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さんきゅう倉田さんは、オトナサローネでの連載をまとめた書籍(電子)『お金持ちがしない42のこと』がロングセラー人気の、元国税芸人であり吉本芸人でもあります。この3年間は仕事の傍ら、受験勉強にも専念する多忙な日々を送り、23年4月に晴れて東京大学文科二類に合格。各メディアで大きく報道され、話題になりました。
東大生たちに囲まれる暮らしが始まり、彼らの瞬時の判断力や教養、その合理性は「学ぶことばかりだ」と言います。そんな東大生たちの知られざる世界を、さんきゅう倉田さん独自の視点で語っていただきます。
今回は「東大」という学校名が持つ威力について紹介していただきます。
3回受験して、4月から東京大学に通っている。ぼくは38歳で合格したため多少話題になった。合格時と入学式の後は多くの媒体で記事にしてもらって、反響も大きかった。コメントの一部を紹介したい。
「何歳からでも挑戦できるんだ」
「勇気をもらった」
「自分も30代になってから資格試験の勉強を始めたけれど記憶力が落ちた」
「この歳での東大合格はすごい」
Yahoo!ニュースのヤフコメやX(旧Twitter)での反応は、荒っぽく分けるとこのような意見が多く、さらに共通部分だけ抜き出すならば一言「すごい」だった。
「すごい」ないし「エグい」がみんなの共通認識だった。
だが果たして本当にすごいことなのだろうか。まず、「すごい」という言葉について考えてみたい。

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おそらく古典で学ぶ「凄し」に語源を持つだろう。
三省堂『全訳読解 古語辞典』の語釈にはこうある。
現代語では①②の意味では用いられず、③の場合のみが使われる。しかし、「すごい」に置き換えられる言葉は多くない。例えば、「すばらしい」や「素敵」などが考えられるが、同値ではない。これらは良い評価をしたと伝えることはできるが、「すごい」の持つ驚きのニュアンスを持たない。
ちなみに、三省堂『三省堂国語辞典 第七版』を見ると、「すごい」の語釈には「②力や程度がはなはだしい。驚くほどだ。」とある。やはり驚きの意味が込められていて、それを代替する言葉は存在しないように思う。
だから、みんな口を揃えて「すごい!」と言ってくれたのだ。
受験のために国語を深く学び直したが、合格したあとが最も日本語における語彙の限界について考えた瞬間だった。
英語やフランス語であれば、何か素晴らしいことが起こったとき、成功した時に用いる単語は複数ある。例えば、大修館書店『Genius6 JE3』で「すごい」を引くと、「程度が甚だしい」の意味で「huge」「eneormous」「terrible」とあり、「すばらしい」の意味で、「wonderful」「great」「fantastic」「terrific」「remarkable」とある。
これを日本語では「すごい」一つで担っているので、他者の発する「すごい」にはグラデーションがあるはずだ。
つまり、他者の放った「すごい」にはその人の内面が表現されていないので、どのくらい「すごい」と思っているのか客観的には分からない。だから、どのような場合に最も「すごい」と思うのか考えてみることにした。
つづき▶東大という、山に登らないと山の高さは分からない。だからこそ、さんきゅう倉田さん自身でさえ3回の受験を経てみごと合格するまでは、本当の意味で「東大すごい」を理解できていなかった!?_こちらから読む
この記事のライター
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