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警察庁の特別防犯対策監として全国の警察本部、警察署、警察学校を視察してきた歌手で俳優の杉良太郎(82)が、9月16日に警視庁麹町署を訪れ、通算200か所目となった。2019年10月の警視庁月島署から足かけ7年。最前線で市民生活を守る警察官を励まし、多様化する特殊詐欺対策を呼び掛けてきたが、「寿命の限り全国を回りたい」と決意を新たにした。
2018年に特別防犯対策監に委嘱された杉は、当時の思いをこう振り返る。「各県警本部や所轄署に対して、意思の疎通、警察庁としての思いを伝えていくのが自分の使命」。全国の警察への視察を続け、足かけ7年で200か所目の節目を迎えた。
すでに47都道府県の警察視察を終え、警視庁管内の全102か所視察も達成間近だ。26年6月、190か所目の視察先となった小笠原諸島の小笠原署には4泊5日の船旅で訪れた。
「通常だったら1週間では帰れないところを3日くらいで帰れるというチャンスがあったので行ったら、台風の影響で1日延びて4泊5日になった。船で24時間かけないと現地へ行けない。ずっと船の中にいるのは大変なストレスを感じました」。それでも、日本全国の警察の現場に足を運んできた源には熱い思いがあったからだ。
「どうしたら現場(の警察官たち)がやりやすい状況を作れるか。きつい、大変、厳しいということだけがみんなの意識の中に植え付けられてしまって、警察官を志望する人が減ってきている。増加する外国人への対策や暑さ対策も必要。逮捕令状のIT化も5年ぐらいかかりましたが、進んできて現場としてはやりやすくなったのでは」
現場の警察官の「本音」が聞きたい。全国津々浦々、杉は自ら現地まで足を運び、自身の目で見たこと、感じたことを問題解決への足がかりとしてきた。
「特に若い人たちがもろもろと悩みを抱えている。こういうことで悩んでいるのかと、私も勉強になることがあった。縦割り社会だから同僚たちも初めて聞くような話もある」。対話だけでなく、後日、感想文を書いてもらうことで、きめ細かなケアを心がけてきた。「私に何でも打ち明けて、話してくれるような雰囲気になってきたかな。一人ひとり、丁寧に答えないと。その人にとっては一生に1回かもしれないことなので」
全国の警察施設は1100か所を超える。「埼玉、神奈川、千葉も3分の1か半分くらいしか行ってないので、倒れるまで全部足を運びたい。最初に警視庁管内102か所を回ると言ったら、絶対無理と言われた。でも、無理なことはない。やる気があればやれるんです」ときっぱり。「全国? 寿命があればね。生きている限りやります」と力強く宣言した。
特別防犯対策監としての大きな課題が特殊詐欺対策だ。AIの進化もあり、詐欺の種類も多様化しているが、「特殊詐欺対策はそんなに難しくない」と言い切る。「皆さんに理解してほしいのは、電話からくる犯罪だということ。登録していない番号をシャットアウトしてくれればいいんです。どんな犯罪組織であろうと、電話に出なければ、他に掛ける手段はないのだから」。
各携帯電話会社では特殊詐欺を防ぐサービスを提供しているほか、警察庁の特殊詐欺対策スマホアプリもある。「無料で設定できるのに、なかなかやる人が増えてこない。自分は大丈夫だという人ばかりがやられている。自分ごとと考えないと危ない。ただ気をつけましょうではダメ」。繰り返しになるが、明日は我が身と強く訴えた。
◆杉 良太郎(すぎ・りょうたろう)1944年8月14日、兵庫・神戸市生まれ。15歳から刑務所慰問・視察など福祉活動を始める。65年歌手デビュー。66年、ドラマ「燃えよ剣」で俳優デビュー。67年、NHK「文五捕物絵図」の主演で脚光を浴び、「遠山の金さん」など1400本以上の作品に主演。69年に京都・南座で初座長を務めて以来、舞台でも長く活躍。2016年度の文化功労者に選出。警察庁特別防犯対策監のほかに法務省・特別矯正監、厚生労働省・特別健康対策監も務める。
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スポーツ報知
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