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育児で疲れたり孤独を感じたりすると、子育ての正解がわからず自己嫌悪に陥ることがあるかもしれません。そんなとき、自分が毒親化しないためにはどうしたらよいのでしょう。精神科医の井上智介先生の『子育てで毒親になりそうなとき読んでほしい本』(主婦の友社)から、毒親にならずに自分と向き合う子育てのヒントについてご紹介します。
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子育ては非常に長い期間かけてやるものです。長いからこそ「持続可能な子育て」を目指してほしいというのが私の思いです。長い子育てのなかには、失敗するときやうまくいかないときは必ずあります。いくら自分がされて嫌なことはしないと強く思っていても、不適切な対応をしてしまうときはあります。
でも、そのときに自分の行動を正当化せずに、自分の過ちを認めて、子どもにきちんと謝ることが何よりも大切です。親のその言葉が、子どもの傷の癒やしになっていくことはまちがいありません。そして親である自分が不完全であることも認めていく。それは勇気のいることですが、不完全だからこそ、ときに子どもに不適切な対応をしても謝るし、不完全だからこそ、まわりの人に頼ったり、病院や行政、学校などに助けてもらったりすることをあたりまえにできるのです。
持続可能な子育てにおいて重要なことは、いろいろな人の考え方をとり入れることです。病院や学校、児童相談所、友達、ご近所さん、それだけでなく本や動画というパターンもあります。つまり、いろいろな人の考え方もあるということを知らないと、親が育児のプレッシャーから解放されることはありません。ただし、いろいろな人が介入すると、よけいなことを言われて、さらにプレッシャーを感じて苦しくなってしまうこともあります。自分が安心したいがために、自分のやり方を強要する人もいるからです。
でも誰かのこの考えが絶対にいい、100%正解ということはないので、ここの10%、あそこの10%と自分なりの判断で、自分に都合のいいところだけとっていきましょう。そうしないと、この人から100%となると、マインドコントロールになってしまいます。その考えだけにはまって、これしかない、これができないとダメとなると、結局は一人で子育てするのと変わりません。いろいろな考えがあることを知って、自分で判断する力を身につけましょう。
その判断ができなくなると、毒親化に進みます。自分にとって都合がいい、自分が楽、自分が幸せといったことが、最後まで子どものためになるという感覚を忘れないでください。
持続可能な子育てができると、親はとても楽になります。そのためのコツをお教えしましょう。3つあります。
①将来に目を向けすぎない②親自身の人生をふり返る③外に助けを求める
一つ目は子どもの将来に目を向けすぎないことです。将来ではなく、いまのありのままの子どもを見ることが大切です。
毒親化するときにベースにあるのは、子どもの将来に対する不安。しかし、将来なんてわかりません。誰がどう考えてもわからないので、それに目を向けると、その不安はふくれ上がる一方です。先のことを見て、不安が小さくなることは絶対にありません。
親が見ている“先”というのは、いわゆる親の描いた理想です。親なりに何か見ている理想の未来があるけれど、現状はそことの距離が遠くてうまくいかないから、不安になってイライラしてしまうのです。期待されすぎる子どももしんどいし、理想に届かない親もしんどいのです。みんながしんどいことなので、やめたほうがいいです。結局、何をやるのかは本人しだいです。
繰り返すようですが、子どもといっても他人なので、そこには人格もありますし、考えも気持ちもあるので、それをどうこうしようというのは親であっても、おこがましい話です。それがひどくなると毒親になっていくわけです。
将来ではなくて、子どもの“いま”の状態を見る。いまに目を向けないと、いま、子どもががんばっていることも見えなくなってしまいます。子どものいま、がんばっている姿を認めて接してあげてください。それがすなわち、子どもが自分の力で成長していくことを信頼するということなのです。
子どものいまに注目して子育てしていると、親は子どもに対する過度な期待はなくなっていきます。自分が毒親化しているかも、と気づいたときは、まず将来からいまに視点を変えるようにしましょう。
(井上智介『子育てで毒親になりそうなとき読んでほしい本』(主婦の友社)より一部抜粋/マイナビ子育て編集部)
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『育児はとてもストレスフル。誰でも毒親になりえます』子育てというのは、非常にストレスフルなもの。仕事は嫌ならやめられるけれど、子育ては嫌でもやめられない。逃げるという選択肢がまずありません。初めての子育てに、不安や心配のない親御さんは、いないのではないでしょうか。
しかも子育ては、独自性の高いもの。つまり一つ一つの家庭によって違いが大きく、親は基本的に自分の家庭しか知りません。そんなふうに、子育てというのはとても難しいものにもかかわらず、世の中では「子育てができてあたりまえ」「誰でもやっているもの」というイメージがもたれています。それが、ますます親御さんを苦しめているのです。『毒親にならない気持ちの持ち方を知りましょう』この本では、自分が毒親化していると気づいた人が呪縛から脱し、わが子に向き合い、自分らしく生きていくステップをご紹介します。
子どもの接し方に悩んだとき、心に寄り添ってくれる一冊です。
産業医・精神科医兵庫県出身。島根大学を卒業後、大阪を中心に精神科医・産業医として活動する。産業医としては毎月30社以上を訪問し、一般的な労働の安全衛生の指導に加えて、社内の人間関係のトラブルやハラスメントなどで苦しむ従業員にカウンセリング要素を取り入れた対話を重視した精神的なケアを行う。精神科医としてはうつ病、適応障害などの疾患の治療だけではなく、自殺に至る心理、災害や家庭、犯罪などのトラウマケアにも力をいれている。さらに、ブログやSNS、講演会などでこれらを分かりやすく「ラフな人生をめざすこと」を発信している。『職場のめんどくさい人から自分を守る心理学』(日本能率協会マネジメントセンター)など著書多数。Twitter @tatakau_sangyoi
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