”…子どもがこのような様子であれば「いい子」と表現することもあるでしょう。一方で、中には「いい子症候群」と呼ばれ、実は問題を抱えている場合も。今回はいい子症候群の特徴やリスク、そうならないため方法を紹介します。<臨床心理士監修/親子の心理学シリーズ>
<<<この記事でお伝えすること>>>✅ いい子症候群って?✅ いい子症候群の特徴10項目✅ いい子症候群を作り出す親、5つのNG行動✅ いい子症候群のまま大人になったらどうなる?✅ いい子症候群回避のためにできる5つのこと
時折耳にする「いい子症候群」とは、どんなものなのでしょうか。
「いい子症候群」とは、大人が求めるような「いい子」になろうとして自分を抑え、親の言いなりになったり顔色をうかがって行動したりする子どもの姿のことです。
日本の学校教育では、長らく”みんな同じ”ということが重視されてきました。昭和62年8月の臨時教育審議会第四次答申で、『(これまでの教育の)画一性、硬直性、閉鎖性を打破して、個人の尊厳、自由・規律、自己責任の原則、すなわち「個性重視の原則」を確立する』ということが示されました[*1]が、海外に比べると、日本にはまだまだ”出る杭は打たれる”という雰囲気が残っていますよね。このようなことから、日本人は「いい子症候群」になりやすいと言えるかもしれません。
いい子症候群の特徴の一例をまとめたチェックリストを作成しました。お子さんの様子と照らし合わせてみてください。
・いつも人の顔色をうかがっている・やりたいことや欲しいものがあっても言わない・指示がないと行動できない・いつもおどおどしており、自信がない・あまり自己主張をしない・感情を表に出すのが苦手・自分で決めたり選んだりすることが苦手で他人に任せる・失敗を恐れ、完璧を求める(完璧でないと不安)・「イヤ」と言ったり断ったりが苦手・イヤイヤ期・反抗期がない(なかった)
当てはまる数が多ければ多いほど、「いい子症候群」である可能性が高まります。
「いい子症候群」になる原因の多くは、子育てをする親の行動にあります。心当たりはないか、振り返ってみましょう。
子どもを心配するあまり、過度に厳しいルールをつくっていませんか。社会的なルールやマナーはもちろん大切ですが、あまり多すぎると、子どもの考えや行動に制限をかけすぎてしまう場合があります。ルールを守らなければというプレッシャーから自分の思いを出せなかったり、何かに従わないと不安で自ら行動できなくなったりする可能性があります。
子どもがうまくいかなかったり失敗したりしたら、責めたり叱ったり残念がったりしていませんか。親の気持ちを、子どもは敏感に受け取っています。親がマイナスの感情を見せることで、少しの失敗でもしてはいけないんだ、と子どもは完璧を求められていると感じてしまうかも。「ちゃんとした人間に育てないと」という親としての責任感があるかもしれませんが、失敗を軽く流せるようになることも必要です。
子育てをしていると、「まだ幼いから子どもには判断が難しい」「親が決めてあげなくては」と思うことも多いですよね。しかし、何でもかんでも親が決めていると、いつしか子どもの気持ちを無視してしまうことも……。親が子どものことを決めてばかりいると、子どもは「親が決めたことに従うのが正しい」という考えになってしまいます。
親自身が昔できなかったことを子どもに期待すること、ありませんか。「子どもには苦労して欲しくない」とか「子どもにはこうなって欲しい」という親御さんの気持ちはとてもわかりますが、それがお子さんにとってプレッシャーになることも……。親の期待に応えようとする余り、自分のやりたいことがわからなくなり自分を見失う可能性もあります。
子どもが自らやろうとした些細なことでも、「それは間違いだ」「このままだと失敗する」などと心配して、先走って大人が口を出してしまうこと、ありますよね。しかし、子育てではあまり先回りしすぎるのはよくありません。大人には当然わかる失敗や間違った判断でも、危険なことや人に迷惑をかけることでないなら、手や口を出すのはぐっと堪えて見守りましょう。大人が先走ってしまうことで、間違った判断をしないばかりか、正しい判断すらできなくなってしまいます。
「いい子症候群」の子どもがそのまま大人になることで、さまざまな生きづらさを抱えてしまう場合があります。
例えば以下のような状態が考えられます。
・自己肯定感が低く、落ち込みやすい・我慢しすぎてしまい、キレるなどの極端な行動に出る・嫌なことも断れず、押しつけられる・困っているときに人に助けを求められない・自分の価値観で物事を考えられず、人任せになる・人に合わせすぎてしまうため、人によって態度が変わる
お子さんが「いい子症候群」になるのを防ぐために、ママやパパが子育てで意識して欲しいことは【1】子どもの気持ちを尊重する【2】子どもに考えさせる【3】子どもの決めたことを否定しない【4】子どもの負の感情も受け止める【5】子どもの行動を決めつけないという5つのことです。
どんなことであっても、まずは子どもの気持ちを受け止めることが大切です。たとえば、「夕飯の前にアイスを食べたい」とお子さんが言ったとき。親としてはできればして欲しくないことですが、頭ごなしに「何言ってるの、そんなダメ」と言うのではなく、「そうか。アイスおいしいもんね。食べたいよね」と気持ちに共感してみましょう。その上で、「でもね、ご飯の前にアイスを食べるとお腹がいっぱいになってご飯が食べられなくなるから、やめた方がいいと思うな」などと伝えましょう。
アイメッセージとは:「あなた(You)は◯◯しなさい/してはいけない」という“ユーメッセージ”に対し、「私(I)はあなたが◯◯する/しないと嬉しい」などと自分の気持ちをベースに相手に何かを伝える方法
「図書館では静かにする」「スーパーでは走らない」など、公共の場ではさまざまなルールやマナーがありますよね。もちろんこのようなルールやマナーを子どもに伝え、守らせることは大切です。しかし、できないからといって「どうしてできないの!」「走っちゃダメって言ってるでしょ!!」などと厳しく叱るのではなく、「図書館ではみんな静かに本を読んでいるね。〇〇ちゃんはどうしたらいいかな?」「ここは人がたくさんいるよ。小さいお友達やおばあさんにぶつかってしまったらどうなると思う?」など、子どもに問いかけ、子どもが自ら考え、自分の行動を改めることができるようにするといいでしょう。
「この花柄の服と、黄色の服、どっちがいい?」と聞き、子どもが黄色い服を選んだのに、「え~花柄の方がかわいいよ」などということで、子どもは自分の選択を否定されたと感じてしまいます。こんな些細なことで?!と驚かれるかもしれませんが、大人にとっては小さなことも思えても、子どもにとっては大ごとの可能性もあるのです。否定に繋がらないよう、親が答えを決めた上で選ばせるのはやめましょう。
感情表現ができることは、とても大切です。親御さんは、“楽しい” “嬉しい”などのプラスの感情には、受け止めたり共感したりと良い反応をしますが、”つらい” “怖い” ”いや” ”怒り”などのマイナスの感情は嫌がることが多いですよね。真面目な性格のお子さんほど、親の反応次第でマイナスの感情の表現を我慢してしまいやすいです。子どもが自分の感情や気持ちを相手に伝えることができるように、大人は受け止めることを意識しましょう。幼い頃に自分の感情を思い切り出すことで、感情をコントロールする力も育まれますよ。
なんでこんなことするの!と叱りたくなるような子どもの言動の中には、本人にしてみれば自分なりに考えた上でそのようにしていることがあります。
たとえば、「絵本を本棚から出して散らかす」という大人からしたら問題と思える行動でも、実は子どもはある特定の絵本を探していただけ、という場合があります。行動のみを見るのではなく、どうしてこの行動をしたのか?という背景も考えて接することで、無駄に子どもを叱ることが減り、子どもは否定される経験が減ります。
「いい子症候群」について、なんとなくでもご理解いただけたでしょうか。子どもに失敗させたくない、というのは、もしかしたら、親御さん自身の「子育てに失敗したくない」という気持ちの表れかも。ちょっぴり肩の力を抜いて、子育てを楽しめるといいですね。
(文:mamaco/監修:渡邉明子 先生)
※画像はイメージです
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