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子育てをしていると、子どもが何歳になっても、自分が何歳になっても悩みは尽きません。時には、親自身のコンプレックスが子育てに影を落としてしまうことも……。自ら育休を取得し、夫婦で3人の子どもを育て上げた経験を持つ小崎恭弘先生に「よくある『親の気持ち』」をぶつけてみました。
お話を聞いた方 小崎恭弘 先生 大阪教育大学教育学部教員養成課程家政教育講座教授・大阪教育大学附属天王寺小学校長1968年生まれ。兵庫県出身。NPO法人ファザーリング・ジャパン顧問。兵庫県西宮市初の男性保育士として施設・保育所に12年間勤務。3人の男の子それぞれに育児休暇を取得し、それらの体験をもとに「父親の育児支援」研究を始める。専門は「保育学」「児童福祉」「子育て支援」「父親支援」。父親の育児、ワークライフバランス、子育て支援、保育研修等、全国で年間60本程度講演会等を行い、これまで2000回の公演実績を持つ。
「うちはよそと違って兄弟がいないから……」という親御さんがいますが、データ的に見ると、今は一人っ子の家庭が一番多いんです。
2004年(平成16年)までは、子供がいる世帯で「1人っ子」「2人っ子」「3人以上」のうち、一番多いのは2人っ子世帯だった。それが今は、1人っ子世帯は、2人っ子や3人以上兄弟がいる世帯を足したのと同じぐらいになっています[*1]。
では、兄弟がいる子と比べてどうかと言ったら、1人っ子は「きょうだいげんかのできない子ども」ってことでしょう。兄弟がいないから仕方ないですね。
だからこそ、自分の子に「人とのコミュニケーションや葛藤」が足りないんやないか、と心配になる保護者の方も多いんでしょうね。
お子さんに兄弟がいないことでコミュニケーション能力が気になったら「いろんな場面で人と関わること」を意識して、できるだけ“兄弟的な関わり”ができるようにされてはどうでしょう。また、葛藤が少ないと感じたら、思い通りにさせてばかりいるのではなく、あえて意図的に葛藤を起こさせるのもいいですね。
最近は、保育園でも異なる年齢の子どもたちが関わり合う「縦割り保育・異年齢保育」を取り入れてるし、うちの小学校でも1・2・3年生が一緒に活動してます。こうした中で、喧嘩だってするでしょうし、年上や年下の子どもとの“兄弟的な関わり”も体験していきます。家庭内では体験できない葛藤も味わい、成長していくでしょう。
—————————※ここでは兄弟姉妹含めて「兄弟」と表記しました。
「うちの子、引っ込み思案なんです」「もっと友だちをたくさん作ってほしい」という相談は多いんです。
その保護者の方に「お父さん・お母さんの子どものころはどうでしたか?」と聞くと、「私が子どものころはずっと家で本読んでました」「友だちはそんなにいなかったかも」って答えられたりします。
「ほら、お父さんもお母さんもちゃんと大人になって、立派に暮らしてるじゃないですか!だから、お子さんが今の時期少しぐらい人との関わりが苦手でも大丈夫!」そうお伝えしてます。
親はみんな “欲どおしい”(欲ばりな)もの。「もっと〜〜させなきゃ」「今より〜〜にしないと」と子どもに対してなんぼでも希望が出てくるけれど、それは裏を返せば、全身全霊で子育てしてるってことなんでしょうね。
親のコミュニケーション能力は、子どもにすごい影響すると思います。
というのも、「親が家の中で自分にどう関わってくるか」それと「親がほかの人にどう関わっているか」というのは、子どももよく見ていて、ダイレクトに伝わるから。
だから、先ほどの一人っ子のお子さんの場合もそうですが、人とのコミュニケーションが足りているか気になったら、保護者の方が意識して人と関わる姿を子どもに見せるという方法もありますね。
子どもの将来に期待したり悩むのはいいけれど、気をつけたいのが「自分の子どもで自分の人生のリベンジ」しようとすること。
「自分がこうやって過ごしたらこうなった。でも子どもには同じようになってほしくない」「自分と違って、子どもにはああやってほしい、こうやってほしい」って思う気持ちはわかります!
子どもの幸せを願い、「親として子どもにできることをしてあげたい」というのはすごくいい。でも、親の人生と子どもの人生は別やねん。
子どもに「自分の人生では果たせなかったこと」をさせてリベンジするのはあかんで。
僕ら学校の先生もそうですが、保護者も、子どもが豊かに生きていくってどういうことなのかに悩みますよね。
僕は、「豊かさ」というのは「選択肢や関わりが多いこと」だと思います。幅広い人や物事に触れて、自分の興味関心の選択肢を増やしていくんです。
とはいえ、子供の意思を無視して押し付けるのは違います。
例えば、習い事であれば、お金をかけて親がやらせたいことに無理やり行かせるのではなく、子どもがやりたいと思ったときに思う存分やらせてあげることが「豊かさ」につながるんです。
習い事や趣味・遊びだけではないです。子どもたちを見てると、勉強が好きな子もいます。その場合は、その子が知りたいことをとことん学べる環境を作る、それが「子どもが豊かに生きていく」ためにできることやね。
(解説:小崎恭弘先生、文・取材:大崎典子)
参考文献
この記事のライター
マイナビウーマン子育て
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