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普段何気なく使っている熟語の中には、実は違う意味で使われてしまっている言葉があります。今回はその中でも「姑息(こそく)」という熟語について、文化庁が行った「国語に関する世論調査」をもとに見ていきます。「姑息」は特に間違って使っている人が多く、普段の生活では誤りに気づきにくい言葉であるのをご存じでしたか?
あなたは「姑息」の意味がどれか聞かれたら、正解を選べる自信はありますか?文化庁国語課が実施した「令和3年度 国語に関する世論調査」の結果をみると、多くの人が間違って覚えていることがわかりました。
「姑息」という熟語の正しい意味はどれでしょうか。
・(ア)「一時しのぎ」という意味 ・(イ)「ひきょうな」という意味・(ア)と(イ)の両方 ・(ア)、(イ)とは、まったく別の意味
(イ)を選びませんでしたか?実際、アンケートで(イ)「ひきょうな」を選択した人は73.9%に上りました。しかしながら、これは不正解の選択肢。辞書などに掲載されている本来の意味は(ア)「一時しのぎ」です。正解である(ア)を選択した人はわずか17.4%と2割に満たない結果となりました。
よく「姑息な手段」という使われ方をしますが、これは語の本来の意味で考えると、「一時しのぎの手段」ということになるのですね。「一時しのぎ」はネガティブなニュアンスを持ちますが、そこから「姑息=ひきょうな」という理解が生まれたのかもしれません。
なお、(ア)と(イ)の両方だと思った人は5.9%、(ア)、(イ)とは、まったく別の意味だと思った人は1.7%でした。
年代別に見ても、全世代で(イ)「ひきょうな」を選んだ人が圧倒的に多いという結果になっています。最も多いのが30代で85.2%、次に20代の84.1%と続いています。また、60代以上でも6割~7割強の人が勘違いして覚えているということがわかります。
多くの人々が勘違いして使用することで、誤った意味が世間により広まっていったことが推察されます。
なお、正しい選択肢である(ア)「一時しのぎ」を選択した割合に目を向けると、意外なようですが、16~19歳や20代よりも年代が上である30代の方が少なくなっています。16~19歳や20代には学生が含まれることが関係しているのかもしれませんね。
今回は、「姑息」という熟語を大多数の人が本来の意味とは違う意味として覚えてしまっている実態をご紹介しました。「姑息」の「姑」には「しばらく」、「息」には「休む」という意味があり、そこから「しばらく休む」、つまり根本的に何かをしたり、解決するのではなく、「一時的に間に合わせる」または「その場しのぎをする」ということを現わす言葉となったようです。
熟語には、こうした形成する漢字から意味を知ることができる言葉が多く、調べてみれば正しい意味を納得して理解できます。しかし、言葉の使い方は経験から覚える面も多く、人が間違って使っているのを見聞きして、そのまま覚えてしまうことも少なくないでしょう。「姑息」はそうした言葉の代表的な例といえそうです。
(マイナビ子育て編集部)
※画像はイメージです
■令和3年度 国語に関する世論調査/文化庁国語課調査地域:全国調査対象:16歳以上の男女調査時期:令和4年2月21日から2月21日まで有効回答数:3,579サンプル
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