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鮮やかな花を咲かせる福寿草(フクジュソウ)は、俳句では新年の季語としても使われ春を告げる花としても知られています。比較的目に入りやすい場所に生息していることもあり、目にしたことがある人も多いのではないでしょうか。今回の記事ではそんな福寿草の特徴や花言葉、花の名前の由来などを解説していきます。
福寿草はキンポウゲ科フクジュソウ属の宿根草で、太い根に短い根茎、黄色く華やかな花姿が特徴。
生息地域は北海道から九州まで広く、照葉樹林の林床に自生している植物です。
雪が降る早春に芽吹くこともあり、春の花としても親しまれています。
そもそも福寿草は、江戸時代において『福告ぐ草(フクツグソウ)』と呼ばれていたのだとか。
そこから呼びやすくするために『告ぐ』が『寿』に変わり、最終的に『福寿草』となりました。
また開花期が長く、『福寿草』の『寿』と合わせて『長寿』の意味があるともされています。
福寿草の別名は、元日草(ガンジツソウ)や朔日草(ツイタチソウ)で、縁起の良い花として、正月に飾っていたことが由来です。
福寿草にはいくつか種類があり、自生から園芸品種まで幅広いです。
【福寿海】
代表的な品種で、福寿草といえば『福寿海』を指します。
丈夫な品種なため園芸初心者でも育てやすく、鉢植えや庭植えでも用いられます。
【秩父紅(チチブベニ)】
丸みのある花びらが愛らしい品種。
朱色のような紅色の花を咲かせ、『紅花』という別名があります。
【ミチノクフクジュソウ】
黄色に先端がオレンジの花びらが特徴の福寿草。
中国北部や朝鮮半島、東北から九州と分布範囲が広い品種です。
【撫子(ナデシコ)】
撫子弁と呼ばれる、先端が切れ込まれた花びらの品種で、花姿もナデシコに近いことから名付けられました。
【白寿(ハクジュ)】
淡いクリーム色の花を咲かせる福寿草で、白花と呼ばれています。
福寿草の誕生花は1月1日、1月3日、1月4日、1月12日、2月26日、4月6日。
開花時期は2月〜3月で、地域によってはまだ雪が降る時期に芽吹きます。
福寿草が市場に出回るのは1月〜3月のあいだで、最盛期は2月頃。
開花時期より早く出荷されるのは促成栽培によるもので、お正月時期に合わせて出回ります。
福寿草はおめでたい花名から連想できるように、正月には即成栽培された福寿草が松竹梅とともに飾られます。
お店によっては松竹梅やマンリョウなどと共に寄植えしたものも出回り、お正月に華やかさを添えてくれます。
福寿草の根には利尿作用や強心作用があるとされており、漢方薬として用いられています。
自生している品種もあるので、自身で採取し煎じる方もいますが、一歩間違えると毒になる危険があるので注意が必要です。
福寿草の茎と葉、根には嘔吐や呼吸困難、心臓麻痺を引き起こすおそれがあります。
また、福寿草の芽はフキノトウと形状が近いことから、山菜として口にしてしまうケースも多いです。
知識がない人は福寿草には、手を出さないほうが賢明でしょう。
ここからは、福寿草の花言葉や由来について解説していきます。
福寿草の花言葉はいくつかあり、それぞれに由来があります。
▶『幸せを招く』『永久の幸福』
縁起の良い植物として知られている福寿草にふさわしい花言葉です。
由来も古くから縁起物の花とされてきたことにちなんでいます。
▶『悲しき思い出』
他の花言葉とは裏腹に、やや悲壮感のある花言葉です。
由来は学名にも用いられている『アドニス』のギリシャ神話から。
美の神アフロディーテが恋した美少年アドニスがイノシシの牙により死んでしまい、彼が流した血から福寿草の花が咲いたという神話がもとになっています。
福寿草の花言葉には民間伝承からくる『豊穣』『死の危険』があります。
そのため福寿草に怖い花言葉があると考える方も多いのではないでしょうか。
『死の危険』の由来となっているのは、福寿草の持つ毒から来ているとされます。
福寿草の根には漢方の側面がありますが毒性があり、使い方を間違えると痛い目に遭うという戒めが由来です。
また、もうひとつの花言葉である『豊穣』はアイヌ伝承から来ており、新年にその年の豊作と大漁を祈念したのが由来となっています。
福寿草には品種がたくさんあり、咲かせる花も黄色だけでなく朱色や白などさまざまですが、色別の花言葉は今のところありません。
そのため、福寿草の基本的な花言葉を用いることが多いです。
福寿草は自生だけでなく園芸品種も多く、ガーデニングや鉢植えとしても使われます。
そこでここでは、福寿草の育て方を解説していきます。
寄せ植え鉢に植えられている福寿草を選ぶ場合、多少見た目が悪くても芽のしっかりとした大きめの株を選ぶのがポイント。
一般的に小さな寄せ植えの福寿草は根が切られているものが多いので、その中でも根がたくさんある株を選ぶと良いでしょう。
種まきに適した季節は春の4月〜5月ごろです。
この時期に開花が終わり、緑色の種がつきます。触ってすぐに落ちる種を採取しましょう。
種まきの際の用度は、鉢植えで用いるものと同じで構いません。
福寿草は日当たりのよい場所を好みます。
発芽から開花中の間は日当たりのよい場所を選び、開花後は半日陰での植え付けが最適です。
また、福寿草の植え替えは夏以降で、陽気の良い秋に行いましょう。
福寿草は開花時期の早春をすぎると徐々に葉が枯れていき、夏になると葉がなくなりますが、根が生きているので秋まで休眠し夏越しとなります。
夏越しの場合、直射日光を避け木陰に置いて管理するのが好ましいです。
また、福寿草は寒い時期に芽吹くので冬越しは必要ありませんが、乾燥や凍結に弱いので注意が必要です。
福寿草は乾燥を嫌う植物なので、鉢植えで育てる場合は定期的に水やりを行います。
特に乾燥しやすい冬は福寿草にとって芽出しの時期なので、多めに水やりをしましょう。
ただし、冬場の水やりは凍結で花びらが痛むので水がかからないように注意。
夏越しなどの休眠中にも、水やりは行います。
福寿草の肥料やりは、芽が出てきた時期から化学肥料を置き肥していきます。
花が咲き切った後は株が大きくなるので、休眠までの間は水で薄めた液肥を与えましょう。
福寿草がかかる病気として、灰色かび病、炭疽病、ウイルス病があります。
害虫はナメクジやヨトウムシ、アブラムシなどがあり、中でもナメクジとヨトウムシの食害は被害が大きくなるので注意しましょう。
福寿草はその花名からおめでたいイメージが強く、縁起物として扱われる花です。
花言葉も福寿草の名にぴったりなものが多いので、鉢植えにしてプレゼントにしてもおすすめ。
怖い花言葉もありますが、福寿草の毒に対する注意喚起もあるので、そこまで気にする必要もないでしょう。
特にお正月は松竹梅とともに福寿草の寄せ植えを多く見かけるので、幸福感のある花言葉とともに楽しんでみるのはいかがでしょうか。
・福寿草は江戸時代から縁起物として扱われてきた
・福寿草の花言葉は『幸せを招く』『永久の幸福』『悲しき思い出』
・福寿草にはさまざまな品種がある
・怖い花言葉『死の危険』は福寿草の毒が由来
・福寿草は庭植えや鉢植えができる
この記事のライター
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ファッション、ビューティー、ネイル、ヘアスタイルなど、幅広いカテゴリのトレンドに敏感なアラサー女子です。話題のアイテムの情報や気になる商品のレビューを紹介します。
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