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「毒親」「ネグレクト(育児放棄)」など、子ども時代に親との関係に問題があると、他者との関係の構築に苦労します。そうした人が家庭を持ったとき、義両親との関係はうまく行くのでしょうか?
複雑な家庭に育った女性が結婚した相手の家は「絵に描いたように幸せな家族」でした。彼女がたった3年で離婚した理由とは?
▶この記事の【前編】を読む▶真奈さんの結婚までの経緯と離職、憧れだった「家族団らん」のある義実家との交流とは?
【仕事と結婚 ♯3 後編】
やさしい人たちに囲まれた穏やかな毎日。何の不満もないはずなのに、ある日真奈さんは後頭部に大きな円形脱毛症ができたのに気づきます。結婚して2年が経っていました。
「はじめて、義両親と過ごすことが相当ストレスになっていると気づいたんです」でも、「彼の家族には本当に大切にしてもらったのに、不満に思ったら罰が当たる」と感じたという真奈さん。
ただ、客観的にみると、同居しているわけでもないのに、平日夜も週末も一緒に過ごすのはやや行き過ぎに感じます。「過干渉」といえなくはないでしょうか?
「そういわれればそうだったかもしれません。彼の家族はいつも仲良く過ごしていたし、理想的に見えました。わたし自身、『普通の家族』がどういうものか知らないので、『家族とはこういうものだ』と思い込んでしまったんですね」
どんなに仲のよい家族でも、常に一緒にいればケンカにもなります。むしろある程度距離を保っているからこそ、仲良くいられるのではないでしょうか。真奈さんの話によれば、夫が義両親に会うのは数カ月に一度でしたし、兄夫婦も週末の旅行には参加しませんでした。彼らはうまく距離を取っていたと考えられます。
どんなに仲良く見えても義理の関係ですから、気を使う場面はあるはずです。真奈さんはうまく距離を取れず、無理をしてストレスをため込んでしまったように見えます。
円形脱毛症になって数週間後、真奈さんの元の会社から、本社(東京)で新規事業をはじめるので働かないかと誘いが来ました。「まさに渡りに船というタイミングでした」と真奈さん。
「まずはゆっくり療養して円形脱毛症を治したほうがいいんじゃない」と夫は反対。この状況なら彼がそういうのも当然です。彼はストレスの原因が自分の両親にあるとは想像もしていないようで、もちろん真奈さんもとてもいえなかったといいます。
義両親との交流を断ち切ることができず、円形脱毛症はどんどん悪化していました。「これはもう生活をガラッと変えるしかない」と感じた真奈さんは、彼の反対を押し切って半ば強引に職場復帰に踏み切ります。
結婚以来はじめてフルメイクしてスーツにハイヒールで出社。それだけで気分が上がりました。久しぶりの現場、しかも東京の第一線での復帰です。
新商品のイベントのために奔走しながら、真奈さんは「自分の居場所はここだ」と強く実感。離れていたことで、この華やかで刺激的な場所こそが、自分が求めていた場所なのだと再確認できたのだそう。
結婚前以上に仕事にのめり込んだ真奈さん。義実家からは足が遠のき、多忙な夫とすれ違っていきます。今までのように家事に手が回らず、家の中は荒れてケンカが増えていきました。最終的にはお互いに埋めがたい価値観の違いを認め合って、離婚を決めたそうです。
真奈さんはその後も再婚はしていません。今では友人と立ち上げた会社の経営者として、「自分らしい」刺激のある毎日を満喫しています。
真奈さんいわく「穏やかな生活が自分には合わない。刺激的な生活をしたい」と認めることに時間がかかったといいます。
現在50代の真奈さんの学生時代はまだ、「女性は男性の人生をサポートするのが当然」でした。女性が「自分らしく」生きることが、今ほど許されなかった時代。
とくに地方では、まだまだ「女性は子どもを産んで育てるのが幸せ」とする価値観が根強く残っていました。女性は進学しても短大で充分、四大なんて出たら就職先がないといわれた世代です。会社ではお茶くみやコピーで男性を助け、家庭では専業主婦として夫を支えるのが女性の役割とされていたのです。
そうした価値観は真奈さんの中に残り続けていました。
「考えてみれば、母は当然のように兄ではなく私に家事を求めたんですよね。女の子が家事をして兄をサポートするのが当然、という価値観が、私自身にも幼少時から刷り込まれていました」
その反面「仕事がしたい」「日々刺激が欲しい」といった自分の感覚は母親譲りだとも感じるそうです。
今となっては信じられませんが、女性が飲み歩くと「ふしだら」だといわれることもありました。
「元夫の実家で一番苦痛だったのは、誰もお酒を飲まないことだったんです。私はお酒が大好きなのに、それをどうしてもいえませんでした。自分の中にも『女がひとりでお酒を飲むなんて』という思いがあったんですね」と真奈さん。
真奈さんは、自分がストレスをため込んだのは、義両親のせいだけではないと振り返ります。家族のあたたかさを知らない真奈さんにとって、「家族っていいものだな」と感じさせてくれたことには今も感謝しているそうです。
この記事のライター
OTONA SALONE|オトナサローネ
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