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持ち家VS賃貸 徹底比較!どちらが得なのか検証してみました。

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「持ち家と賃貸、果たしてどっちが良いのか?」よく耳にする論争です。結論から述べますと、個々の環境によって違いますし、時の状況によっても異なりますので、どちらとも言えません。ですが、目安になる事項が存在するのも確かです。そこで今回は、持ち家と賃貸のそれぞれのメリット・デメリットについて、税制面と関連させながら見ていきましょう。

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目次

持ち家と賃貸のそれぞれのメリット・デメリット

基本的には真逆の関係とご理解いただければ分かりやすいかと思います。

<持ち家の場合>

メリット

税制面では、住宅ローンを組むことによって、いわゆる住宅ローン減税(住宅借入金等特別控除)の恩恵を受けることができます。
特定取得<注1>に該当する場合には、
年間最大40万円、それ以外の場合には年間最大20万円<注2>
所得税等<注3>が最長で10年にわたって減額されます。
なお、購入資金(住宅ローン)を払い終われば、その物件は自分のものになる、という大きなメリットがあります。

デメリット

税制面では、持ち家の購入時に不動産取得税等がかかり、購入年以降、毎年固定資産税が発生します。
また、住宅ローン返済時に金利部分の負担がある、火災保険や団体信用生命保険の保険料・修繕など諸費用を負担しなければならないので、易々と引っ越しできない等があります。

<賃貸の場合>

メリット

税制面では、持ち家の場合と異なり、固定資産税等の余計な税金がかかりません。
また、いざとなったら引っ越ししやすい、修繕その他のメンテナンス費用は自分で負担しなくていい場合がある等のメリットもあります。

デメリット

税制面では、特に何の恩恵を受けることができません。
すなわち、同じ毎月の支払であっても、賃貸の場合には単に家賃を支払うだけです。<注4>
ですが、何十年にわたって家賃を支払い続けても、その物件が自分の持ち物にはなりません。


簡単な例を使って比較してみる

それでは下記の簡単な例を使って、持ち家の場合と賃貸の場合を比べてみることにします。
なおここでの設例は、ごく単純化した仮の数字を基にしておりますので、あくまで参考としてご覧ください。

■40歳で持ち家を購入した場合

5000万円の物件。
住宅ローンも同額の5000万円(金利年2%、返済期間30年、毎月の支払18.4万円(元利均等払))。
不動産取得税10万円、固定資産税28万円/年。
団体信用生命保険30年間で合計300万円。火災地震保険 7万円/年。
修繕その他メンテナンス費用 20万円/年。

■40歳以降ずっと同じ賃貸物件の場合

家賃20万円/月のまま。
更新料は家賃1か月分で2年ごと。

まずは持ち家の場合を見ていくことにします。
住宅ローンを完済するのが70歳時で、その時点での総支出額は約8610万円<注5>
他方、住宅ローン減税による税負担減少額が約393万円<注6>
よって、住宅ローン完済時の差引の実質総支出額は約8217万円になります。
つまり、物件購入時から初めの30年間すなわち70歳時点で、約8217万円かかるということです。

では次に、賃貸の場合を見ていくことにします。
賃貸の場合ですと、支出額合計で約8217万円(持ち家の場合の当初30年間の支出合計)に達するのは、40歳からカウントして約32年11か月すなわち72歳11か月時点になります。


40歳時点から、10年ごとに支出額合計を比較

次に、40歳時点から10年ごとの支出額合計を比較してみます。

50歳時点
持ち家では、約2535万円 <注7>
賃貸の場合は、2500万円

60歳時点
持ち家では、約5398万円<注8>
賃貸の場合は、5000万円

70歳時点
持ち家では、約8217万円 <注9>
賃貸の場合は、7500万円

持ち家の場合と賃貸の場合で、総支出額が同じになる時期はいつごろ?

それでは、持ち家の場合と賃貸の場合で、総支出額が同じになるのはいつになるのでしょうか?
持ち家の場合の住宅ローン完済後の年間支出額を約55万円<注10>としますと、73歳9か月の時点で、両者はほぼ同じになります(持ち家の場合の総支出額が約8423万円、賃貸の場合が8430万円)。
ですので、この73歳9か月を過ぎますと、それ以降は持ち家と賃貸とでは逆転して、持ち家のほうが少ない支出になる、ということになります。


<注1>「特定取得」とは、住宅の取得等の対価の額又は費用の額に含まれる消費税額等(消費税額及び地方消費税額の合計額)が、8%又は10%の税率により課されるべき消費税額等である場合におけるその住宅の取得等をいいます。
 なお、次の場合には、特定取得に該当しません。
・住宅の取得等の対価の額又は費用の額に含まれる消費税額等が、5%の税率により課されるべき消費税額等である場合
・個人間の売買契約により住宅の取得等に係る対価の額又は費用の額に含まれる消費税額等がない場合

<注2>認定住宅の新築等に係る住宅借入金等特別控除の特例に該当する場合には、特定取得の場合で年間最大50万円、それ以外の場合で年間最大30万円となります。

<注3>平成21年から平成31年6月30日までの間に居住し、所得税の住宅ローン減税(住宅借入金等特別控除)を受ける場合で、所得税において控除しきれなかった金額がある場合は、翌年度の個人住民税において住宅ローン控除が適用される制度があるため、「所得税等」と表記させていただきました。

<注4>もちろん、会社経営者や個人事業主等の場合で「自宅兼事務所」の場合には、賃料の一部を損金や必要経費に計上できますが、ここでは一般の家庭を想定しております。

<注5>内訳は、住宅ローン支払い約6650万円(元利合計)・不動産取得税約10万円・固定資産税30年合計で約840万円・火災地震保険30年合計で210万円・団体信用生命保険の保険料30年合計で300万円・修繕その他メンテナンス費用30年合計で600万円。

<注6>本文の住宅ローンの条件かつ年間の所得税40万円超の方の場合、1年目~7年目の減税額40万円/年、8年目は約39万円、9年目は約38万円、最後の10年目は約36万円。

<注7>10年間の合計支出2928万円(*)-住宅ローン減税による税負担減少額393万円
(*)住宅ローンの10年間合計2208万円、不動産取得税10万円、固定資産税10年間合計280万円、火災地震保険10年間合計70万円、修繕その他メンテナンス200万円、団体信用生命保険約160万円の合計額

<注8>当初10年間2535万円に、2863万円(*)を追加
(*)住宅ローンの10年間合計2208万円、固定資産税10年間合計280万円、火災地震保険10年間合計70万円、修繕その他メンテナンス200万円、団体信用生命保険約105万円の合計額

<注9>当初20年間5398万円に、2819万円(*)を追加
(*)住宅ローンの10年間合計2234万円、固定資産税10年間合計280万円、火災地震保険10年間合計70万円、修繕その他メンテナンス200万円、団体信用生命保険約35万円の合計額

<注10>固定資産税年間28万円、火災地震保険年間7万円、修繕その他メンテナンス費用年間20万円の合計額(1か月あたり約4万6千円として計算)



この記事のライター

渡辺順也

昭和49年4月20日生まれ。早稲田大学大学院法学研究科民事法学専攻修士課程修了。早稲田大学卒業。静岡県出身。東京都内の会計事務所にて経験を積み、2006年12月20日税理士登録完了、2007年1月に吉祥寺にて独立開業。現在、開業して10年を経過。これまでに数多くの法人・個人の税務顧問・確定申告業務、節税対策や資金繰り等の各種コンサルティング、相続案件、起業支援等に携わる。事業者ご家族の個人的な相談にも応じ、その他各種講演活動も行う。

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