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都心からも入居希望者が! ”座間”のリノベ団地「ホシノタニ団地」が人気なワケ

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当記事はSUUMOジャーナルの提供記事です

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都心からも入居希望者が! ”座間”のリノベ団地が人気なワケ

「リノベーション・オブ・ザ・イヤー2015」で154作品の中からグランプリを獲得した「ホシノタニ団地」。審査員から「リノベーションの可能性を広げた」と評された団地は小田急線座間駅のすぐ隣にある。新宿駅まで約50分、都心までは少し距離がある。それでも、オープンから数カ月で9割の部屋に入居申し込みがあった。「ここに住みたい!」と思わせるその魅力を探った。
依頼のきっかけは築50年の旧多摩平団地の再生事業

2015年11月23日、ホシノタニ団地で開かれたイベント「ホシノタニマーケット」に足を運んだ。マーケットでは座間周辺にゆかりのある店舗が10店ほど出店し、雑貨やキャンドルづくりなどのワークショップが開かれており、小さな子どもたちやファミリーでにぎわっていた。

ホシノタニ団地は小田急電鉄座間駅から徒歩1分の場所にある。今回リノベーションをした2棟はそれぞれ1965年、1970年に建てられた。もとは小田急電鉄の社宅として使用されていたが、老朽化や耐震性の面から閉鎖。小田急電鉄株式会社が株式会社ブルースタジオに企画・設計監修を依頼し、社宅2棟をワンルームの賃貸住宅としてリノベーションした団地だ。ホシノタニ団地について小田急電鉄 生活創造事業本部 開発推進部 課長の滝島さんと、ブルースタジオ マネージャーの藥師寺さんに伺った。

プロジェクトの依頼のきっかけは築50年の団地の再生事業で2011年にブルースタジオが手がけた「AURA243 多摩平の森」(東京・日野市)を見たことだったという。「ここ数年の間にリノベーションという流れが盛んになってきて、さらに多摩平の団地(AURA243 多摩平の森)を見て『これだよね!』と。それでこの団地を見ていただいて、始まりました」(滝島さん)

部屋は37m2のワンルーム。賃料は月額7万~7万2000円で、1階のみ庭付きで月額9万5000円(共益費は月額5000円)と周辺相場よりもやや高めだという。それでもオープンから数カ月で9割の部屋に申し込みがあった。これは予想よりも早かったという。入居者はどんなところに魅力を感じたのだろうか?

団地全体を考えた外構づくり、街に開く仕掛けが入居者にとって魅力に

ホシノタニ団地は一般的な賃貸住宅と比べると、特徴的な点が2つある。

(1)部屋の中身だけでなく、団地全体を考えた外構づくり

賃貸住宅をつくるときはまず部屋のデザインやスペックといった中身を重視する。しかし、今回は団地全体を考えた外構、つまり入り口や庭など建物の周りに力を入れ、部屋はごくシンプルな仕上げとしている。

【画像1】入居者の色が出せるようにと内装はシンプルに(写真提供:株式会社ブルースタジオ)

【画像1】入居者の色が出せるようにと内装はシンプルに(写真提供:株式会社ブルースタジオ)

また団地の豊かなスペースは「普通は収益性を考えると駐車場を入れましょうとなる」(藥師寺さん)ところ、あえて車が進入しない駅前広場としている。

【画像2】左:団地の敷地には芝生の丘、雑木林があり、のんびりできる公園のよう。右:1階の部屋はテラスと専用庭付き。部屋の窓からは緑豊かな景色が広がる(写真撮影:SUUMOジャーナル編集部)

【画像2】左:団地の敷地には芝生の丘、雑木林があり、のんびりできる公園のよう。右:1階の部屋はテラスと専用庭付き。部屋の窓からは緑豊かな景色が広がる(写真撮影:SUUMOジャーナル編集部)

(2)人を呼び込み、街に開く仕掛け

ホシノタニ団地は「人と自然、人とまち、人と人とがつながる住まい」をコンセプトとし、団地の真ん中には広場があり、カフェやサポート付き貸し農園、子育て支援施設、ドッグランといった人が集える施設や場所がある。これは団地が街に開かれた場とするため、外から人を呼びこむという狙いからだ。
入居者の7割が20~30歳の単身者だが、ホシノタニマーケットには子ども連れのファミリーや子どもたちが多く来場していた。

【画像3】左:ペット飼育可の3号棟前にある入居者向けドッグラン。 右:外から人を呼びこむ仕掛けのひとつのサポート付き貸し農園。入居者でなくても借りることができる(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

【画像3】左:ペット飼育可の3号棟前にある入居者向けドッグラン。 右:外から人を呼びこむ仕掛けのひとつのサポート付き貸し農園。入居者でなくても借りることができる(写真撮影/SUUMOジャーナル編集部)

こういった点はモデルルーム来場者にどううつったのだろう? モデルルームで実際に接客を担当している小田急不動産担当者に伺った。

「冬は寒いかもしれない、音も響くかもしれないですよと話をした上でも、団地の敷地全体を含めたこの世界観が気に入った、こういうところに憧れていたという方が多かったです」

さらに入居者にも特徴がある。通常の賃貸住宅の場合、その物件がある市内など近隣から移り住んで来る人が多いのだが、ホシノタニ団地は座間市外からが9割を占める。町田市や海老名市などからが最も多く、ついで東京23区から越してきた人が多いという。

「ここに来る方はこの建物に住みたくて、たまたま場所が座間だったという印象です。この物件はある意味、その駅に人を集めることができた希少な例だと思いましたね」(小田急不動産 担当者)

当初は意外にも社内で反対意見が多かったホシノタニ団地

通常の賃貸住宅とは少し異なるホシノタニ団地。プロジェクトはトントン拍子で進んだというわけではなかったようだ。「恥ずかしながら、わたしたちがこの世界観を理解するのにとても時間がかかってしまった」と滝島さん。

例えば、団地を「街に開く」という点についても当初は社内で反対意見が多かったそう。

「セキュリティを強めようという意識が強く、街に開くことに対して大きな抵抗がありました。しかし、四六時中人の出入りがあり、『見られることでのセキュリティ』といった世界観をブルースタジオさんに教えていただいて、わたしたちも納得できた。当社グループのなかで、この世界観をどう咀嚼(そしゃく)し、理解してもらうのかに1年位かかってしまった」(滝島さん)

説明するだけでなく、実際に実現したい世界観を伝えるために何度も依頼のきっかけとなった多摩平団地に足を運んだという。

建物だけでなく街・事業者の意識を変えたリノベーション

ホシノタニ団地は座間駅のすぐ隣にあり、座間という街を大きく印象づける。今回のリノベーションによって、建物だけでなく、駅前、座間という街がポジティブに変わった。外構という共用部分を含め、入居者に「ここに住みたい!」と思ってもらえたことは、部屋のスペックだけではなく共用部も付加価値となることを事業者に気づかせてくれたのでは。

また、こういった新しい価値をつくろうとしたとき、もっとも大きな壁は「居住者」ではなく長く業界に携わっている「事業者内部」の既存の価値観なのかもしれない。滝島さんは「この世界観を小田急電鉄だけでなく、実際に接客を行う小田急不動産にも、入居希望者のみなさんにも理解してもらえたのがすごくよかった」と振り返る。はじめは社内でもなかなか理解が得られなかったホシノタニ団地の世界観。時間がかかっても丁寧に説得を繰り返してきたプロセスは、事業者にイノベーションを起こしたとも言えるだろう。

●取材協力
・ホシノタニ団地●154作品から選ばれた「リノベ」グランプリ作品は? 住まいに関するコラムをもっと読む SUUMOジャーナル

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この記事のライター

SUUMO

『SUUMOジャーナル』は、魅力的な街、進化する住宅、多様化する暮らし方、生活の創意工夫、ほしい暮らしを手に入れた人々の話、それらを実現するためのノウハウ・お金の最新事情など。住まいと暮らしの“いま”と“これから= 未来にある普通のもの”の情報をぎっしり詰め込んで、皆さんにひとつでも多くの、選択肢をお伝えしたいと思っています。

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