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「ちょっと幸せ」をテーマに、グルメ・美容・健康・カルチャーなど、女性にうれしい情報満載のフリーマガジン「Poco'ce(ポコチェ)」から永瀬正敏さんのインタビューをお届けします♪
Profile
1966年生まれ。83年に相米慎二監督『ションベン・ライダー』でデビュー。国内海外含め100本近くの映画に出演し、様々な賞を受賞。河瀬直美監督『あん』『光』、ジム・ジャームッシュ監督『パーソン』の3作品で、出演作が3年連続でカンヌ国際映画祭に出品された初の日本人俳優となった。
スクリーンの中にいる気持ちで一緒に事件を解決して欲しい
「脚本を読ませて頂いたとき、その世界観にどんどん引きこまれました。そして読み終わった直後にこの物語の中に自分の身を置いてみたいと願いました」
そう語り始めてくれた永瀬正敏さん。役者として35年を超えた2019年2月、満を持して公開されるのが、本作『赤い雪 Red Snow』だ。
永瀬さん演じる、雪の日に失踪した少年の兄・白川一希と、W主演となる菜 葉 菜さん演じる事件の容疑者の1人娘・江藤早百合の姿を描いた作品。被害者の兄と容疑者の娘、ともに心に傷を持つ男女が交錯しながら、人間の記憶の曖昧さに訴えかける…。
「言ってしまえば犯罪ミステリーだったり、サスペンスだったりするんですけど、物語の中にはあちこちに伏線が張られているんです。“あの人もそうなの?”“え、そうだったの?”とハッとさせられる瞬間がたくさんありながら、最後はそれがひとつにまとまっていく。そこに強く引かれました。記憶というものがいかに曖昧なのか、自分の記憶が正しいのか… 怖くなりましたね。でも、誰しも自分に都合がいいように記憶を変えたり、その逆で記憶に苦しめられたりということがあると思うんです。記憶が曖昧なら人生もまた曖昧…。そこに着目された監督は新しいなと思いました」
さぞ現場にもシリアスな雰囲気が漂っていたのだろうと想像していたが、とても楽しかったと永瀬さんは笑う。
「出演者全員が“こういう世界観の映画に出させてもらっている”という高揚感があったんでしょうね。現場はとても楽しかったです。菜 葉 菜さんや井浦新さん、佐藤浩市さん、それぞれみんな熱量が大きくて、役に入って行くアプローチもすごかった。それが凝縮されて1本の映画になると思うと、現場にいるときから完成が楽しみでした。ただ、雪の中での撮影はやっぱり大変でしたね。菜 葉 菜さんとの雪の中で激しくぶつかり合うシーンがあるんですが、新雪の中の撮影だと、足跡を残せないのでリハーサルができない。だから頭の中でシュミレーションして歩くんですが、いきなり深くなったり木の根に足を取られたりする。でもそれが映画の中でよりリアルに、プラスになった気がします」
『この作品は、様々な感想や意見が出る珍しい作品だと思う』と永瀬さんは話す。
「楽しかったり悲しかったり、観ていてわかりやすい作品も良いのですが、映画はそれだけではないと思うんです。この映画は観終わったとき、僕はこう思う、いや私はこうだなって、色んな意見が出る作品。あの後2人はどうなっていくんだろう… とかを想像して、観客にもうひとつのエンディングを作ってもらえたら嬉しいですね。昔は映画を見た後、飲みながらあーだこーだ言い合うのが楽しかったんですよ。そういう意味では若い方たちに観てもらいたいかな。“泣けたー”“面白かったー”で終わりにしないで、色んな人と感想を言い合うという楽しみも知ってもらえたら嬉しいです」
最後に、今月号の『ギフト特集』にちなんで、永瀬さんの記憶に残るギフトのお話を伺うと。
「この撮影のとき、新くんに写真集をもらったのが嬉しかったなぁ。ロケ地だった山形には土門拳さんの記念館があるのですが、そこに行ってわざわざ買って来てくれたんです。お互いに写真が好きだから嬉しかったですね。でもそれ以上に僕が記念館に行く時間が取れないことを彼がわかってくれてたことに感動しました。ギフトって物はもちろんだけど、その背景を想像するとよりグッときますよね。お返しをするとしたらやっぱり写真集かなぁ。彼がまだ知らないカメラマンを探して“この作品、どう?”って渡したい。あ、でもこれを言っちゃうとプレゼントしなきゃいけなくなっちゃうから、黙っておけばよかったかな(笑)」
「赤い雪 Red Snow」
(C)「赤い雪」製作委員会
監督・脚本/甲斐さやか
出演/永瀬正敏、菜 葉 菜、井浦新、夏川結衣、佐藤浩市 他
公開/2019年2月1日(金)テアトル新宿 他
TEXT/Satoko Nemoto
PHOTO/Isamu Ebisawa
STYLING/YASUHIRO WATANABE(W)
HAIR&MAKE/MIWAKO TOHYAMA(THYMON Inc.)
この記事のライター
Poco'ce
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