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「民泊新法」でわが家は民泊できる? 無許可営業や近隣トラブルは減る?

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当記事はSUUMOジャーナルの提供記事です

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「民泊新法」でわが家は民泊できる? 無許可営業や近隣トラブルは減る?

ようやく、民泊新法改め「住宅宿泊事業法」の案が閣議決定した。旅行者に住宅を有料で宿泊させる「民泊」を全国で解禁する法案なのだが、本当に誰でも民泊で部屋を貸すことができるようになるのだろうか?【今週の住活トピック】
「住宅宿泊事業法案」を閣議決定/国土交通省(観光庁)許可を得た民泊営業はわずか16.5%しかなかった

新たな宿泊先として、民泊に注目が集まっている。民泊の大手仲介会社のサイトには、数多くの情報が掲載されており、利用者も急増している。一方で、無許可で営業する場合などで近隣等のトラブルが生じており、一定のルールを求める声も多かった。

民泊を促進したい政府は、民泊についての規制緩和を進めてきたが、それでも民泊の営業を行うには、旅館業法上の「簡易宿所」の許可を得るか、国家戦略特区で認められた自治体の民泊の条例に則るか、という選択肢しかなかった。

厚生労働省が2016年10月~12月に、民泊仲介サイトに登録されている情報(全国の1万5127 件)を抽出し、掲載物件が旅館業法に基づく許可を得ているか各自治体に確認を求める調査を行ったところ、許可取得が確認できたのはわずか16.5%だった(図1)。

健全に民泊の営業がなされるようにと新たな法律をつくり、閣議決定したのが、今回の住宅宿泊事業法案(民泊新法)だ。

【図1】民泊営業の許可取得の状況(出典:厚生労働省「全国民泊実態調査の結果について」)

【図1】民泊営業の許可取得の状況(出典:厚生労働省「全国民泊実態調査の結果について」)

家主は都道府県知事、管理業者は国土交通大臣、仲介業者は観光庁長官の監督下に

以前から、民泊は旅館やホテルの営業を阻害するとして、業界団体から新法での規制強化を求める声があった。一方で、家主不在でマンションの各戸などに旅行者を宿泊させる場合と、家主が居住しているホームステイのような場合とでは状況が異なるので、家主居住型の規制緩和を求める声もあった。

今回の法案によると、民泊営業を行う場合の前提として、年間提供日数が180日を超えないという制限が付いている。超える場合は民泊とは認めないので、旅館業法上の許可を取れということだ。

そのうえで、民泊にかかわる関係者に次の登録や届け出を義務付けている。
・住宅宿泊事業を営もうとする場合は、都道府県知事への届け出
・住宅宿泊「管理業」を営もうとする場合は、国土交通大臣への登録
・住宅宿泊「仲介業」を営もうとする場合は、観光庁長官への登録

さらに、「家主不在型」の住宅宿泊事業者については、住宅宿泊管理業者に住宅の管理を委託することを義務付けている。家主が居住している場合は、住宅の管理や住み方のルール説明などを家主が直接行うことができるが、家主が不在または民泊用の居室を数多く持っている場合は、プロに管理を委託することを義務付け、管理のプロを監督しようということだろう。

【画像1】住宅宿泊事業法案による制度スキーム図(出典:「住宅宿泊事業法案」の「概要」より転載)

【画像1】住宅宿泊事業法案による制度スキーム図(出典:「住宅宿泊事業法案」の「概要」より転載)

あなたの自宅の空き室や所有している空き家を民泊にするには?

これまで民泊を行うには、簡易宿所としてさまざまな規制をクリアする必要があった。一般の住宅は、そこまで厳しい規制を受けずに建築されているので、民泊を行うための規制を簡単にはクリアできなかった。今回の新法が成立すれば、一般の住宅でも民泊を行える可能性が広がる。

ただし、事業主になるなら、宿泊者が安全で衛生的に過ごせるように、さまざまなことをしなければならない。例えば、宿泊者名簿を備えることに加え、定期的に清掃をしたり、設備の使い方や住み方のルールを説明したり(外国語の案内も必要)、周辺住民からの問い合わせやクレームに対応したりと、きちんと管理をすることが求められる。

なかでもハードルが高いのは、住宅宿泊事業者である標識を外から見やすい場所に掲げること、安全確保のための非常用照明器具の設置、避難経路の表示などが義務付けられることだろう。

詳細については、施行までにガイドライン等が用意されることになっている。細かい条件は今後明らかになっていくと思うが、安全確保のための一定の投資は必要だし、周囲に知られずに民泊を行うことはできなさそうだ。

住宅宿泊事業法が成立すれば、無許可営業は減るのか?

簡易宿所の営業許可を取得しなければならなった場合に比べると、民泊を行うに際してのハードルはかなり下がるので、正規な手続きを踏もうとする事業者も多いだろう。

住宅宿泊事業法案では、住宅宿泊仲介事業者や住宅宿泊管理業者を監督下に置いて規制するほか、住宅宿泊事業者が届け出た施設に立ち入り調査できるようにもしている。さらに、政府は違法民泊対策として、無許可営業の罰則を強化する「旅館業法の一部を改正する法律案」についても閣議決定した。

とはいえ、日数制限があること、家主不在型なら義務付けられた管理の委託にフィーが発生すること、などから経営効率が下がるため、宿泊料を上げるなどの見直しをする必要もあるだろう。年間目いっぱい営業したい、管理委託フィーを払いたくないと、無許可で営業しようとうする事業者は、旅館業法と住宅宿泊事業法の両方から規制を受けることになる。

この法案は国会で成立した後、公布後1年以内に施行するなどとなっている。細かい点についてはこれからということだが、旅行者が安心して気持ちよく過ごせる民泊が広がるように、新法が機能することを願っている。

●参考
・厚生労働省/全国民泊実態調査の結果について●これまでの民泊に関する記事
・大阪府の「民泊」条例、マンションの一室を貸し出せる?
・マンション価値やセキュリティの維持には、Airbnb禁止が必要!?
・7割が無許可か “観光都市・京都”の「民泊」の実態
・民泊・シェアハウスでマンショントラブル! どう対応すればいい?
・民泊サービス解禁でウチのマンションはどうなる? 住まいに関するコラムをもっと読む SUUMOジャーナル

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この記事のライター

SUUMO

『SUUMOジャーナル』は、魅力的な街、進化する住宅、多様化する暮らし方、生活の創意工夫、ほしい暮らしを手に入れた人々の話、それらを実現するためのノウハウ・お金の最新事情など。住まいと暮らしの“いま”と“これから= 未来にある普通のもの”の情報をぎっしり詰め込んで、皆さんにひとつでも多くの、選択肢をお伝えしたいと思っています。

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