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セックスしたい、というモチベーションは人それぞれで、純粋に快楽だという人もいれば、それよりも人肌や愛されている実感がそれに当たるという人もいる。もちろんひとりの女性にひとつのモチベーションということはなく、いろんな動機が混ざり合っているものだろう。
したい、という気持ちがあったとしても、それを行動に移せるかどうかは、また別の話。セックスパートナーがそばにいて、比較的いつでも応じてくれる場合は別として、相手を探したり自分のほしい快感を追求したりするには、もうひとつ背中を押す”何か”が必要なのではないか。
この話の前編は>>53歳主婦が結婚32年目で「女性用風俗」を検索したワケ

夫からの気遣いも日々、感じる。病状が悪化していたとき、夫の前でひどく取り乱したことがあった。本人もショックを受けたのか、それ以降は強い感情をぶつけてこなくなった。マチコさんが、強い言葉や大きな声を苦手としているからだ。
「穏やかに過ごせること自体は、ありがたいと思います。でも夫は仕事の愚痴も少なく、イライラを家に持ち帰らないようにしているみたいで、それはそれでストレスがたまらないかと思って心配になります」
思いやりから、セックスが遠のくこともある。けれど夫婦仲はいい。今後セックスが復活する可能性はゼロではないのでは?
「マッサージするなどスキンシップは欠かしていませし、いちゃいちゃしたい気持ちはあります。でもセックスとなると……怯んじゃうかも。私から茶化して、バタバタッと場をごまかして、セックスには至らないようにすると思います」

薬が変更されて以降は、マチコさんの性的欲求も復活した。たまに性的な夢を見る、そのときの相手はいつも夫だ。でも、リアルな夫を性の対象として見ることは、もうない。
「いまは、ソロ活でいいかなと思っています。プレジャーグッズを買って使ってみたら、自分でするのとはぜんぜん違うなと思いました。自分の指だと力加減をしてしまうけど、グッズは思いもよらない動きで快感をもたらしてくれます。もうひとつあってもいいなぁと思って、狙っているグッズもあるんですよ」
ソロ活、セルフプレジャー……新しい言葉が出てきて、女性にとっても”当たり前”の行為と認識されるようになった。
▶もういちど、あの絶叫するような歓びを味わいたい

そんなマチコさんが「50代のうちに、女性用風俗を利用してみたい」と願うのはどうしてだろう?
「ソロ活では、中でイッたことがないんです。一度挿入してみたら私の粘膜が弱かったのか、角度が悪かったのか、出血してしまい……。なのでいまは、外への刺激だけで満足しています。でも、女性として生まれたからにはもう一度、あの死ぬほどの気持ちさを味わってみたいんです」
そのために婚外セックスを検討したこともある。けれど、好きになってはいけない人を好きになってしまうクセがあり、つらい別れを何度か経験したため、「お金でプロに頼むのが、きっとよい」という結論に至った。どんなお店があるんだろうと、調べたこともある。サービス内容や料金、利用した人からの評判などをつぶさにチェックした。

“あの”死ぬほどの気持ちよさをもう一度、というマチコさんには、忘れられない思い出がある。現在の夫と知り合ったのは、バイト先。当時は別に彼氏がいたが、別れたかった。その一方で夫のことが気になり、想いが高まった末、彼氏とは別れることにした。
「私からの告白でつき合うことになったその日、深夜のドライブに出かけたんです。車のなかで抱き合ったのですが、コンドームがなくて最後まではできませんでした。でもそのとき彼が手で長い時間、愛撫してくれたのが、強烈に気持ちよくて忘れられません。あのときを超える快感は今後も体験できないだろうと思うくらい」
その思い出があるから、マチコさんは行動できるのではないか、「女性用風俗を利用してみたい」と自分の欲望を発露させる場を決められるのではないか。自分はいいセックスを知っている、気持ちよくなれるというのは、ひとつの自信で、それがあるのとないのとでは、大きな違いになる。

マチコさんは現在、目標実現に向けて貯金に励んでいる。
「私は専業主婦なので、いますぐ利用しようとなると、夫の稼いだお金を使うことになって、それは違うと思うんです。生活をやりくりして自分で貯めたお金なら、堂々と行ける気がしています。病気のこともあって、50代になる前に死んでてもおかしくなかったと自分でも思うんです。ここまで生き延びたんだから、自分にご褒美をあげたい。それが私にとっては、女性用風俗なんです」
その目標を達成したあかつきには、ぜひもう一度お話を聞かせてほしい。
この記事のライター
OTONA SALONE|オトナサローネ
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