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定年後に親と同居[6] その後【後編】「嫁」も笑顔で暮らせる工夫

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当記事はSUUMOジャーナルの提供記事です

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定年後に親と同居[6] その後編【後編】「嫁」も笑顔で暮らせる工夫

前回は、親と同居を始めたものの、親世帯との生活スタイルや価値観の違いに悩む筆者と「嫁」の姿をお伝えしました。[後編]では、そんななかで筆者が編み出した、二世帯住宅で「嫁」も笑顔で暮らせる工夫とともに、親を看取った後の活用法を紹介します。
二世帯住宅での「嫁」の暮らしやすさアップのために

「嫁」のつらい立場はよく分かったものの、玄関や階段、浴室がひとつしかない住宅をいまさら「完全分離型」にリフォームする経済的余裕も時間的余裕もありません。そこで部屋や設備はそのままに、両親にもやんわりと理解を求めながら、妻との接し方や暮らし方をいろいろ工夫することにしました【図1参照】。

【図1】暮らしやすさUPのため実践したこと、計画していること(筆者作成)

【図1】暮らしやすさUPのため実践したこと、計画していること(筆者作成)

まず、3度の食事はそれぞれのダイニングキッチンで別々にとることにし、食材や調味料の融通、料理の分担は原則せず、生活費も別々にするよう取り決めました。両親には私の胃がん手術を契機に食生活を見直したいと申し出たのですが、彼らもほっとしたように見えたのは気のせいでしょうか。

また、毎日の入浴と着替えを隔日から毎日にする代わりに、風呂掃除全般と洗濯・物干し・取り入れは私たちがすべて引き受けました。

妻への接し方も、同じ悩みをもつ友人などのアドバイスを受けながら工夫しています。最初は「嫁と姑」の間に入って調整しようとしていましたが、弱い立場の妻に味方しなければと妻側の代理人になりました。最も、どれだけ効果が上がっているのかまだなんとも言えません。いずれにしても、毎日家の中で両親と向き合ってばかりいては煮詰まってしまいますから、夫婦ともに家事以外の事に関心をもったり、外へ出てリフレッシュしたりできるような生活習慣をもとうと努力しています。

家の中では、3階の猫部屋に加えて1階のダイニングキッチン(勝手口があって母の家事動線でもあるのが難ですが)を夫婦の避難場所に決めました。料理やお菓子づくりが好きな妻が長い時間を過ごしたり、夫婦で食事したりくつろいだりする場所なので、自分たちにとって居心地の良い空間になるよう家具も入れ替えて徹底的に模様替えしました。高校時代から収集してきたコミックを本棚に集約し、旅先で買い求めたお気に入りの食器や雑貨を飾り、観葉植物を置き、好きな音楽を流してリラックスできるようにしたのです【画像1~3参照】。

190cmまで伸びるシンプルなテーブル(IKEA)は幅も広く、来客のもてなしや雑貨づくりの作業にも最適。椅子(IKEA)はあえてレザー調でモダンなものをコーディネート。和のティッシュケースと一輪挿しが映えます。

【画像1】模様替えしたダイニングキッチンのテーブルと椅子 (写真撮影/松村徹)

【画像1】模様替えしたダイニングキッチンのテーブルと椅子
(写真撮影/松村徹)

二人掛けソファとクッション(IKEA)とコート掛け(ディノス)にフロアマット(ニトリ)、洋風暖簾もそろえてみました。コミック本は棚に入りきらず、残りは他の部屋にストックして順次入れ替える予定。

【画像2】ソファとコミック本(写真撮影/松村徹)

【画像2】ソファとコミック本(写真撮影/松村徹)

引き戸の食器棚(ディノス)にお気に入りの和食器を収め、上には和雑貨や猫の置物、スピーカー、観葉植物を配置。窓には遮熱タイプのカラーブラインド(ニトリ)を設置。

【画像3】食器棚と雑貨(写真撮影/松村徹)

【画像3】食器棚と雑貨(写真撮影/松村徹)

親を看取ったあと、二世帯住宅をどうするか

これまで、親世帯の看取りを無事に終えたら、自宅を処分して子どもや孫たちのいる東京に妻と一緒に戻るのが良いだろうと考えていました。しかし、今の土地で自己実現できる新たな機会を見つけられるなら話は別です。人生の残された時間を子どもたちに迷惑をかけず、できるだけ自立してその地域で有意義に暮らせるなら、今の住まいが終の棲家になってもかまいません。

特に二世帯住宅では、親が亡くなればまとまった空きスペースが必ず生じます。立地条件がよければファミリー向け賃貸住宅に転用できるうえ、ある程度の部屋数があればシェアハウスとして貸すことも可能です。

元気なうちは、趣味を活かしたカフェやレストランを開いて地域の人たちと交流するのも楽しいでしょうし、猫の保護や子育て支援などを目的としたコンセプト型シェアハウス にするのも自由です。

ホームステイ型民泊として草の根国際交流の場にしたり、貧困対策として注目される子ども食堂に無償供与して自身もボランティアで手伝ったりすれば活動の幅も広がります。

参考記事:大阪にもできた「猫付きシェアハウス」 今後も増える?

二世帯住宅には、住宅2棟分より土地代や建築費などを抑えられ、家事の分担や車のシェアができて家計も助かるといった経済面のメリットと、子育てへの協力や介護など家族が助け合いやすい安心感があります。さらに、二世帯住宅を家族だけで使いきれなくなっても、空きスペースを地域や社会に開くことで、第二の人生での自己実現も期待できる、そんな可能性も秘めた住まいです。その場合も、プライベートとパブリックがしっかり区分できる「完全分離型」が大がかりなリフォームの必要もなく、より活用しやすいプランだといえるでしょう。

・松村徹
長年、シンクタンクで不動産調査に携わる中、業界の常識には顧客本位を貫く哲学や時代を先取りする意欲が欠けていると痛感。フリーな立場になって自らも両親と同居して「実家問題」に悩みながら、利用者目線から面白くて役に立つコラムや記事を発表している。共著に『不動産ビジネスはますます面白くなる』、『不動産力を磨く』、『猫を助ける仕事』ほか●「定年後に親と同居」関連記事
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この記事のライター

SUUMO

『SUUMOジャーナル』は、魅力的な街、進化する住宅、多様化する暮らし方、生活の創意工夫、ほしい暮らしを手に入れた人々の話、それらを実現するためのノウハウ・お金の最新事情など。住まいと暮らしの“いま”と“これから= 未来にある普通のもの”の情報をぎっしり詰め込んで、皆さんにひとつでも多くの、選択肢をお伝えしたいと思っています。

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