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子どもと一緒にいるときにスマホを使うと「スマホ育児」として批判されることがあります。2017年頃から「スマホ育児」に関して発信してきた森戸先生に改めてお話をうかがいました。
(※画像はイメージです/PhotoAC)
「スマホ育児」という言葉をご存じでしょうか?親が子育て中にスマートフォンを使うこと、または子どもにスマートフォンを使わせることを指す言葉です。
この「スマホ育児」は批判されがちなもの。日々使うスマホが、子育てに「よくない」と言われると、保護者としては心配になってしまいますね。
2017年、日本小児科医会は「スマホに子守りをさせないで!」というポスターを作りました。小児科で見かけたお父さん、お母さんもいるようです。
このポスターには、バツ印がつく例として「ムズがる赤ちゃんに、子育てアプリの画面で応えることは、赤ちゃんの育ちをゆがめる可能性があります」とあります。でも、赤ちゃんがムズがったときにスマホのアプリで音楽や音を聞かせる人はいても、画面を見せる人はなかなかいないでしょう。目を閉じて泣いている子に、無理やり見せることもできませんね。
逆にマルのマークがつく例として授乳中の母子の姿が描かれ、「赤ちゃんと目と目を合わせ、語りかけることで赤ちゃんの安心感と親子の愛着が育まれます」とあります。でも、授乳には1回15〜30分ほどかかり、それを1日6〜10回以上行います。ずっと子どもの目を見続けるのは難しいでしょう。しかも、おっぱいのほうを向いている赤ちゃんの目を見ようと覗き込めば、授乳姿勢が悪くなります。
こういった偏った表現が脅しになり、真面目な保護者ほど「スマホは一瞬も見せないようにしないと」「授乳中はずっと目を見ていないと」「愛着が育まれていないのでは」などと追い詰められてしまうので、むしろ注意が必要です。また、様々な用事でスマホを使う必要のある親に、周囲から厳しい視線が向けられそうで心配になります。
じつは、スマホを使うことには親子ともに様々なメリットがあります。
まず、親にとっては、わざわざ出かけなくても様々なことが可能になる点が最大のメリットではないでしょうか。今はスマホで仕事、買い物、調べ物などをする人が多いのです。家事や子育てのちょっとした合間に、仕事の連絡をしたり、オムツや日用品の宅配を手配したり、アプリを使って保育所や幼稚園に連絡したり、予防接種の予約をしたり。非常に便利ですね。
そのほか、子育て中は孤独になりがちな時期ですから、インターネットを使って様々な人の意見を見たり、コミュニケーションをとることができる点もいいと思います。細切れの休憩しか取れないからこそ、ゲームや動画などもスマホで見る人が多いでしょう。
<森戸やすみさん「スマホが豊かにする子育て」スライドより>
一方、子どもにとってもスマホが悪いものだとは言えないでしょう。スマホを使えば、絵本や本、ゲームや動画、音楽などを楽しむことができます。勉強のアプリ、無料の学習ツールを使って学ぶことも可能です。何らかの障害があっても、文字入力の方法にも様々な選択肢がありますし、写真で記録したり、音声で読み上げたりもできるので、学習に役立ちます。
そして、楽器や機材、画材やPCなどがなくても、音楽や絵、プログラミングなどの新たな分野に挑戦することも可能です。つまり、スマホやタブレット等は、子どもたちがより平等に教育を受けるためにも有用だといえます。
また、離れたところにいる人とも、文字や声、動画などでやりとりできるため、コミュニケーションにも役立つでしょう。スマホを使うと、コミュニケーションがとれなくなるという説には根拠がないことを再確認できますね!
<森戸やすみさん「スマホが豊かにする子育て」スライドより>
もちろん、大人もですが、子供は特に視力の低下、そして依存症には注意が必要です。それらを防ぐには、スマホの使用時間を決めるといいでしょう。個人情報の流出も、見守り機能を使ったり、ルールを覚え、そして守れるようにすることで対応できます。親子で話し合いながら、スマホを上手に使いたいですね。
参照)森戸やすみ『子育てはだいたいで大丈夫』(内外出版社)
お話をお聞きしたドクター 小児科専門医/どうかん山こどもクリニック院長森戸やすみ 先生 一般小児科、NICU(新生児特定集中治療室)などを経て、現在は東京都谷中のどうかん山こどもクリニック院長。医療者と非医療者の架け橋となる記事や本の発表に意欲的に取り組んでいる。『子育てはだいたいで大丈夫 小児科医ママが今伝えたいこと! 』(内外出版社)、『祖父母手帳』(日本文芸社)など著書、監修多数。■Twitter
この記事の執筆者 大西まお 編集者・ライター。出版社にて雑誌・PR誌・書籍の編集をしたのち、独立。現在は、WEB記事のライティングおよび編集、書籍の編集をしている。主な担当書に、森戸やすみ 著『小児科医ママの「育児の不安」解決BOOK』、名取宏 著『「ニセ医学」に騙されないために』など。特に子育て、教育、医療、エッセイなどの分野に関心がある。■Twitterこの記事のライター
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