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ルポライター・鈴木大介による『家のない少年たち』を原案とする漫画『ギャングース』(肥谷圭介著)。社会の闇を克明に描いたセンセーショナルな作品の映画化にあたり、主演の高杉真宙、渡辺大知のふたりに作品について語ってもらった。
高杉真宙 Mahiro Takasugi
1996年生まれ。2009年、舞台『エブリ リトル シング'09』で役者デビュー。2010年、『半次郎』で映画初出演を果たし、2012年には、映画『カルテット!』で初主演を務める。2019年には、主演映画『笑顔の向こうに』ほか、『賭ケグルイ』の公開も控えている。
渡辺大知(黒猫チェルシー)
1990年生まれ。ロックバンド・黒猫チェルシーのボーカル。2009年、映画『色即ぜねれいしょん』で演技未経験ながら、2,000人の中から主役に選ばれ、日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。2015年には、映画『モーターズ』で監督・脚本を務める。俳優、歌手、映画監督と多方面で活躍中。
犯罪集団のみを標的とする窃盗稼業「タタキ」を繰り返しながら暮らすサイケ(高杉真宙)、タケオ(渡辺大知)、カズキ(加藤諒)。少年院で出会った3人は、出所後もまともな職に就くことができずにいたが、ひとり一千万円、合計三千万円の準備金を貯めることで、いつの日かまた表社会でまっとうに暮らそうと目論んでいる。そんな矢先、半グレ系アウトローによる犯罪組織“六龍天”に3人の身元が割れてしまい……。
―まずは原作を読んだ感想を聞かせてください。
高杉 実際に日本にこんな世界があるのに、自分はまったく知らないで生きてきたことを気持ち悪いなと思いました。これまでもニュースなんかでは見聞きしていたんだろうけど、まるで他人事のように感じていた部分があった。だから、この役をやらせていただくことになって現場に入ったら、見たことのない世界が広がっていたし、自分の知らない用語がたくさんあった。そのときに自分の内から出てきた感情を、映画を観てくれる人に伝えたいなと思いました。
渡辺 自分も、現実に起こっていることをもとに作られている話のはずなのに、おとぎ話を読んでいるような気持ちになりました。同時に、一日一日を生きるだけでも必至な主人公たちの姿を垣間見ることができたことは、自分にとって幸せなことだなあと感じられたんです。多くを求めずただ生きることにまっすぐな姿がキラキラ輝いて見えたというか。タケオを演じるにあたって、その部分を一番大事にしたいと思いました。
―出演のお話をいただいたときの気持ちをきかせてください。
高杉 この役を僕にやらせたいと思っていただけたことがうれしかったです。やったことがないタイプの役だから、(過去の)どの作品を観て僕を選んでくださったのかな?って。
渡辺 僕はデビュー作から文化系で純朴な青年の役が続いていたので、アクションシーンなんかがある役に挑戦してみたい思いがずっとあったんです。自分自身も“ヤンキーに憧れた文化系”だったし(笑)だからお話をいただいたときは「遂にきたか!」という感じでしたね(笑)
衣装/シャツ 28,000円 パンツ 24,000円 ニードルズ/ネペンテス (渡辺大知)
―実際にアクションシーンも多いですが、撮影は大変でしたか?
渡辺 過酷な現場だったんで、移動中とかは3人ともしゃべるより寝てましたね。そういう時間を一緒に過ごせたのはすごく貴重でした。
高杉 今でもそのときのことはよく思い出します。フィクションで撮ってましたけど、3人で一緒にタタキやったのは自分の中でノンフィクションのように感じてました。3人で集まるとテンションが上がってきて、「ここでこうしよう」って思ってなかった動きが出たりもあったし。
―3人とも仲間がいるからがんばれたところがあると思うのですが、おふたり自身が、自分を支えてくれている人たちの存在をありがたく思うのはどんなときですか?
渡辺 僕はバンドをやってるんですけど、音楽ってひとりでやってもつまんないんですよ。メンバーの音を聴く行為そのものが、心地いい気持ちとか熱い思いに化けるのがバンドの醍醐味だし、音楽はふたり以上じゃないとできない。目の前に聴く人がいて初めて音楽になるというか、人と人の間に流れてる空気が音楽だと思っているんだけど、映画作りにも同じ側面がある。撮る人と映る人、最低ふたりいないと成り立たない。僕はもう一人で創作はできないし、もはや人と一緒に創ること自体が自分の生きがいになっています。
高杉 以前は、「どれだけ自分と戦って生きていけるか」という考え方だったんですけど、最近になって、一人で戦ってるんじゃなくていろんな人に助けられてることに気づきました。特に高校時代の友人2人には支えられています。心配事があるときでも、2人と集まって話してるだけで気持ちが楽になることがあります。
―日々、将来への不安や日常への不満を抱えながらも、3人のように力強く生きたいと思っている人にメッセージをお願いします。
高杉 僕自身は苦しくなったときには、「ま、いっか」って考えることを止めます。思いつめ過ぎず、一旦現実逃避するといい方法が浮かぶかも。
渡辺 今の現実を精一杯生きること、自分がやるべきこと、やらなきゃいけないことをまっとうすることがまずは大切。現実を「受け止める」って大事なことなので。どうすれば今の現実をより楽しくできるかを考えることが、最終的には自分の理想に近づくことかもしれないと思います。
「ギャングース」
(C)2018「ギャングース」FILM PARTNERS (C)肥谷圭介・鈴木大介/講談社
原作/肥谷圭介、鈴木大介「ギャングース」(講談社「モーニング」)
監督・脚本/入江悠
出演/高杉真宙、加藤諒、渡辺大知、林遣都、伊藤蒼 他
公開/11月23日(金・祝) TOHOシネマズ日比谷 他
TEXT/Reiko Matsumoto PHOTO/Isamu Ebisawa
Mahiro Takasugi
STYLIST/Shuichi Ishibashi HAIR&MAKE/Sayaka Tsutsumi
Daichi Watanabe
STYLIST/Shinya Tokita HAIR&MAKE/KEN
この記事のライター
Poco'ce
19082
「ちょっと幸せ」をテーマに、グルメ・美容・健康・カルチャーなど、女性に うれしい情報満載のフリーマガジン「Poco'ce( ポコチェ)」を発行しています。価値ある良質な情報を求める世代に向けて、「美・食・遊・学」を厳選してお届けし、 東京の働く女性たちを応援しています。
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