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「ちょっと幸せ」をテーマに、グルメ・美容・健康・カルチャーなど、女性にうれしい情報満載のフリーマガジン「Poco'ce(ポコチェ)」から嵐莉奈さんのインタビューをお届けします♪
2004年5月3日生まれ。2019年に「ミスiD 2020」でグランプリ&ViVi賞をW受賞。2020年5月発売の雑誌「ViVi」7月号から、専属モデルとして活躍中。また、2020年3月からは、ZOZOコラボによる自身のプロデュースブランド「L'DEZA(エルデゼ)」を展開。その他、CM、テレビ出演も多数。
「国を持たない最大の民族」と呼ばれるクルド人をご存知だろうか?中東を中心に国境を越えて広く暮らすこの民族の中には、差別や迫害などにより、ふるさとを追われている人たちが多く存在する。そしてここ、日本の埼玉県にも約2000人ほどのクルド人たちが生活をしているのだ。しかし日本では難民認定された例は無いに等しく難民申請が不認定となり在留資格を失うと、彼らは働くことも居住区から移動することもできなくなる。
「私も“難民申請”という言葉はニュースで聞いたことがありましたが、実際どんなものなのか、申請された方がどういう状況に置かれているのかは、まったく知りませんでした。クルドという民族のこともこの作品で初めて知り、不自由な生活を強いられながらも家族のために頑張るサーリャの姿にとても胸を打たれました」
そう話すのは、本作で主演を演じた嵐莉菜さん。自身もドイツと日本、イラン、ロシア、そしてイラクの5カ国のマルチルーツを持つ。
「オーディションのお話をいただいたとき、サーリャ役を絶対にやりたいと思いました。というより“私にしかできない!”と思いました。私も子供の頃から外国人扱いされることは何度もありました。作品中にサーリャがアルバイトをしているコンビニに、おばあさんが来店して、“どこの国の方?いつ帰るの?”と聞かれるシーンがあるのですが、その何気ない質問に傷つき、寂しい気持ちになるサーリャに自分を重ねずにはいられませんでした。自分が日本人じゃないと言われているようで、日本にいちゃいけないのかな...って落ち込むんです」
そこに悪気があるわけではなく、何気ない会話の一部だということはわかっている。だからこそ辛いと嵐さんは話す。
「誰も責められないから、ただ自分がイヤになる。“私は日本人です”と言いたいのに、周りが認めてくれない。私は何人なんだろうって」
自身の経験をリンクさせつつ、役作りには撮影前に行われたワークショップが大きく役立ったそう。
「実際にクルド人ファミリーにお会いしてお話を伺ったり、作法を教えてもらいながら一緒にご飯を食べました。そこに高校生の女の子がいて。歳も近く、趣味 も合ったので一気に仲良くなりました。でも話を聞いていくうちに在留資格がないから大学に進学できるかわからない、 埼玉県からも出られないという話を聞いて...。本当に胸が苦しくなりました。だからこそ、この作品を完成させてより多くの人がこの現状を知る機会となってほしいと思いましたし、絶対に良い作品にしたいと強く思いました」
そして見事に本作は『第72回ベルリン国際映画祭』アムネスティ国際映画賞の特別表彰を授与。日本作品が栄誉を受けるのは17年間続く同映画賞で初という快挙を遂げた。
「ベルリンに招待していただけたことだけでも嬉しくて実感がなかったのに、まさか表彰していただけるなんて、頭が真っ白になるくらいびっくりしました。 たくさんの人たちと作り上げた宝物のような作品が評価されて、すごく嬉しかったです。国境を越えて多くの方たちに評価していただけたことは光栄なことですし、とても幸せです」
女優としての初めての作品で初主演を演じ、世界デビューも果たした嵐さん。今後の目標を伺うと。
「撮影に入る前、正直プレッシャーを感じていました。お芝居の世界での先輩方に囲まれて、その方たちの足を引っ張 てしまったらどうしようと不安でしかたなかったんです。でも、ワークショップや撮影現場で監督と話し合うことで、台本ではわからなかったサーリャの心情や葛藤を自分の中に落とし込むことができました。自分の中で役と向き合い、考えるという時間と経験はとても勉強になりましたし、これからももっと演技を勉強したいという気持ちを大きくさせてくれました」
”非現実的な世界もお芝居を通してなら経験できますし”と嵐さんは笑う。
「子供の頃の夢はお姫様に始まって、警察官やお医者さん、キャビンアテンダント...と、いろんなものに憧れました。現実にはなれなくても、演技の世界でなら何にでもなれるのも役者の魅力かなと。だから、どんな役でもこなせる多様性のある女優さんになりたいです。もちろんモデルのお仕事も続けていきたいので両方を任せてもらえるように頑張ります」
そして理想の女性像を伺うと「サーリャのような人」というお答えが。
「周囲のために自分を犠牲にできたり、大変なことがあっても家族のために頑張ったり、夢を追いかけている姿がとてもかっこよくて、サーリャみたいな強い女性になりたいです」
最後に改めて作品について伺うと。
「サーリャたちの置かれた状況や、将来を想像するとどうしても辛い気持ちになってしまうけれど、クルド人の美しい伝統衣装や美味しい料理など、素晴らしい文化にも注目して欲しいです。そしてこの作品をきっかけに、クルド人をはじめ、世界中で起きている人種や民族の問題に関心を持ってもらえたら。“彼女たちをいない存在にしないこと”。まずは、知ることを大事にしてもらえたら嬉しいです」
©2022「マイスモールランド」製作委員会
監督・脚本/川和田恵真 出演/嵐莉菜、奥平大兼、平泉成、藤井隆、池脇千鶴、 アラシ・カーフィザデー、リリ・カーフィザデー、 リオン・カーフィザデー 他 公開/5月6日(金)新宿ピカデリー 他
PHOTO / Hirohiko Eguchi (Linx.) STYLING / Rina Uchida HAIR&MAKE / Tsukushi Tomita (TRON) TEXT / Satoko Nemoto
この記事のライター
Poco'ce
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