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40代の婚活は、サプライズの連続。婚活歴5年を超えたOTONA SALONE編集部長・アサミ(49歳)。これまでの婚活で100人以上もの男性と出会ってきた。
時は数年前に遡って、ジェントルさんとの復縁編。……かと思えば、「お友達」に戻ることになり、さらには転職そして海外へ!? この話は40代独女の「実名 顔出し」で書いている、リアル婚活改め、パートナーを探す活動=「パー活」ドキュメントである。
【40代編集部長の婚活記#280】
ソファに並んで座っているうちに、自然と彼が私の手に触れてきた。
ジェントル「ちょっとは手があったかくなってきたかな」
アサミ「うん」
こんなにそばにいるのに触れ合っているのに、私たちはただの友達で、今日でもう本当のお別れなのかもしれない。
ジェントル「今日もお肌スベスベね」
アサミ「……」
でも、これでお別れなんてイヤ!
アサミ「あのね、台湾に行く前に話しておきたいことがあるの」
ジェントル「なぁに?」
私の手をやさしく撫でながら、目を丸くする彼。今日しか言うチャンスはない。頑張れ、私!
本当のことを言ったらわがままって思われるかな? 重いって思われるかな? 迷惑って思われるかな?
私は彼に対しても、もしかしたら過去にお付き合いした相手にも、ずっとそう思って言葉を飲み込んできたのかもしれない。それでその場が丸く収まるなら、波風が立たないならそれでいいって思っていた。
結局、本音でぶつかり合うことから逃げていた。そんなんじゃ、長くお付き合いできる人間関係を築けるわけないよね。彼と出会って、お付き合いして、いろいろと指摘されて、やっとそのことに気づかされた。
もう手遅れかもしれない。でも……。

彼の大きな右手を、私の両手で包んだ。手が小さいから包みきれていないけれど。
アサミ「前に、『私の本音がわからない』って言われたじゃない」
ジェントル「うん」
アサミ「確かにそうだったかもしれないって、あなたに指摘されて初めて気づいたんです」
ジェントル「そう」
アサミ「だから今日は、ちゃんと本音を伝えたくて」
ジェントル「どんなこと?」
アサミ「お友達に戻りましょうって言ったけど……」
深呼吸をする。覚悟は決まった。彼にどう思われたとしても、私の気持ちはちゃんと伝えよう。だって明日にはもう、遠くへ行ってしまうのだから。
アサミ「私はやっぱり、あなたが好き」
ジェントル「……」
アサミ「もっと一緒にいたいんです」
ジェントル「ありがとう。僕も好きだよ」
アサミ「一緒にいると楽しいし、落ち着くんです」
ジェントル「僕もそう思ってる」
彼が私の手を包み返す。大切なものを扱うように、やさしく、やさしく撫でている。この触感もやっぱり心地いい。
お互いに好きなのに、一緒にいて楽しいと思っているのに、離れ離れにならなきゃいけないなんて。
アサミ「そばにいて、支えたいんです」
たとえ暮らす場所は離れても、心だけは一緒にいられたりしないだろうか。
アサミ「たぶん、こんな気持ちになったのは人生で初めてで」
いままで、私は本気の恋愛をしていなかったのかもしれない。デートしたあとに一人の部屋へ帰るとなんだかホッとしたこともあった。でも、彼は違う。
20代の頃からずっと「他人と暮らすことなんてできない」と思っていたけれど、彼となら暮らせる気がする。ううん、暮らしたい。それってつまり……。

彼の目をじっと見つめる。彼も私の目を見つめ返してくれた。よし、言ってしまえ!
アサミ「私、あなたと……結婚したいと思ってます」
言った! ついに言ってしまった! これって告白? プロポーズ? 逆プロポーズ? よくわかんないけど言っちゃった! 明日から台湾に行ってしまうことはわかってるし、後先考えずに言っちゃったけど、これがいまの私の本音なのだ。
ジェントル「……ありがとう」
アサミ「迷惑、ですか?」
彼が、私をやさしく包み込んだ。え、抱きしめられているけど……どう捉えたらいいの?
ジェントル「その気持ちはうれしいよ」
アサミ「ヘンなこと言ってすみません。どうしてほしいとかそういうんじゃなくて、私が思っていること伝えたかっただけで」
自分でプロポーズ(?)したくせに、何を言っているんだか(苦笑)。
アサミ「ただ、私にとってはあなたはかけがえのない人だと思ってます」
ジェントル「ありがとう。そんな風に思ってくれて」
彼の体温が伝わってくる。あたたかい。
ジェントル「僕もこの1年半、あなたと一緒にいて楽しかった」
アサミ「ホント?」
ジェントル「うん。離婚してから、もう誰かを好きになったり、恋愛することはないと思っていたから」
アサミ「私もです」
ジェントル「あなたと出会って、本当によかった」
アサミ「私もです」
お互いこんな風に思い合っているのに、別れなきゃいけないなんて。

ジェントル「でもね、もうこれ以上、僕はあなたに寄りかかってちゃいけないんです」
抱きしめていた腕をほどき、体を離す。まるで意を決したように、向かい合う二人。
アサミ「え」
ジェントル「あなたはいい人過ぎます」
アサミ「そんなことないです」
ジェントル「ううん。やさしすぎるんです」
ジェントル「この1年半、結局、あなたを振り回してしまった。僕の複雑な事情のせいで」
アサミ「このくらいで振り回されたなんて思ってないです」
ジェントル「いえ、違います」
アサミ「私は大丈夫」
ジェントル「あなたはとても素敵な人だから、僕なんかよりずっとふさわしい人がいます」
アサミ「私は、あなたと一緒にいたい」
ジェントル「僕みたいに複雑な事情をかかえためんどくさい男なんかじゃなく、あなたにはふさわしいちゃんとした男性がいるから」
アサミ「ちゃんとなんかしてないです」
ジェントル「気持ちは本当にうれしいし、僕もあなたと一緒にいたいと思ったよ」
アサミ「……」
ジェントル「でも、僕があなたのやさしさに甘えすぎてしまった」
アサミ「……」
ジェントル「結婚って、どっちか一方が甘えて寄りかかる関係じゃダメなんです。それはいつか破綻する」
ジェントル「一緒にいたら楽しいけれど、でもこれまでもそうだったように僕があなたに寄りかかってしまう」
アサミ「このくらい全然」

ジェントル「いまは大丈夫でも、いつかそうじゃないときが来るんです!」
いままでより少し、語気を強めた。
ジェントル「離婚を経験しているからこそ、僕はわかるんです」
確かに私は、結婚も離婚も経験していない。でも、中途半端な気持ちで言ったわけじゃない。
ジェントル「明日にはもう、僕は台湾へ行く。いまのあなたとの関係は、終わらせなくちゃいけない」
アサミ「住む場所は違っても、つながっていられると思うんです」
ジェントル「ううん。ダメ」
アサミ「どうして?」
ジェントル「僕のことは、忘れて」
それからどうやって彼の家を後にし、どんな気持ちで家に帰ったのか記憶がない。
たぶん、泣き疲れて気絶するように眠り、朝を迎えたのだと思う。泣きすぎたから目がパンパンに腫れて奥二重が二重になっている。こんなに泣いたのは……前に彼と別れたとき以来かな。
今日、彼は台湾へ旅立つ。
仕事も生活の拠点も日本から離れてしまう。もう簡単に会うことはできない。いや、たぶんもう会うことすらないのだと思う。
「僕のことは、忘れて」。
彼の言葉が脳裏に焼き付いて離れなかった。忘れてなんて言われたって、忘れられるわけないじゃない……。

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この記事のライター
OTONA SALONE|オトナサローネ
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