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IoT(Internet of Things)が加速度的に普及し、家のなかのモノがネットワークでつながることが、当たり前になりつつある昨今。そうした小型家電(いわゆるガジェット)は人間のモノにとどまらず、猫や犬などのペットまわりのアイテムにも波及しつつあります。ということで、今回は仕事や暮らしを「より良く」するアイデアやガジェットを紹介するwebメディア「ライフハッカー[日本版]」の猫好き編集者・岸田祐佳さんと筆者が実際に製品を使ってみた感想をご紹介。これからの猫ガジェットと住まいのあれこれについて紹介していきます。
2018年はペットガジェット元年だった。2019年もユニークな商品が次々登場
2017年、インスタグラムが日本でいちばん投稿されたハッシュタグは「猫・ねこ」、3位は「かわいい」だったという結果もあるほど、猛烈な猫人気が続いています。現在でもTwitterやFacebookなどのSNS、各メディアで猫の写真や画像を見ない日はありません。2017年には猫の飼育頭数が犬の飼育数を上回り、2018年もその傾向が続く(※1)など、猫人気は衰え知らずです。
2018年はシャープの「ペットケアモニター」などのデバイスが続々と誕生。ゆえに2018年はペットガジェット、ペットテック元年とも言われ、2019年はさらに進化を遂げそうです。
ちなみに、筆者は今回の企画に際して10年前の猫雑誌を読み返してみましたが、そうしたデジタルアイテムは皆無でした。まさに10年ひと昔、今まで考えられなかった進化と言ってもいいでしょう。
岸田さんによると、「猫ブームも手伝って、賃貸物件やひとり暮らしでも猫やペットを飼うという選択肢が選べるようになったことが大きな背景としてあると思います。どうしてもペットと一緒にいられない時間を補うためのツールやガジェットにも需要が生まれたのではないでしょうか。また、クラウドファンディングなどでアイデアを商品化しやすくなった時代性もあるように感じます」とのこと。
そう話しながら例として紹介してくださったのは、クラウドファンディングを経て今年の夏にリリースされる予定の商品「Catlog(キャトログ)」(RABO)。運動量、食事回数など、猫の活動を24時間記録するウェアラブルデバイスで、留守番中の猫の様子をスマホで見られたり、猫の様子を家族や獣医師にもアカウントシェアでき、将来的には利用している猫たちのログを分析することで病気の予防等に役立てられる、というものです。猫好き&ガジェットならワクワクは止まらない状況といえるでしょう。
今回は、ライフハッカー編集部の岸田さんが最近気になっているという、体重や排尿を記録するトイレ(シャープ)、自動で追尾し、撮影してくれるカメラ(パナソニック)、設定時間に自動でごはんをあげてくれる給餌器(うちのこエレクトリック)の3つのアイテムをピックアップ。筆者宅と岸田さん宅で実際に使用してみました。使い心地はどのようなものなのでしょうか。
ペットトイレに給餌器、カメラ。実際に使うと「未来が来た!」感が半端ない【シャープ 猫用システムトイレ型「ペットケアモニター」】
岸田さんは「ペットケアモニター」の良さについて、「外出先・勤務先で猫たちの排尿の様子が分かるのは不安を軽減してくれます。特に昨年の夏のように毎日、異様に暑いと心配になりますよね。トイレをしたのが分かるとそれだけで安心します」と言います。現在、いっしょに暮らしているピニャさん、クスさんはまだまだ1歳になっておらず、アクティブなやんちゃざかり。あやまってヒモ、おもちゃを誤飲するコも多く、モノによっては開腹手術が必要なことも。それだけに、様子が分かると安心というのは納得です。
一方で、筆者宅のちゃえもんは10歳。見た目は凛々しいのですが、人間でいうと60歳超で、そろそろ健康管理が必要なお年ごろ。特に先に逝ってしまった猫は体重管理が大変だったので、トイレで体重が計れることに感動しました。テクノロジー万歳です! また、猫は我慢強い生き物と言われることがあり、飼い主が異変に気づいたときには重症化していることが多いと聞きます。その点、こうしたログが残ることで、体調をすぐに察知できる点にも魅力を感じました。
【うちのこエレクトリック 給餌器「カリカリマシーンSP」】
「今までもタイマー設定でごはんをあげてくれる自動給餌器はありましたが、こちらは外出先でも、アプリ経由で手動給餌ができます。電車が遅れる、急な残業などにも対応しやすいですよね。こちらもカメラを搭載する見守り機能付きです」と岸田さん。
また、余っているカリカリがあると自動センサーが感知して給餌をストップ。食べ過ぎ防止にもなります。ぽっちゃり猫も見た目は愛おしいですが、寿命を縮める結果になってしまうので、防げるのは大きなメリットです。
カメラとエアコンは連携済み。さらに機器同士の連携で進化するかも?ちなみに、岸田さんは自動給餌器とトイレなど機器同士が連携することでさらに進化していくのでは、と推測します。
「今回使用したペットトイレは周辺の温度を感知して『設置場所の温度が低いようです』って出るんです。今後はエアコンと連携して自然と部屋を暖めておくなんてことも可能になるのでは。トイレと給餌器も同様で、便や尿の量を検知して、ごはんを少なめに/多めにってなっていくんじゃないでしょうか」とも。なるほど、それはありえるのかもしれません。
【パナソニック 「HDペットカメラ」】
これは猫や子どもがいると自動追尾してくれて、その様子が外出先や別フロアからでも分かるというもの。声でもやりとりできるので、コミュニケーションがとれて楽しいだけでなく、先ほどの「機器同士の連携」をすでに実現し、カメラのアプリからエアコンのアプリに自動連携、外出先から室温調整ができます。
ちなみに岸田さんはオフィスでも、「特別に用事がなくても、アプリでピニャとクスを見て癒やされていました」と話します。こちらのカメラは解像度が200万画素ですし、夜間でも撮影できます。出張や泊まりの仕事がある人はより安心なのではないでしょうか。
猫ガジェットはまだまだ進化途上。殺処分ゼロにも貢献するテックに期待ちなみに今回は日本で入手できるアイテムをお試ししましたが、海外ではペットアイテムをレンタルしてお試ししてから購入できる「サブスクリプションサービス」なども登場しています。こうしたアイテムやサービスは今後、どんどん改良が進んでいくことでしょう。
ちなみに今回、筆者はガジェットの進化に住まいが追いついていないと思いました。というのも、筆者宅は2012年築で、比較的どの部屋にもコンセントがありますが、それでも「足りないな」と痛感。もちろん、延長コードで対応可能ですが、IoTを想定していない住まいでは、今後、不便だなと感じることが増えるかもしれません。
実はこうして問題を1つ解決すると、またひとつ不安や不便が出てくると、岸田さんも指摘します。
「テクノロジーは、不安や欲求を解決しますが、そうなってくるとまた違う不安や欲求が出てくるもの。いわば終わりなき戦いですよね」と言います。なるほど、際限ってないんですね。
最後に今後の展望についても聞いてみました。
「今は、家にいる猫・犬を対象にしたアイテム・ガジェットですが、個人的には、将来的には野良猫、保護猫を助ける仕組みやガジェットができたらいいな、と思います。犬や猫の殺処分ゼロを目指すといっても実際にはボランティアのがんばり、個人の努力に支えられているところも大きいので。あとは、SNSでは自宅の猫と似た模様のコがいると気になってお互いフォローしあっていることも多いですよね。マッチングというか、うまく交流を促しながら、やむをえない事情があって飼い猫を手放さなくてはいけなくなった際や、飼い猫が病気にかかってしまった際などに飼い主同士がお互いに助け合えるような仕組みがあってもいいと思います」と岸田さん。
確かに保護猫・保護犬たちを目にする機会も増えていますが、同じ動物好きつながりで連携し、何かもうひと押し、テクノロジーで解決できたらいいのにという思いは同感です。人だけでなく、ともに暮らす猫や犬、ほかの動物たちも幸せになれるような、そんな技術の進歩に期待したいと思います。
●取材協力この記事のライター
SUUMO
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『SUUMOジャーナル』は、魅力的な街、進化する住宅、多様化する暮らし方、生活の創意工夫、ほしい暮らしを手に入れた人々の話、それらを実現するためのノウハウ・お金の最新事情など。住まいと暮らしの“いま”と“これから= 未来にある普通のもの”の情報をぎっしり詰め込んで、皆さんにひとつでも多くの、選択肢をお伝えしたいと思っています。
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