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病院でもらうお薬について、みなさん、何で飲んでいますか?面倒だから水無しで、手元にあったお茶やオレンジジュースなどで…と病院からの指示に従えていない人も多いのでは?薬剤師である遠藤さちこさんが、正しく薬を飲むときの飲み物について教えてくれました。
みなさん、こんにちは。遠藤さちこです。
突然ですが、みなさんはお薬を飲むときに何で飲んでいますか?
「水をわざわざ準備するのは面倒くさい」
「食後に飲んでいる熱いお茶で飲んでいる」
「朝は牛乳を飲むから、その牛乳でお薬も飲んでいる」
なんて、方もいるのではないでしょうか。
じつは、お薬は“水か、ぬるま湯”で飲むよう、お薬の説明書に書いてあります。どうして“水か、ぬるま湯”で飲むことが必要なのでしょうか。
お薬は、動物や人への投与を行う治験という段階を経て、承認されています。その治験では、水やぬるま湯(白湯(さゆ)とも言います)でお薬を服用しています。原則的には、その治験と同じ方法で飲んだ場合に、期待された効果が出るということで承認されているので、それと同じ方法である「水か、ぬるま湯」で飲むことが望まれます。
みなさんの中には、食後にはお茶を飲む、という方も多いかと思います。“お茶”でお薬を飲むことはどうなのでしょうか。
以前は、お茶に含まれるタンニンという成分が、一部のお薬と作用を起こしてお薬の効果が出にくくなると言われていましたが、今では特に影響がないと言われています。よって、お茶でお薬を飲んでも問題ありません。
しかし、お茶でお薬を飲むときは、“アツアツのお茶”は控えてほしいと思います。多くのお薬は化合物です。体内と同じ40℃くらいまでは問題ないですが、アツアツのお茶では化合物が変性する場合が考えられ、効果が出なかったり、副作用が出る可能性も考えられます。お茶でお薬を飲むときは、ぬるめのお茶にしましょう。
また、水やお茶“なし”で飲んでいる方は、危険性があるので要注意です!服用したお薬の多くは、食道を通って、胃で溶け、小腸で吸収されます。その食道で引っかかって溶けてしまうと、食道の粘膜に炎症を起こしてしまうことが報告されています。
お薬を飲むときは、コップ1杯程度の水か、ぬるま湯、または熱くないお茶などで飲みましょう。(最近ではチュアブルや口腔内崩壊錠など口の中でスッと溶けるタイプのお薬も出ていますが、きちんと効果が出るためにも、その後に水か、ぬるま湯を飲むことをおススメします。)
では、その他に、みなさんのご自宅によくありそうな飲み物や食べ物で、お薬の服用をする際に気をつけてほしいものがありますので、ご紹介します。
・牛乳
毎日飲んでいる方もいると思いますが、お薬を飲む場合は控えましょう。牛乳はカルシウムが含まれていますので、それが一部の抗菌薬(抗生物質、細菌を抑えるお薬)と結合し、お薬の吸収や作用を低下させることがあります。また、一部の胃薬(胃酸を抑えるお薬)では、血液中にカルシウムが多くなってしまい、副作用が出やすくなる可能性があります。
・アルコール
アルコールは、多くのお薬と作用します。期待されている効果が出ない、または副作用が出やすくなるので、お薬をアルコールで飲むことは避けましょう。一部の鎮痛剤(痛み止めのお薬、熱を下げるお薬)の作用が強くなることや、抗菌薬によってアルコールの分解が遅れて、頭痛や吐き気が出やすくなるなど、お薬とアルコールとの多くの作用が明らかになっています。
・グレープフルーツ(ジュースも含む)
グレープフルーツに含まれるある成分が、一部のお薬の肝臓での代謝(無毒化して体外に出すこと)を阻害して、お薬の血中濃度を上げることによって副作用を引き起こすことがわかっています。みかんやレモンなどは、このような作用を起こす可能性は低いと言われています。
この記事のライター
薬剤師、MOT(技術経営修士)
遠藤さちこ
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薬剤師、MOT(技術経営修士)薬局、製薬会社、流通会社等で医薬品やヘルスケアサービスに携わる。コンビニエンスストアと薬局の併設店舗の企画業務等も経験。さまざまな立場で医療や健康を見つめ、幅広い情報収集活動と情報発信を行っている。
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