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後ろ指をさされる関係とわかっていても、やめられない不毛なつながり。
不倫を選ぶ女性たちの背景には何があるのか、またこれからどうするのか、垣間見えた胸の内をご紹介します。

「新婚なのに不倫とか、気持ち悪いですよね」
待ち合わせたカフェのテラスで、Oさんは足を組み替えながら何度目かの言葉を吐いた。
33歳のOさんは独身でひとり暮らし、正社員として「そこそこですけど」と決して低くないお給料をもらいながら生活していた。
会うときは常にきっちりとメイクをして流行りの服を着こなしている彼女を見ると、心の余裕が伺えた。
そんな彼女がどうして不倫のような窮屈な関係に甘んじているのか、出会いはマッチングアプリだったと話すのを聞いていると、「奥さんがいる男性から選ばれる自分」に特別感を見出しているとわかる瞬間があった。
「そういう男って、奥さんに対して『自分の身の丈に合わない』みたいな勘違いをしている」
「奥さんを下に見るから『もっと上のオンナ』が欲しくなるんですよね」
「性欲のはけ口なら風俗があるじゃないですか」
彼女の言葉で印象に残ったこれらは、そんな既婚男性の不満を解消する存在として自分の格は高いのだと、聞いているこちらに知らせようとする響きがあった。
そう思うんだね、と笑顔を作って相槌を打ちながら、関係そのものの不毛さを考えない姿にOさんの矛盾があった。
彼女はいま、結婚したての既婚男性と肉体関係を持っているが、今日の愚痴は男性の「妻と不倫相手を手玉に取って調子に乗る姿」についてだった。
「新婚で不倫する男が気持ち悪いなら、やめたらいいのに」
運ばれてきたアイスカフェオレにストローを差しながら言うと、「だって」とOさんは口を尖らせる。
「イケメンなんですよ、○○で働いているからお金もあるし。
あっちのほうも体力あるから楽しくて」
そういう男と関係を持っている自分を捨てたくないのだろうなと思ったがそれは言わず、
「イケメンでもあなたを馬鹿にするような男じゃダメでしょ」
とあえて「馬鹿」という言葉を使った。
案の定、Oさんはむっとしたようにグラスに伸ばしていた手を止め、
「別に、馬鹿にしているわけじゃないと思いますよ」
と、今度は男性の擁護に回った。
「私の前で奥さんに堂々と電話する」
「『君のカラダじゃないと満足できない』と何度も口にする割に奥さんとの情事も隠さず伝えてくる」
「『俺って贅沢者だよね』とコトが終わった後で毎回言う」
これのどこが軽く見られていないのか、プライドを傷つけられたから愚痴を吐いているのに、その自分を他人から指摘されるのは苦痛なのだ。
「言っておくけど、私は不倫はやめろとしか言わないよ」
以前から伝えてある言葉を再度口にすると、わかってますよと遮りながら
「新婚で不倫しているくせに、図々しいよねって思うだけなので」
と、ふてくされたように横を向いてストローを手にした。
不倫相手に馬鹿にされたくない。
その心情はよくわかるが、結局別れないのならその自分をいつまでも見ることになると、彼女は理解していなかった。
「それで、ムカつくから会うのをしばらくやめてやろうと思っているんですよ」
アイスティーを一口飲んで、Oさんが言う。
「誘われても断るってこと?」
「はい」
「それやると二度と連絡来なくなるんじゃない?」
「大丈夫ですよ、奥さんじゃ満足できないので、彼は」
その自信はどこから来るのかと内心で驚くが、彼女にとっては「奥さんより格が上の自分」を見たいが故の強がりなのかもなと思った。
「うーん、あえてこじらせるのは……」
と首をひねると、
「だって、新婚で不倫しているくせに、相手をしてあげているこっちもそれなりに大事にするべきでしょ、ねえ」
Oさんはしつこく「新婚で不倫」を繰り返しながら顎を上げた。
ああ、関係を逆転させたいのだな。
馬鹿にされる立場から、自分が関係をコントロールする側に回りたい。
だからこんな幼稚な“戦術“を思いつく。
「あまり執着しないほうがいいよ」
不倫なんだから、と続けると、
「だから、別に執着なんかしてないですってば!」
と、Oさんは強い語気で言い返した。
ざあっという不穏な空気の波がテーブルを覆った。
この記事のライター
OTONA SALONE|オトナサローネ
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