/
薬剤師の三上です。日差しが強くなるこの時期に気になるのが、紫外線によるシミのケア。でもそのシミ、紫外線だけのせいじゃないかもしれません。今回は、シミの中でも特に女性ホルモン(+紫外線)が原因で起こるシミである肝斑(かんぱん)の薬について紹介します。
最近は、夏でもUV対策をこまめにして日焼けをしない!という女性が増えてきました。ただ、UVケアも日焼け止め効果が弱い製品であったり、正しい量を使っていなかったりこまめに塗り替えていないことで、どうしても紫外線を浴びてしまうことがあります。
そして、9月頃からシミが濃くなった!気になる!という方が増えてきます。この時期に、ぜひ対策したいですね。
さて、肝斑はどういうシミなのでしょうか。肝斑は実は、紫外線ケアに関係なく女性ホルモンの影響でできてしまします。
肝斑というシミの特徴は、
・頬骨(目の下から外側にかけて、ほっぺたの上の方で骨が出ているところ)のあたりに、左右対称に出ているシミ。目のすぐ下にはでません。
・薄茶色~茶色のシミがブツブツできて集まっていたり、もやーっと薄茶色が沈着したようなシミが広がっている。
・紫外線ケアをしていても、できてしまう。薄くならない(紫外線が原因ではないので)。
・30~40代から突然シミが気になるようになった。
というシミです。もし、分かりづらかったら、「肝斑」で画像検索してみてもいいかもしれませんね。
片方だけにあるシミ、5mmぐらいから大きいものでは2cm以上にもなる丸い薄茶色のシミ(老人性色素斑)などは、紫外線によるシミで女性ホルモンによる肝斑ではありません。
シミができる理由は、皮膚の細胞への刺激によってメラニンがでて、皮膚にシミを作ります。その刺激には、紫外線(UV-B)が一番有名ですが、ずっと同じところをマッサージでこすりすぎたり、マスクやメガネの擦れなどの物理的な刺激もシミになります(色素沈着)。
肝斑は、女性ホルモン(エストロゲン)の刺激によって起こるシミです。
そのため、女性ホルモンが多い女性に特徴的なシミで、妊娠出産を経験したり、低用量ピルを服用していると比較的なりやすくなります。
また、紫外線を浴びるとより悪化しますので、通常のシミもそうですが肝斑がみられたらUVケアは必須です!
ただ、女性ホルモンが原因のシミですので、50代以降に更年期がきて女性ホルモンが少なくなると改善していきます。
ですので、放置しておいてもいいかもしれませんが、酷くて気になってしまったり、シミを隠す化粧品を使うことで化粧が濃く見えてイヤ、といった相談も受けます。
まだまだ仕事やデート、子育てなどで人と会うことが多い30~40代ですから、気になるようでしたらケアをしてみるのもいいですね。
※専門的になりますが、紫外線により起こるシミは色素細胞(メラノサイト)を刺激してメラニンを放出しシミになります。エストロゲンは皮膚の表皮細胞(ケラチノサイト)を刺激して、間接的(プラスミン活性を介して)に色素細胞を刺激してメラニンを放出して薄茶色シミになると考えられています。
肝斑が酷くて気になる、どうしても判断がつきにくいという場合には、皮膚科を受診してみるのが良いかと思います。
以前は、『シミ治療のレーザーでは、肝斑は悪化する』と言われてきましたが、肝斑でも使えるレーザー治療の機械がある施設もありますし、ハイドロキノンやレチノイン酸といった成分のクリーム(※)で治療する(薄くする)こともできます。
また、飲み薬でビタミンC、L-システイン、トラネキサム酸という成分を処方してもらい治療することがほとんどです(市販薬より成分量は多いので、より副作用に気を付ける必要があります)。
この3つの成分は市販薬のトランシーノと同じ成分ですので、「うっすら気になってきた」「まずは薬局で気軽に相談したい」といったことであれば、ドラッグストアでの購入も選択肢の一つになりますね。
肝斑の市販薬にはトランシーノ(第一三共ヘルスケア)という商品があります。この薬は第一類医薬品という分類になり、薬剤師がいるドラッグストアか、インターネットできちんと説明を受けて納得してからの購入になります。
まず、ドラッグストアに行って、自分のシミを薬剤師に相談してみましょう。また、相談する前にトランシーノのサイトに簡単なチェックリストがありますので、参考にしてみるのもいいですね。
トランシーノの成分をとても簡単に説明すると、炎症を押さえるトラネキサム酸、メラニンを作られないようにするL-システイン、抗酸化作用によりシミを薄くするビタミンCが入っています。
ただ、紫外線により肝斑は濃くなりますので、紫外線カットのケアも重要です。
紫外線の強い季節や、時間(11時から15時ぐらいまで)を考えて、日焼け止めクリームや日傘などを使ってくださいね。
※ハイドロキノン、レチノイン酸といった成分になります。UVケアをしながら使うことになるかと思います。ただ、使用法や量、濃度によっては、悪化することもありますし、肌に量や濃度が合わなくてかゆい、ボロボロになってしまった、よけいシミが悪化した。ということも耳にします。自己判断で使わず医師の指示に従って使いましょう。
※ハイドロキノン、レチノイン酸は、酸化しやすい成分です。封を開けたら保存法にもよりますが、長くても3か月ぐらいでは使うようにした方がいいですね。1年前のは使えますか?オレンジ色になってきましたが大丈夫でしょうか?という質問を受けますが、もう酸化して肌に逆によくないでしょう。
【あなたにおすすめの記事】
■ドラッグストアで買える!本気の美白神コスメ3選
■目指せ色白美人♡コスメのプロおすすめ!春の最新美白美容液3選
■シミほぼ0の美容研究家が本当に実践している紫外線対策5選!
■春の紫外線対策は内側からのケアが大切!おススメ食材5選
■しみの漂白剤『ハイドロキノン』と次世代美白成分『ルミキシル』
この記事のライター
薬剤師
三上彰貴子
4321
外資系製薬会社勤務後、慶應義塾大学にてMBA取得。卒業後、朝日アーサー・アンダーセン(現PWC)にて主に医療分野のコンサルティングを手がける。2005年より独立し、株式会社A.M.C代表取締役となり、製薬会社・化粧品会社関連のマーケティング、人財育成セミナーなどを行う。現在は、薬科大学博士課程にて研究も行う。その他、薬局薬剤師、登録販売者向けの講師、薬科大学非常勤講師としても活躍中。
ライフスタイルの人気ランキング
新着
カテゴリ
公式アカウント