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夫婦問題・モラハラカウンセラーの麻野祐香です。経済的に自立した「働く女性」であってもなお逃げ切れずに苦しむ夫のモラハラについて、長年に渡りカウンセリングを続けてきた私なりの対策をお伝えしています。
▶前編の『ハイスペックなモラハラ夫。仕事を辞めて専業主婦になったのに、姑が豹変!居場所も味方もいない、どうしようもない孤独感【前編】』に続く後編です。
モラハラになる育て方は主に、過保護で子どもを溺愛した場合とネグレクト(育児放棄)があります。
「溺愛」の場合は、愛情を注ぐだけ注ぎ、甘やかすだけで必要なしつけができていません。
わがままも許容し続けることで、子どもは自分がいつも正しい、自分の言うことは誰も逆らわないと信じるのです。
溺愛と同じように子どもに対して構いすぎるものに「過干渉」があります。このタイプは、過保護とは少し違って、子ども自身が望んでいるかどうかに関わらず、親が子どもを支配するタイプの育て方です。
親に支配されて育ってきたことから、自分も子どもや妻を支配していくのが正しいと信じ、モラハラになっていくのです。
Iさんの夫は、過干渉の母親に育てられ、かつ母親の言うことは全て聞かないといけないという捻れた支配下で育っていたようです。その結果一番大切なのは母親、母親の言うことや思うことは全て正しい…と信じ込んでいます。
実家とIさんの自宅の距離は、電車で20分でした。この近すぎず、遠すぎずの場所を選んだのも母親でした。夫の母親は息子に構いすぎだと自分の夫から怒られていたので、今も息子とベッタリだとバレたくない、でもそばにいたい、と思っているのです。
のちにお話を聞いた時、義母もモラハラの被害者だったとわかりました。ご自身のモラハラの辛さを、息子への捻じ曲がった愛情でカバーしていたのです。
過干渉や支配する母には、心の問題が隠れています。
ある日の日中に玄関の鍵が開く音がして、慌てて玄関まで出て行きました。そこには義母が立っていました。
「お義母さん、なんでうちの鍵を持っているのですか? なんで勝手に鍵を開けて家に入るんですか!」とIさんは義母に文句を言いましたが、「息子が何かあったら困るから鍵を持っていてと渡してくれたのよ。それよりあなたはなんで家にいるの?」と平然としています。
「『私は専業主婦ですから』と答えると、義母は『息子の稼ぎだけでいい生活ができるなんていいわね。うちの息子が頑張って働いているのに、あなたは料理も下手だし本当に役に立たないのね。息子が毎晩うちに寄って帰るのは可哀想だから、私が夕飯を作りにきてあげたのよ』と言い放つのです。私は驚きすぎて何も言えずに、その場に立ち尽くしていました」
そんなIさんの横を義母はすり抜け、「キッチンも汚いし、本当にこれで専業主婦なの? 息子が可哀想だわ」と私をチラッと見て、キッチンの掃除と料理を作り出しました。
その日は自分の昼食を食べ終え、流しの中に洗い物は溜まっていました。でも掃除は毎日しているし、文句を言われるほど汚いわけではありません。キッチンは俗にいう主婦の聖域。そんなキッチンにズカズカ侵入され、文句をいわれ、勝手に使われる。こんなことはあり得ません。
義母に「辞めてください。私の家です」とIさんが言っても「ここはあなたの家ではなく息子の家なのよ」と義母は平然と言い、何も聞き入れません。
Iさんは夫に電話して「どうしてお義母さんに家の鍵を渡していたの」と聞くと、「もしもの為に預かってもらっていたんだ。普通だろう」と悪いことをしたとは思っていない様子。
「お義母さんは私がいるのに、合鍵で家に勝手に入ってきたのよ」と訴えても、夫は「そんなことどうでもいいじゃないか。お母さんが来てくれたならちゃんともてなしてくれよ」と義母のことばかり気にかけます。
「私が『お義母さんはあなたの夕食を作りに来たって言って、キッチンで料理を始めているのよ』とさらに訴えると、『今日は実家に行かないで家でご飯を食べられるのか。よかった』とまさかの夫の発言が返ってきました」
夫に文句を言っても何も聞き入れてくれません。義母は鼻歌を歌いながら夫の夕食を作り、2時間後には帰宅して行きました。義母の作った夕食をゴミ箱に捨てたい衝動にかられましたが、そこはグッと我慢して帰宅した夫にあたため直してテーブルに出しました。
「これこれ。この味噌汁の味だよ。おかずも美味しいな。なんで君はこれができないんだろうね」と言い、美味しそうに完食していました。少し味見をしてみたのですが、そんなに美味しいわけではないのです。夫は “母親のものが美味しい” と心を支配され、決めつけているんです。
その後も何回も義母が家に勝手に来て、夫の夕食を作って帰るを繰り返していました。
「私は何度も夫に抗議をしましたが、その度に反対に怒鳴られ、夫の暴言は止まらなくなりました。
母親を悪く言う妻は敵になるのです。自分の家庭よりも自分の母親が大切な夫。自分の家なのにいつ義母が来るのか分からず、落ち着かない毎日が続いています。離婚も考えていますが、弁護士の夫相手に離婚を切り出しても丸め込まれそうなので、どうしようか迷い続けています」
以上が私がIさんさんから伺ったモラハラの実態です。カウンセリングを行ったとき、Iさんのご主人が弁護士ということもあり、離婚の時に不利にならないように現在は証拠を集めることを勧め、信頼できる弁護士をお繋ぎしました。
モラハラ夫の親もモラハラの場合が多くあります。
Iさんの義母も、外面はいいが、実際は人の気持ちのわからない自分本位の人でした。「あなたが息子の嫁になってくれて嬉しい。なんでも私に相談してね」という言葉を信じ、義母は自分の味方だと思ってしまったことを後悔するIさんのように、モラ夫の母親もモラハラだった、すっかり騙されていたという人が多くいます。
モラハラ夫の母親にも気をつけるようにしてください。
夫婦問題・モラハラカウンセラー 麻野祐香
モラハラ/HSP専門カウンセラー。モラハラで悩む方の心を守ることを使命とし、カウンセリングとTikTokライブでモラハラとHSPで悩む方のサポートを続けている。モラハラと夫は別れるべきと勧めることが多い中、離婚をしたくても事情があって別れられない人々のために、モラハラ夫からの自分の心の守り方を発信。著書「モラ夫のトリセツ」「夫婦の気持ちすれ違い解消ドリル」「モラ夫のトリセツ2」
この記事のライター
OTONA SALONE|オトナサローネ
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