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動画やゲームのために、あらゆる手段でフィルタリングの抜け道を探す子どもたち

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目次

私たち親世代は、子どものデジタル機器の付き合い方や、ITリテラシーの教え方にどう向き合ったらよいのでしょうか? ITジャーナリスト・スマホ安全アドバイザーとして活躍し、自身も二児の母である鈴木朋子さんに教えてもらいます。今回のテーマは、「フィルタリングやペアレンタルコントロールの抜け道を探す子どもたち」についてです。

執筆者プロフィール 鈴木朋子さん ITジャーナリスト・スマホ安全アドバイザースマホやSNSなど、身近なITサービス全般に関する記事を執筆。なかでもSNSに関しては、コンシューマーからビジネスまで広く取材を行い、最新トレンドを知るジャーナリストとして定評がある。また、安全なIT活用をサポートするスマホ安全アドバイザーとして記事執筆や講演も行う。著書は『親が知らない子どものスマホ』(日経BP)、『親子で学ぶ スマホとネットを安心に使う本』(技術評論社)、『インターネットサバイバル 全3巻』(日本図書センター)など。

動画にゲームに、スマホやタブレットを見たい子どもたち

動画配信やゲーム、SNSなど、ネットサービスには魅力的なコンテンツがいっぱいです。「ゲームをやめて勉強しなさい」「視力が落ちるから動画はやめなさい」と親が話しても、子どもたちは聞く耳を持ちません。どうにかしてフィルタリングやペアレンタルコントロールをかいくぐり、動画の視聴やゲームをしようとします。

子どもたちの気持ちもわかります。各家庭のルールがそれぞれ異なるので、たとえば人気YouTuberが最新の動画を上げる日に、見られる子とそうでない子がいます。「友だちは今日の配信を見てるのに」と、話題に乗り遅れることを嫌がるお子さんもいますね。ゲームもログインボーナスを得るために、毎日遊びたいものです。とはいえ、寝る時間が遅くなったり、宿題をしなくなったりと、日常のサイクルが崩れてしまうのは考えものです。

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子どもたちを守るために、フィルタリングを設定しているご家庭も多いでしょう。総務省の「我が国における青少年のインターネット利用に係るフィルタリングに関する調査」によると、未就学児で22.2%、小学低学年で33.2%、小学高学年で47.6%の人がフィルタリングを利用しています。つまり小学高学年になると、約半数の人はフィルタリングの制限なしにスマホを使い、約半数は制限されているということになります。

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フィルタリングサービス利用率(出所:総務省「我が国における青少年のインターネット利用に係るフィルタリングに関する調査」/2021年4月)

この調査は自分専用のスマホを持っている人が対象ですが、スマホだけでなくタブレットや学校から配布された端末など、ネットに接続するデバイスは増えるばかりです。ゲーム端末でもネットのブラウザ機能を持つものもあります。そこで、どうにかして動画やゲーム、SNSを楽しみたい子どもたちは「抜け道」を探します。

「コーンバター」でYouTubeが見られる!?

子どものスマホを制限するためにフィルタリングを設定しているご家庭は、子どもたちがフィルタリング解除のためにパスワードを突破しようとすることはご存じでしょう。親が設定したパスワードを推測して何パターンも入力したり、引き出しなどからパスワードを記述したメモを探します。親がパスワードを入れる際の指の動きや指紋の跡を観察する子もいます。

また、YouTubeにもフィルタリング回避方法として動画を上げている人がたくさんいます。こうした動画で紹介されている手順ではうまくいかないことがほとんどなのですが、コメント欄を見ると試している子どもがたくさんいることがわかります。学校から配布された端末の制限を解除しようとする子も多くいます。

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子ども同士のクチコミでも、フィルタリング回避の方法が伝わります。ある小学生のお子さんは、上級生から学校配布の端末でYouTubeを見る方法が伝わってきたとのこと。「コーンバターを使うんだよ」とママに教えてくれたそうですが、どういうことでしょうか。

これは、「YouTubeコンバーター」と呼ばれるサイトを利用してYouTubeを視聴する方法です。お子さんは名称を間違えて覚えてしまったんですね。

YouTubeコンバーターとは、YouTube動画を別のファイル形式に変換して保存するWebサイトです。YouTubeコンバーターを名乗るほとんどのサイトはフィルタリングで規制されて利用できないのですが、手当たり次第にタップしていくと利用できるサイトが見つかることもあるそうです。サイトが見つかったら、見たいYouTubeのURLやキーワードを入力します。すると、実際にダウンロードしなくても、検索結果に動画がプレビューされるため、見たい動画を見られるという方法です。

しかし、この方法を検証するために、いくつかのWebサイトを見ましたが、ブラウザに「トロイの木馬に感染しました」などのセキュリティ警告が一面に表示されたり、セキュリティ機能を名乗った警告通知がひっきりなしに出るなど、リスクが高いサイトばかりでした。

また、プロキシサーバーと呼ばれる、Webサイトへのアクセスを代理で行うサーバーを介す方法や、VPN(バーチャル プライベート ネットワーク)という仮想的に構築した専用ネットワークを介す方法も使われています。ITの知識がないと難しいため、方法を知ってもすべての子が利用できるわけではない上に、利用するデバイスやネットワーク環境にもよるのですが、こうした方法を調べてブログにしたり、掲示板に書き込んだりしている子も見かけます。スマホでは、アプリのサブ機能にあたる機能で楽しんでいる子もいます。たとえば、文字入力アプリ「Simeji」には、SNS機能、AI画像処理機能、小説投稿コーナーがあります。かわいいキーボードのデザインがたくさん用意されている人気アプリですが、親としてはほかの機能も用意されていることを知っておきたいですね。

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Simeji 小説コーナー「Yomeji」(Simejiより引用)

また、ゲーム機も要注意です。Nintendo Switchを使ってネット掲示板に書き込んでいる小学生もいます。Nintendoの公式サイトによると、Nintendo Switchにはブラウザ機能は内蔵されていないのですが、一部の本体機能やソフトからWebサイトを閲覧できることがあるそうです。ただし、安全なページのみに制限されているとのこと。前述のネット掲示板は制限されていない安全なページなのかもしれませんが、親が知らないうちに「ネッ友」ができている可能性があります。

フィルタリングがなぜ必要なのかを話し合いましょう

フィルタリングやペアレンタルコントロールでは、「21時になったら画面をロック」「このアプリは2時間まで」など設定すると、間違いなく動作します。ルールを守らせるためには非常に有効な機能です。

とはいえ、本人がなぜ制限されているのか理解できない場合には、どうにかしてこの制限を突破しようとします。友だち同士で助け合うつもりで制限を破る情報を共有することもあります。その結果、学校から配布された端末の設定が元に戻せなくなったり、家庭のPCにニセの警告通知が表示され続けるかもしれません。

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そこで、スマホルールの策定も含めた、親子の話し合いが必要になります。

お子さんには今一度、なぜフィルタリングやペアレンタルコントロールが必要なのかをきちんと話しておきましょう。そして、なぜフィルタリングやペアレンタルコントロールを破ろうとしたか、スマホやタブレット、PCで何をしたいのか尋ねてみます。好きな電車について調べたい、など学習に繋がる行動が含まれているケースでは、使用アプリごとに時間を区切ってもいいですね。もっとゲームがしたい、もっと動画を見たいというエンタメ目的の場合は、先に宿題を済ませるなどの約束ごとを決める方法もあります。制限を突破するリスクについても話しておきましょう。

家庭のルールの決め方は、本連載の第2回目「フィルタリングだけじゃ足りない? 子どものスマホルールの作り方」にもありますので、ぜひ参考にしてください。

(文:鈴木朋子、編集:マイナビ子育て編集部)


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