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中古マンションを全面改装して自分好みの空間を実現した20代会社員のTさん。なかでも、特にこだわったのが「SEX and the CITY(通称:SATC)」の主人公、キャリーの部屋をイメージしたウォークインクローゼット(以下、WIC)。リノベーションのコツが満載のお宅を訪ねた。
築38年の中古マンションを「スケルトンリノベーション」でイチからつくり直す
「友達に気軽に遊びに来てもらえるパーティー空間がほしい」と、マンション購入を決めたTさん。新築物件には好みの間取りやデザインが見つからず、中古マンションをリノベーションしようと考えた。物件選びは、いざというときの売りやすさ、通勤や友達が立ち寄るのに便利な立地を第一に検討し、地下鉄駅から徒歩2分のワンルームマンションを購入。静かな環境で、周辺にコインパーキングが多いのもポイントだった。
以前、住宅雑誌にかかわる仕事をしていたTさんには、かなえたい部屋のイメージがあった。リノベーション関係の本を何冊も読み、自分で間取図を描いて工務店に相談。壁やパイプスペースなど、位置を変えられない部分を残して取り壊し、全く新しい間取りに変更した。
間取りを変更したほかには、もともとあった床の上にあたたかみのある無垢材フローリングを張った。壁・天井のクロス、建具も一新し、キッチン、浴室など水まわりの設備を入れ替えた。家具は新たに買わず、キッチンのつり戸棚、背面カウンター、テレビボードなどの収納家具は、家具店に造作と施工を依頼した。結果、スッキリと統一感のある空間に。一歩部屋に入れば築38年とは思えないフレッシュな空間が広がり、訪れる友人も「新築みたい」と驚くという。
間取りを描く上でこだわったのは、友人たちが集まれる開放的なLDK。壁に囲まれていた独立型キッチンを、リビング・ダイニングと連動するオープンキッチンに変更し、キッチンの背面に収納と作業台を兼ねる対面カウンターを設置。対面カウンターがオープンな空間をゆるく仕切り、生活感が出やすいキッチンが丸見えにならないのもメリットだ。
プライベートスペースの寝室は当初ブラインドを取り付ける予定で下がり壁を設けたが、広いLDKを確保するために仕切らずオープンな空間にした。位置を変更できない窓側の給湯器スペースの延長上に収納を設け、凹んだ部分にベッドを配置することで、ワンルームの中の落ち着いて過ごせるベッドコーナーが実現した。また、玄関から部屋がまる見えにならない設計で、プライバシーも確保できる。
身支度の度にワクワクするキャリーのWICとオリジナルの洗面台洋服や靴をたくさん持っているTさんのもうひとつのこだわりは、アメリカの人気ドラマ「SATC」の主人公のキャリーのアパートのようなWICをつくること。空間を天井高いっぱいまで有効活用して、上部の棚にはバッグなど小物を収納し、L字型にハンガーパイプを設置したほか、トップスをたたんで平置きに重ねるオープンラックを造作。片側は靴を見せながら仕舞えるアイアン製のシューズラックを設けた。ちなみに通勤用の靴は玄関脇の下足入れに収納し、WICにはプライベート用の靴のみを収納している。
WICの入り口には扉ではなくアール型の開口を設けた。内部にはTさんが吟味して選んだパープルのダマスク柄の輸入クロスを施工し、LDKの明かりとテイストを統一したキラキラ光るシャンデリアを設けた。ちなみにハンガーは200本以上購入したという。お気に入りのワードローブがぎっしりと詰まっていて、何がどこにあるかがひと目で分かるのも便利だ。
また、女性の”キレイ”をつくる、洗面化粧台にもこだわった。家具店に依頼して、鏡、スクエアシンク、水栓、タオル掛けなどパーツを選び、カウンターと収納は無垢材で造作。さらに、洗面化粧台に合わせて洗面脱衣室には収納棚も造作。無垢材ならではのあたたかみのある、居心地のよい空間になった。
Tさん宅は壁、天井、建具をすべて明るいオフホワイトにし、収納家具はすべて無垢材で造作して全体の色味やトーンをそろえているため、専有面積以上に広く感じられる。将来売るかもしれないことを考えて飽きがこないシンプルな内装にしたという。ベースはシンプルだが、WICの内部や照明、水まわりなど、細かい部分に遊び心や女性らしさが感じられる。落ち着きと可愛らしさが見事に同居した住まいだ。
費用については、最初に予算(中古マンションの購入資金+リノベーション費用)の上限を決めた。そして工務店や家具業者と相談し、自分で手配したほうが安い部分は自分で探して購入したりしながら、コストを調整できた。こだわりたい部分には費用をかけるなど、メリハリをつけられるのもリノベーションだからできることだ。
オフを楽しみ、友達が気兼ねなく立ち寄りおしゃべりを楽しむ念願のパーティー空間を手に入れたTさん。自分で考え積極的にかかわった住まいは、愛着も違う。リノベーションというと難しく思う人もいるかもしれないが、「インテリアが好きな人なら、誰でも好きな空間がつくれる」と話すTさん。特に、住まいで何をしたいか、絶対に欲しいものは何かが明確だったことがリノベーション成功のカギではないだろうか。
〈物件プロフィール〉この記事のライター
SUUMO
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『SUUMOジャーナル』は、魅力的な街、進化する住宅、多様化する暮らし方、生活の創意工夫、ほしい暮らしを手に入れた人々の話、それらを実現するためのノウハウ・お金の最新事情など。住まいと暮らしの“いま”と“これから= 未来にある普通のもの”の情報をぎっしり詰め込んで、皆さんにひとつでも多くの、選択肢をお伝えしたいと思っています。
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