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新築の一戸建てやマンションを引き渡す前に行われる「内覧会」。完成したマイホームがお披露目される機会とあって、ワクワクするものです。しかし、内覧会が本来どのような目的で実施されるのか、きちんと理解している人は少ないかもしれません。そこで、前編・後編で内覧会のイロハをまるっと紹介。前編では、内覧会をする意味&準備しておくべきコトや心構えをプロに教えてもらいました。
完成を喜んでばかりじゃダメ! 内覧会は“協議の場”と心得る
お話を聞いたのは、住宅診断のエキスパートである「さくら事務所」所属の川野武士さん。内覧会とは、「売主・施工会社の担当者と一緒に建物に問題がないか確認する場」とのこと。
「内覧会の目的は、建物が打ち合わせどおりにきちんと完成しているかどうかを、引き渡し前にチェックすることです。もし問題があれば改善を要求し、協議しなくてはいけません。ただ眺めているだけでは意味がありませんし、もったいない時間になってしまいます」(川野さん、以下同)
内覧会というとお披露目会や見学会のように感じるかもしれませんが、その本来の位置づけは「竣工検査」または「施主検査」。ややお堅いネーミングですが、つまるところ内覧会は“施主・買主による建物検査”なのです。
「工事請負契約書や売買契約書に、内覧会の実施について記載があれば行う必要がありますが、そもそも法律で『内覧会は必須』と決められているわけではありません。それでもなぜあえて行うかといえば、売主と買主、施工会社と施主との間のトラブルを回避するため。もちろん欠陥なく引き渡すのは、売主・施工会社の責任ですが、実際に暮らすのはご自身です。引越した後に不具合を見つけて修繕しなくてはいけなくなった、ということにならないように、内覧会ではしっかりと建物の状況を確認しましょう」
ちなみに、これまで川野さんが耳にした“内覧会で発覚した重大ミス”は、「外壁の色がまったく違うものになっていた」「床暖房が入っていなかった」など。こうした「仕上げや設備が発注と異なっている」などの施工会社のミスが明らかな不具合であれば、約束したものが納品されていないので契約が不履行になるとのこと。そのため、仮に引越した後に発覚しても、経過期間によっては対処を求めることができます。
「とはいえ、せっかくの新築なのに幸先がいい話ではありませんし、暮らしながらの修繕となると、業者対応の手間も増えます。そのため、お願いしたことがきちんと出来上がっているのか、内覧会で検査をすることが重要です。また、住んでしまってからでは責任の線引きが難しくなるのが、『傷』『汚れ』などのたぐい。許容できない『傷』『汚れ』がないかどうかは、一層気を引き締めてチェックに臨む必要があります」
内覧会に持っていくと役立つアイテムとは?内覧会の重要性が分かったところで、当日はどのような準備をしておけばいいのでしょうか? 川野さんによると、持参しておくと役に立つアイテムがいくつかあるとのこと。
「内覧会に持っていくべき持ち物は、『設計図(間取図・仕上げ表)』『付せん』『デジカメ』『懐中電灯』『メジャー』です。『設計図』については依頼した内容どおりに施工されているか、照らし合わせる資料として必要です。また、『付せん』は傷や汚れの箇所や気になる部分に貼り、さらに『デジカメ』で記録を取っておきましょう。なお、引き渡し前は、照明器具が付いていない、電気が通っていない場合があることや、床下なども確認したほうがいいので『懐中電灯』を、さらに洗濯機や冷蔵庫のような入居後に設置する大型家電を置く場所のサイズを測るために『メジャー』を用意しておくと万全だと思います」
なお通常、内覧会で確保されている時間は30分から1時間程度。ただ、確認ポイントは多くあるので2時間ほど時間を確保してもらえるように事前に依頼をしたほうがいいようです。
「内覧会のときには、例えば給湯器やインターホンの使い方など、設備説明の時間もあります。そのため、1時間だとあっという間に終わってしまうんです。実際、ゆっくり見る時間はあまりないんじゃないかと思われます。あらかじめ担当者の方に、『少し多めに時間を下さい』と言っておいて、時間があまるくらいのつもりで、余裕をみて時間設定することをおすすめします」
そして、気になるところがあれば躊躇(ちゅうちょ)せず伝えること。ただし、あまりにも気にし過ぎるがゆえに、必要以上のことまで指摘する“クレーマー”にならないように気をつけなくてはいけません。自分にとっての許容範囲がどこまでかを線引きしたうえで、指摘をすることが望ましいようです。
「誰のために内覧会を行うのかといえば、『施主・買主さんのため』にほかなりませんが、指摘する際は理由が必要です。例えば、打ち合わせどおりでない、生活する上で支障がある……など、そうでないとただのクレーマーになってしまいます。指摘をする理由を伝えないと売主や施工会社との関係性もこじれかねません」
マイホームの購入を決めている時点で、売主や施工会社への信頼感は高い方が多いのでは。そのため、お任せモードになってしまいがちですが、ミスがまったくないとは限りません。実際に暮らすのは“自分自身”。あとあと後悔しないように、内覧会を意義ある時間にしましょう。
後編では内覧会で具体的にどんなポイントを確認すればよいのかを写真を交えて紹介します。
●取材協力この記事のライター
SUUMO
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『SUUMOジャーナル』は、魅力的な街、進化する住宅、多様化する暮らし方、生活の創意工夫、ほしい暮らしを手に入れた人々の話、それらを実現するためのノウハウ・お金の最新事情など。住まいと暮らしの“いま”と“これから= 未来にある普通のもの”の情報をぎっしり詰め込んで、皆さんにひとつでも多くの、選択肢をお伝えしたいと思っています。
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