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理想はいつ誰が来ても恥ずかしくないモデルルームのような家。だけど実は、理想像と現実のギャップに悶々(もんもん)としている人が大多数。そこで「整理整頓が苦手なのは当たり前、大雑把に片付けることが小綺麗を長続きさせるコツです」という女神様のような持論をお持ちの片付けのプロに教えを乞うことに。
片付けが苦手な人ほど、実は几帳面で真面目。もっとラクに考えよう
早速、都内の幼稚園で保護者向けに行われていたママさんたちに大好評という講演に潜入。講師は片付けアドバイザー・インテリアコーディネーターの小関祐加さん。会場はママさんたちの熱気でムンムン、皆さん片付かない家や子どものしつけが悩みの種だという。
セミナーは「家を出るとき、食卓の上に出しっ放しのものは?」「ギューギューの引き出しはありますか?」「2年以上着ていない洋服は?」などの質問から始まり、大多数の人が挙手。実は、テレビや雑誌で紹介される家のように整理整頓できる人は少数派なのだという。さらに、そのような家は撮影用に普段より美化されている可能性大。なぜなら小関さんも取材を受ける際、通常より少し綺麗にするし、さらにそのまま撮ってと言ってもカメラマンも見栄えを気にして並べ直す(笑)。そんな美化された家をお手本に、「見せる収納」「小物入れもオシャレなものでそろえる」「モノ別にラベリングして分類」なんて小手先だけを真似しようとするから、すぐにグチャグチャになるのは当然なのだ。
心理学を学んだ小関さんによると、片付けが苦手という人ほど、実は几帳面で真面目。百点満点を目指してきちんとしようとするあまり、頑張りすぎて長続きせず挫折。結果、苦手意識だけが残り、片付けを諦めるという悪循環を生んでしまう。実際片付けを依頼された家に行くと、必ず収納ノウハウ本が何冊もあり、知識はあるけど行動できないのが現実なのだという。
自分に合っていない収納術を形だけ真似しても長続きはしない。片付けを「やる」「やらない」の0(ゼロ)・100ではなく、合格ラインの70点を目標に、まずは行動すること。自分に合ってラクで長続きする片付け術とはどんなものなのか、ご自身の住まいを例に具体的に教えていただこう。
モノは出しっ放しにしない。しまう場所を決めて片付ける習慣を早速小関さんのご自宅へ。通されたリビングは石や木の素材がふんだんに使われて重厚感あふれ、スッキリ綺麗に片付いたモデルルームのような大空間。もちろん床も机の上もスッキリ片付き、出しっ放しなし。見事に片付いているので、大雑把でいいとのことだったけれど、と若干不安になる。
キッチンは白でまとめられた、清潔感あふれる空間。両側に収納スペースが豊富にあり、整然とした印象。雑然としがちなキッチンのはずが、ほとんどモノが目に入らない。だが実際にキッチンに立って視界が変わると、すぐ使うものは手元に出ている。収納扉を開けてどこに何が入っているか説明してもらうと、分かりやすく使いやすい場所にモノが収まっている。綺麗に片付いているのに、実に無駄がなく、機能的なのだ!
「片付け方法は大雑把でいいのです。床の上には物を置かない、食事の前や出かける前には机の上を片付ける、収納場所を決めて元にもどす、などを習慣づけることから始めることが大切です」と小関さん。よく使うものなど出しっ放しOKなものを決め、それ以外は使い終わったら元の場所に片付ける。出しっ放しのものは、置き場所、容器、色などに配慮するとスッキリ見える。
片付けが苦手なら隠す収納。使うものは使う場所に、同じものはまとめるさらに「片付けが苦手な人には見せる収納はオススメしません」とのこと。扉がついた隠す収納なら、中は見えないから自分が使いやすければ良い。小関さんのキッチンも、収納スペースは白か半透明の扉がついた隠す収納だ。
中が見えない分、使うものを使う場所に置くことも重要。「使うものを厳選して、使う場所に置いています」と小関さん。誰がキッチンに入っても何がどこにあるか分かり、子どもでもお手伝いができそう。しまう場所が分かりやすいと誰にも使いやすいのだ。
粉類などは、「見せる収納」を目指しておそろいのガラス瓶に入れ替える人もいるが、長続きしない。小関さんも砂糖・塩だけは容器に入れているが、粉類はチャック式の物ならそのまま、上をクルリと折ってピンチでとめてそのままカゴに収納。
しまう場所が決まると、モノの数も自ずと決まる。パンパンに入れると取り出しにくくなってしまうので、出し入れしやすい余裕をもった七分目の状態を保つため、使うものも厳選。例えば小関さんはラップやストックバッグ類のサイズは大中小でなく、中サイズの一種類。中は小を兼ねるし、大きい物を包む場合は二重にするなど工夫すれば良い。これによって収納場所はもちろん、買い置きもシンプルになるので2倍の省スペースになる。
収納のポイントは綺麗さではなく「見やすさ」と「戻しやすさ」さらに頻繁に使うものは使う場所の手の届きやすい所に、買い置きや出番が少ないものは手の届きにくいところに、など置く場所も考慮しよう。隠す収納なら綺麗に並べることを考えず、同じものをまとめて使いやすい状態で使いやすい場所に置くことを優先できる。どこに何があるかが見やすく、使い終わった後に戻しやすいことが、片付いた状態を保つうえで重要。出し入れに時間がかからず、ワンアクションですむのが理想だ。
頻繁に使うわけではない来客用ティーカップなどは、収納棚の中でも手が届きにくい高い位置にまとめて収納。100円ショップなどでも手に入るプラスティック製のカゴに、結束バンドを付けて引き出す際の持ち手にすれば、持ち手の奥行き分も無駄にせず収納量を確保できる
日々の片付けは大雑把で、たまに修正すればいい。どこから手を付けていいか分からない、という人は、夕飯の前に食卓周りを片付ける、家じゅうのポケットティッシュ・文具・薬など同じ系統のものをまとめる。ゴミ収集日に確実にゴミを出す、朝起きたらカーテンを開けるのも魔窟をつくらないポイント。 「考えるより手を動かすことが大事」と小関さん、まずはできるところから行動に移そう。いきなり完璧を目指さず、頑張りすぎず。自分のペースで取り組みたい。
次回は、ためずに効率的に片付けるコツを、衣類を具体例にしながらご紹介!
●中編
・楽ラク収納[中] 日々の片付けは適当、たまにきちんとでOK
この記事のライター
SUUMO
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『SUUMOジャーナル』は、魅力的な街、進化する住宅、多様化する暮らし方、生活の創意工夫、ほしい暮らしを手に入れた人々の話、それらを実現するためのノウハウ・お金の最新事情など。住まいと暮らしの“いま”と“これから= 未来にある普通のもの”の情報をぎっしり詰め込んで、皆さんにひとつでも多くの、選択肢をお伝えしたいと思っています。
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