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近ごろ、テレビや雑誌で話題になることが多い女性猟師。
長年、男の人の職業と見なされてきた狩りに興味を持つ女性が増加。彼女たち、女性猟師は“
狩りガール”
とも呼ばれ、その存在に注目が集まっています。
その仕事を選ぶまでの経緯は十人十色。ですが『田舎暮らしの本』5月号では、新連載「働く人」で、とある女性猟師さんにインタビュー。彼女の仕事への姿勢に迫りました。
お話を伺ったのは神奈川県足柄上郡で猟師として活動している御簾納聖子(みすの せいこ)さん。御簾納さんが猟師を目指したきっかけとは、一体なんだったのでしょうか?
ザリガニやオタマジャクシを捕るのが好きで、遊牧民に憧れ、ヒツジと暮らすことを夢見ていたという。コンピューターグラフィックスの専門学校へ進み、東京でテレビ制作の世界に入ったときは、両親から「動物の研究員になればいいのに」と言われるほど動物好きだった。
それでも、社会人2年目には、憧れのモンゴルへ行った。「9日間、ゲルに泊まり、ラクダやウマに乗りましたが、想像以上に過酷でした」と当時を振り返る。
その後、同僚と映像制作の会社を設立。パソコンと向き合う日々が365日の忙しさで続いた。そんなときに、キャリアアップを考えて、大学卒業の資格を取ることを思い立った御簾納さんは、放送大学に入学する。
「野生動物管理の授業を見つけ、受講しました。そこで、深刻化している獣害問題や猟師が不足していることを知りました。だったら猟師やってみようかなって、本当に気軽に思ったんです」
その話を友人にすると「興味があるから話を聞かせて」と頼まれ、東京・高円寺の「ジビエ猪鹿鳥」で落ち合うことになった。運命とはどこで大きく動くかわからない。
「そこのマスターが、今、住んでいる丹沢の寄(やどりき)に通う猟師だったんです。その場で『連れてってください!』って頼みました(笑)」
それから丹沢通いが始まり、1年後には、猟友会の親方の紹介で一軒家を借りて寄地区へ移住した。
幼少期のエピソードを踏まえると、なるべくして猟師の職に就いた、といえるような自然な流れ。
ですが、狩猟とは縁遠いニュースサイト「treasures(トレジャーズ)」編集部員のような人間からすると、動物から命をもらうときに葛藤などはないのかと尋ねてみたくなります。
「あまり心苦しさはないですね。(中略)お肉を食べるなら当たり前といった感覚です。(後略)」
「私は、自然のなかに紛れて動物たちを見ているのが好きです。そのうえで、自分が食べる肉は自分で捕る。それを誰かにあげると、その人がほかの何かを私にくれます。害獣対策で人の役に立っているのもうれしい。最近、そうしたシンプルな生活が一番自分らしい暮らしなんだなと思うようになりました」
凛々しさばかりが強調されがちな“
狩りガール”
ですが、御簾納さんが猟師として働く理由は、あくまで自分らしくいられるから。そんなインタビューを読むと、違う世界の人だと感じていた女性猟師が、もっと身近に感じられてきました。
新連載「働く人」は『田舎暮らしの本』5月号48ページから掲載しています。
文・写真/吉田智彦
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この記事のライター
宝島オンライン
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