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イトウウミ44歳。結婚を誓った彼に逃げられ、早1年が過ぎた。開き直りから婚活を再開するも、低空飛行を継続中。そんな私が「どうして今婚活をしているのか」振り返りながら書いている「セルフ自伝」。
今回も1月のオトナサローネ特集「オトナの3kgやせ」にあわせ、番外編(下)「私が婚活人生で激ヤセした旅行」、胸ときめく「出逢い編」をお送りします。
前回お話ししたとおり、私は学生時代の彼と結婚が破談になった経験がある。「何年後かに一緒になる」とお互い信じていたので、こんなにもあっけなく終わってしまうことが、まったくの予想外だった。
それはまさに、第1次結婚ラッシュを迎える20代後半のこと。
「次はウミだね!」――ブーケトスのバトンを受け取るたび、本当のことを言えないまま作り笑いでごまかす…すっかり疲れてしまった私は、そのショックを「結婚で諦めること」に挑戦することで癒やしていた。その一つが「インド放浪」である。
私はニューデリーから世界遺産タージマハルのあるアグラを経てムンバイ、ヒッピーの聖地ゴア、真ん中を横断してガンジス川の畔バラナシと、北半分をバスと鉄道で1ヵ月間旅した。
現地語だからどこで降りたらいいかわからないバス。マグネット大の穴しかないトイレ。客席以上の人でカオスの寝台列車。食べるもの全部がカレー味だったり。いきなりお土産屋連れて行かれ、家族総出で押し売りされたり。自称哲学者の胡散臭い旅人に延々語られたり…
すべてが目からウロコのオンパレード! サバイバルするよりも、ボリウッド映画のように突然踊り出したくなる…次第にそんなワクワクする気持ちになってきたのである。
滞在も残りわずかなとある日。通りの向こう側で日本人を見かけた。リクシャー運転手に取り囲まれ、困っているもよう。私はどうしても見過ごすことができず、突発的に行動した。
待ち合わせをしている友達を装い、手を大きく振って…「こっち! こっち!」
運転手の強引な営業攻撃を受けている彼も、気づいたようだ。
「あっ! 今から行く!」手を振りかえして、通りを渡ってきてくれたのだ。
ウミがインドで出逢った日本人とは…次ページ
「すみません、助かりました。ありがとうございます」
彼は関西出身の大学4回生くん。卒業旅行でインドを一人で旅していた。こっちにきて日が浅いため、インド人の営業トークにびっくりして断るにも断れなかったという。
「御礼にお食事でもしたいのですが、あいにく移動日で時間がなくて…。春から東京で研修予定なので、そのときに是非」
と、メールアドレスを交換した。
あれ? これって…
「王子様がお姫様を助ける」王道パターンとは逆だけれども、もしかして「棚からボタモチ」!?
変身願望を抱きつつ飛んだインド。結局、“変わった”のは私自身ではない。新しい世界を見ることで好奇心が刺激され、「結婚」という一方向だけだった関心が、様々な方向に向くようになったことである。それは適齢期に破談のショックを受けた私にとって、いちばんの収穫だったかもしれない。
「ウミ、すごいスリムになっているんだけど…」
友人たちの第一声はこうだった。どうやら、帰国後の私はびっくりするほど痩せていたらしい。本人は日に焼けてシュッと引き締まった程度に思っていたのだが…
暑さのせいなのか? 毎日食べていたカレーのせいなのか? それとも、インド人につけ込まれないよう、毎日気を張っていたせいなのか?
いずれにせよ、何もしないで痩せることができて、しかも年下学生くんとお食事の約束もゲットできた「インド放浪」。勇気を出して行ってよかった――帰国直後はそう思ったのだ。
デート用の洋服を買いに行って、春らしいヘアスタイルに。せっかくだから、新色のルージュを合わせよう。どんな雰囲気のコーデがいいかな? あんまり大人すぎても恐縮するかな? 気持ちはすっかりデート気分だった。
そして、迎えた当日。
「あれ? ウミさん、インドで会ったときとだいぶ雰囲気が違いますね…」
確かに、現地では捨ててもいいTシャツと古着、日焼け止めだけのすっぴん、ひっつめ髪にメガネの小汚い格好をしていた。でも、それに比べれば今日はお洒落をしているのに…
まさか、「ゲレンデマジック」…じゃなかった「インドマジック」!?
そう、私はすっかり忘れていたのである。
彼と再会するまでの1ヵ月半の間、激ヤセした私の体重は見事リバウンドしていたのだ。むしろ、増えていたのである。インドでは食べられなかった牛肉や豚肉を反動で食べてしまい、あっという間に増量。やはり、努力なしで簡単に痩せる方法は存在しないのかもしれない。
彼とのその後? それは、ご想像にお任せします…
この記事のライター
OTONA SALONE|オトナサローネ
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