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今年も残り数日で、いよいよ新年を迎える時期となりました。お正月の食卓に欠かせないおせち料理にはたくさんの大切な意味や願いが込められていることはご存知でしょうか。今回はおせち料理のいただき方や、お正月の席に着くたしなみやなどについて(一社)日本プロトコール&マナーズ協会松田玲子先生にお聞きしました。
【連載/気品を身につけるシンプルな教え#27/お正月編】

一般的にお正月にいただく重箱に詰められたお料理のことを「おせち」といいますが、これは「御節供」(おせちく)の略で、もともとは節日(せつにち)に神にお供えする食べ物のことを意味していました。
節日とは、季節の節目となる元日と五節句(人日、上巳、端午、七夕、重陽)のことで、おせちは本来、これらの行事の時にいただくもののことをいいます。
なかでもお正月が最も重要な節日だったことから、次第にお正月に出される料理を指すようになりました。

おせち料理と一緒に食卓に並ぶ大切なものといえば、「祝い箸」が欠かすことのできないものです。正式には、柳の白木の丸箸を使いますが、両端が使えるよう削られているのが特徴。
片方は人が使い、もう片方は神様が使うとされているので、自分が口をつけた反対側は使わないのがマナーです。取り分ける時などつい反対側を使いそうになりますが、そちらは神様が使うことを忘れずに。

新年を新しい衣類で迎えるというのも日本にある古くからの習慣の一つです。新しい年神様を迎えるにあたり失礼のないように……と、下着や靴下、洋服など、身に着けるものはお正月用の新品を揃えるといった考え方です。
今の時代、全身まっさらで元旦を迎える人は少数派になりましたが、直接、肌に触れる下着類だけでも新しいものを用意して新年の厳かな雰囲気を味わいたいものです。大晦日の夜は、お風呂で丁寧に身を清め、おろしたての下着を身に着けて年越しをします。
重箱に詰めたおせち料理を、当たり前にいただく方もいらっしゃるかもしれません。しかし、おせち料理は縁起物なので、「福が重なる」「めでたさが重なる」という意味を込めて重箱に詰めて食べる習慣ができたことも覚えておきましょう。
お正月は年神様をお迎えすることで、新しい年の穀物の実りをもたらされ、人々に命を与え、先祖の霊がいつも私たちを見守ってくれていると考えられてきました。つまり、お正月とは、先祖とともに新しい年を迎える日であり、すべてのものが新しくなる大切な日。家族が幸せに健康に暮らせるように皆で祈念する日でもあります。
現在の状況では、お正月に家族がそろうことが難しい方もいらっしゃると思いますが、離れていても、家族の幸せや健康を願うという気持ちは通じることと思います。日本文化の意味を知り、大切に思う気持ちが重要です。どうぞ良いお年をお迎えくださいませ。
この記事のライター
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