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人生のさまざまな節目で「お祝いごと」があります。おつきあいの上だけではなく、それは「ともに喜び、将来の幸せを祈るための行事」でもありますね。新しい時代にデジタルギフトを贈る方もいるでしょう。しかし、今回は正統的なご祝儀マナーを(一社)日本プロトコール&マナーズ協会松田玲子先生にお聞きしました。
【 気品を身につけるシンプルな教え#92ご祝儀のマナー編 】
贈答の起源は、自然崇拝の時代に遡ります。収穫物を神様にお供えし、感謝の気持ちを表したり豊作を祈ったこと等が、やがて人に対しても行われるようになったと考えられています。ご祝儀も目的に応じて、友好の気持ちや日ごろの感謝などを形に表すことでもあり、ビジネスなどでは成功のポイントになるとも考えられています。
一般的なお祝いには、幸せが繰り返すようにという意味で、「蝶結び」の水引を用います。

結婚祝いには、「結び切り」の水引を用います。大判で厚みがある袋や格調の高い豪華な袋もあります。包む金額に合わせた格のものを選びましょう。

弔事以外の贈答品には右の上部に熨斗(のし)を付けます。
この「のし」とは「のしアワビ」の略称です。アワビは古代では貴重な食料品であった為に、叩いて伸ばし乾燥させて保存食料とされていました。この “のしアワビ” を包み、「稲穂が長く伸びるように」と豊作を祈願したことが、「のし」の始まりであると考えられています。のしはその品物が穢れていない証となります。
ご祝儀袋に名目や名前を記載する際は、筆もしくは筆ペンを用いるのが一般的なマナーです。筆で文字を書くのが苦手な人は、サインペンやフェルトペンを用意しても良いでしょう。ただし、万年筆やボールペンなど、字の線が細くなるものは避けるのが適切です。
祝儀袋や贈答品の表に書く文字のことを「表書き」と言います。
表書きは、昔は目録を添えて贈り物をしていたものが簡略化されて上包みの表に書くようになったものです。つまり、目録の代わりなので、差し上げる理由や贈り物の中身と贈り主の名前を伝えることが目的です。
祝儀袋の上包みの中には無地の中袋が入っています。上包みには原則として、表書き以外は書きません。慶事の場合は、中袋の表面に金額を、裏面に氏名と住所を書きます。金額の数字は、旧字体で書きます。
旧字体の書き方はこちらです
◆1万円 ⇒壱萬円(壱萬圓)
◆2万円 ⇒弐萬円(弐萬圓)
◆3万円 ⇒参萬円(参萬圓)
◆5万円 ⇒五萬円または伍萬円
◆7万円 ⇒七萬円(七萬圓)
◆8万円 ⇒八萬円(八萬圓)
◆10万円 ⇒拾萬円(拾萬圓)
※「円」は「圓」と表記しても構いません。
本来の「ご祝儀」の目的は、「お金」や「品物」そのものというよりも、招かれた側の祝い慶ぶ気持ちや心使いを形にする作法ではないでしょうか、「心を贈ること」と言ってもよいかもしれません。そして主催者は、その気持ちに対して、お料理や引出物などで感謝やおもてなしの気持ちをこれもまた「形」にしてお返しをしていると考えます。
また、ご祝儀を決める際は、会場の格や結婚する方との関係性などを考慮し、世間で言われていることよりもご自分のお考えを優先してください。
無理なご祝儀をすることは、かえって相手に失礼ということもあります。
お金の入れ方にも決まりがあります。慶事は、紙幣にある肖像が書かれている面を中袋の表を向くように上部に入れます。
ですが、地域によって異なる場合もありますので、お相手の方の地域の慣習や宗派に合わせることが大切です。お祝いの時には新札を包むようにいたします。
結婚祝いには奇数を用いるのが一般的となっていますので、結婚祝いを贈る時の金額の目安になさるとよいでしょう。ただし、奇数でも「9」は「苦」を意味するとされるため避けたほうがよいでしょう。
また、割り切れる偶数は「分かれる」につながるため相応しくないとされていますが、最近では「2」はペアを意味することから食器などをペアで贈ることは特に問題はないとされています。
【前編】では、祝儀袋のマナーやタブーについてお伝えしました。
▶つづきの【後編】では、同時期に2つのお祝いごと重なったら両方に祝儀袋を用意するべき? 書留で祝儀袋を送るときのマナーは? いただいた場合はどのように御礼をすれば?__▶▶▶▶▶
この記事のライター
OTONA SALONE|オトナサローネ
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