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移住者の新幹線通勤に補助金、長野・佐久市がスタート。田舎暮らしや二拠点生活、リモートワークをサポート

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当記事はSUUMOジャーナルの提供記事です

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リモートワーカーの新幹線通勤代も補助!東京圏から佐久市へ誘う移住施策とは

好きな場所で過ごしたい。そう考え始めた時に仕事と通勤をどうするか?は大きな検討事項。
リモートワークが定着したいま、移住者の新幹線通勤代も補助してくれる施策に後押しされた家族の、新しい暮らし方を紹介する。

都市部で仕事を持つリモートワーカーの移住を支援。「新幹線通勤補助金」制度

以前から移住促進として二地域居住施策を進めてきた長野県佐久市。移住交流推進課移住推進係の係長・渡邉正人さんと担当・藤田将大さんによると「移住窓口では、関東圏でリモートワークをしている方からの相談が一定数あるんです。子育て中で支出がかさむ世帯も多く、移住により負担が増える新幹線代部分の支援をしたいという思いから、今年度、新設した制度です」とのこと。
身近に山を望む豊かな自然と、過ごしやすい気候に惹かれる移住者が多い佐久市。
「都市部で仕事をされていた場合は、新たに佐久市で就職しても、収入が減ってしまうこともあります。すぐに職探しをすること自体が移住へのハードルになっていることもあり、仕事を継続できるなら移住も、より現実的になります。ただ、時には通勤などが必要ですよね。佐久平駅から東京駅まで新幹線で約70分という当市の特長を活かせる補助だと思います」(渡邉さん・藤田さん)

「新幹線通勤補助金」は、2024年4月1日以降に佐久市に移住し、転入日において40歳未満の方が対象。佐久平駅発着の北陸新幹線を利用して東京圏(埼玉県、千葉県、東京都及び神奈川県)の職場へ行く被用者または会社役員や個人事業主であること、3年以上佐久市に定住する意思を持つこと、が主な条件。補助の対象経費は、1カ月当たりの通勤のために利用した乗車券等の購入費の総額から当該月の通勤手当の総額を控除した額で、かつ、対象経費の2分の1以内、1カ月当たり2万円が上限となる。24カ月連続の補助が可能だ。

「リモートワーカー等新幹線通勤補助金」2024年度の案内

「リモートワーカー等新幹線通勤補助金」2024年度の案内。
詳細はこちら。「今年度の申請や問い合わせの状況によって、次年度以降の募集については未定です」(渡邉さん・藤田さん)(画像提供/佐久市)

佐久市 リモート市役所

佐久市はリモート市役所を先駆けて立ち上げ、移住者に必要な情報を集約。移住検討者向けのオンラインサロンにビジネスチャットツール「Slack」を利用したのは自治体初だった(画像提供/佐久市)

佐久市移住交流推進課 移住推進係の渡邉さん(右)と藤田さん(左)。 「移住相談を受けていると、自然豊かであることと同時に、東京からの近さや、生活利便性などが佐久市のポテンシャルのひとつと感じることが多いんです」(撮影/池上香夜子)

佐久市移住交流推進課 移住推進係の渡邉さん(右)と藤田さん(左)。 「移住相談を受けていると、自然豊かであることと同時に、東京からの近さや、生活利便性などが佐久市のポテンシャルのひとつと感じることが多いんです」(撮影/池上香夜子)

■関連記事:
移住相談も課長募集もSlackで!? 長野県佐久市の「リモート市役所」が画期的と話題

会社経営の松本さんの移住は子どもの誕生がきっかけだった

2024年5月に神奈川県茅ヶ崎市から佐久市に移住した松本知佳子さんは、WEB・コンテンツマーケティングの支援を行う藤沢市の会社の代表取締役。移住を考え始めたのは、子どもが1歳を迎えたころだったそう。「仕事が面白くて、毎日忙しくても充実していました。でも、娘の成長を見守るにつれ、仕事中心の生活にせわしなさが募るようになって。子どもと夫と、3人が一番幸せに過ごすことを考えたときに、環境がよりいい場所に引越しをしたいと思うようになりました」(松本さん)。

2歳になる娘と夫妻(30代)で移住してきた松本知佳子さん。5月末の引越しで保育所利用が難しかったこともあり、移住してからは夫が育児と家事に専念中(画像提供/松本さん)

2歳になる娘と夫妻(30代)で移住してきた松本知佳子さん。5月末の引越しで保育所利用が難しかったこともあり、移住してからは夫が育児と家事に専念中(画像提供/松本さん)

移住は関東圏への行きやすさと夫妻の趣味を叶えられる長野県がターゲットに

松本さんの会社は、パソコン環境があればどこでもできる業務が主体。定期的な出社はないので他の役員やメンバーの住まいも日本全国に散らばっている。松本さん自身の居住地を関東圏から移したことで、むしろ、オンラインミーティングではフラットな一体感を感じるくらいなのだそう。

それでも、月に1回以上は打ち合わせなどで東京圏に出向かなければならない。
「仕事先に行きやすいこと、自然環境に恵まれていること、このふたつが最初の条件でした」(松本さん)

そのとき移住先候補に真っ先に上がったのが長野県だった。

「スノーボードなどウインタースポーツが夫婦共通の趣味ということもあって、長野県が大好き。以前からずっと通っていた場所です。移住先として検討し始めて、ワクワクした気持ちになりました。調べていくうちに、長野県の中でも移住初心者に厳しすぎない気候であること、そして、ほどよく田舎でほどよく便利、東京とのアクセスもいい長野市と佐久市が候補になりました。どちらも実際に訪問してみて、佐久市への移住を決定しました」(松本さん)

佐久市の冬はさほどの積雪がなく、年間の晴天率も高いのだそう。真夏の熱帯夜もない。

ほどよく田舎でほどよく便利な面としては、「日常生活に必要なお店がそろっています。生まれ育った東京圏に比べると遊ぶ場所は確かに少ないですが、子どもが生まれてからにぎやかなスポットに行きたい欲が減ってきましたし、仕事ついでに家族で東京圏に遊びに行けるので不満はありません。自分よりも自然大好きな夫も、移住計画には大賛成してくれました」(松本さん)
都市部で暮らし、アウトドアを楽しんできた松本さん一家にはちょうどいい立地が佐久市だった。

(画像提供/松本さん)

(画像提供/松本さん)

新幹線停車駅・佐久平駅すぐの場所にイオンモールがあり、日用品や食料の買い物に不自由はない(画像提供/松本さん)

新幹線停車駅・佐久平駅すぐの場所にイオンモールがあり、日用品や食料の買い物に不自由はない(画像提供/松本さん)

魅力的な商店も点在している。松本さんお気に入りの朝採れ野菜直売所(画像提供/松本さん)

魅力的な商店も点在している。松本さんお気に入りの朝採れ野菜直売所(画像提供/松本さん)

「月2万円は大きい。新幹線代の補助は移住を後押ししてくれました」

移住先を長野県に定めた松本さん夫妻は、各自治体の移住支援策の比較も重ねたそう。
「移住支援施策は自治体によってそれぞれですね。佐久市の『移住検討者滞在費補助金』は訪問してみたときの交通費や宿泊費を補助してくれるもので、しっかり使って家探しや自然環境の確認をしました。

リモートワーカー移住の支援面では、長野市に家賃補助、佐久市に新幹線通勤補助がありました。どちらも月に最大2万円補助してくれる制度で、移住を実行する後押しになりました。結果、長野市よりもほどよく田舎な佐久市を気に入り、タイミングよく家も見つかったので、移住することを決めました」(松本さん)

申請した新幹線通勤補助金も無事受理されて、今後2年間は毎月最大2万円の支援を受け取れる予定だ。
「生活費全体では、食費と住居費が下がっても光熱費と交通費が上がるからあまり変わらないかも。今までかからなかった新幹線代を負担してくれるのはとても大きいです。

一方で「『UIJターン就業・創業移住支援事業補助金』は調べていたのに申請できなくて衝撃でした。4月スタート後すぐに予算枠がなくなったみたいです。我が家は18歳未満を含めた3人なので200万円を申請可能だったんですよ。来年度も対象者だと思うので、再申請チャレンジするつもりです!」(松本さん)

取材は移住してから1カ月半経った頃。「もうしばらくは東京や湘南に行く機会が多いので、1時間ちょっとで東京駅に着くのはありがたいです。今後は減っていくかもしれませんね」(画像提供/松本さん)

取材は移住してから1カ月半経った頃。「もうしばらくは東京や湘南に行く機会が多いので、1時間ちょっとで東京駅に着くのはありがたいです。今後は減っていくかもしれませんね」(画像提供/松本さん)

新居は7DK。使いきれていない部屋はのちのち子ども部屋やワークスペースに

移住先の住まいは賃貸の中古一戸建て。佐久市の空き家バンクや不動産会社に依頼をして見つけ出した。「移住者が集まるリノベ済み団地も見ましたが、子どもが走り回れる庭が欲しいな、と思っていました。空き家バンク経由でタイミングよく紹介してもらった“昭和の広い一戸建て”を、ひと目で気に入りました。古いけど貸主が綺麗に住まわれていて、とても気持ちいい空間です」
以前より3倍近く広くなったのに家賃は下がった。「1階に二間続きの広い和室があって、ほぼそこで過ごしています。2階にも2部屋あるのですが子どもも小さいし、まだ使いきれていません」

住まいは十分広いが、仕事はコワーキングスペースでしているのだそう。「家のインターネットの開通がつい先日だったのもあって、今は契約しているワーキングスペースに車通勤しています。仕事とプライベートのメリハリがつけられるのでこれはこれでいいのですが、部屋の使い方もいろいろ妄想しています。1階の一部分をワークスペースにしてミーティングもできるようにすれば、家でも仕事に集中できそう。前の狭い家では難しかったですね」(松本さん)

庭付きの住宅

庭付きの住宅

以前の住まいは2DK。庭付きの住宅は始めてで「虫に怯えながら草むしりしました」と松本さん。「夜は旅館みたいな大広間で3人並んで寝ています。エアコン用のダクトがなくて戸惑いましたが、熱帯夜もないらしいのでなんとかなりそうかな」(松本さん)(画像提供/松本さん)

ゆったりした空間で仕事に集中できる「ワークテラス佐久」へは車で約10分(画像提供/松本さん)

ゆったりした空間で仕事に集中できる「ワークテラス佐久」へは車で約10分(画像提供/松本さん)

家族と笑顔で過ごす時間が増加。ご近所付き合いも良好スタート

「庭で娘が走り回っているのを見ると、移住して良かったとつくづく感じます」と松本さん。通勤するワーキングスペースも近いし渋滞もほとんどない。おしゃれな飲食店の数も湘南に比べると少ないが「外食しなくても家で食べるご飯がとっても美味しいんです」「何より、野菜が新鮮で種類が豊富。ご近所から野菜を分けていただくこともたびたびで、今まで住んでいた地域ではなかったことなのでびっくりしました」(松本さん)

「町内会には入りました。移住者も結構いる地域なので違和感なく受け入れてもらっています。生活情報を教えてもらえて助かっています。娘の進学先とかも相談できそう。何かのお役目が我が家にも回ってくるようですけど、持ちつ持たれつ。ご近所とも適度な距離感で暮らしていけそうです」(松本さん)

松本さんの父母が庭仕事のために滞在してくれたときの縁側ショット。「娘を真ん中にしてじいちゃんばあちゃんが笑顔でお茶しているこの光景がエモくてたまりません!」と松本さん。心から同意します!(画像提供/松本さん)

松本さんの父母が庭仕事のために滞在してくれたときの縁側ショット。「娘を真ん中にしてじいちゃんばあちゃんが笑顔でお茶しているこの光景がエモくてたまりません!」と松本さん。心から同意します!(画像提供/松本さん)

「夫が料理好きなんです。私は料理をしないので助かっています。毎日、新鮮野菜たっぷりな美味しい食事を出してくれています」(画像提供/松本さん)

「夫が料理好きなんです。私は料理をしないので助かっています。毎日、新鮮野菜たっぷりな美味しい食事を出してくれています」(画像提供/松本さん)

広い縁側と庭は、夏の水遊びも冬の雪遊びも思いのまま。「地区の祭りやイベントに参加するのも楽しみ。キャンプ用品もそろえたので地元キャンプにも挑戦します」(画像提供/松本さん)

広い縁側と庭は、夏の水遊びも冬の雪遊びも思いのまま。「地区の祭りやイベントに参加するのも楽しみ。キャンプ用品もそろえたので地元キャンプにも挑戦します」(画像提供/松本さん)

松本さんにこれからの住まい方について考えを聞いてみると、「ここの暮らしが落ち着いてきたら、中古の一戸建てを購入してリノベーションしたいとなんとなく考えています。市内には評判のいい小学校もあるらしく、子どもの教育環境も良さそう。佐久市を拠点に仕事と生活を両立するつもりです。

ただ、自分は引越しが好きなんです。夏を満喫できる南方面にもうひとつ居場所を持つ、というスタイルにも憧れています」

一度都市部を離れてみると、自由な暮らしがより身近になってくるのかもしれない。
そして、そんなふうに暮らしを楽しんでいる人のもとには、ゲストが集まってくる。「関東に住む友人や家族が遊びに来ることが前より増えそう」(松本さん)。今はまだ持て余し気味のスペースも、いずれ居心地のいいスペースに仕立てられていきそうだ。

●取材協力
佐久市役所
佐久市移住情報サイト
松本さんのインスタグラム @ega_naganolife

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この記事のライター

SUUMO

『SUUMOジャーナル』は、魅力的な街、進化する住宅、多様化する暮らし方、生活の創意工夫、ほしい暮らしを手に入れた人々の話、それらを実現するためのノウハウ・お金の最新事情など。住まいと暮らしの“いま”と“これから= 未来にある普通のもの”の情報をぎっしり詰め込んで、皆さんにひとつでも多くの、選択肢をお伝えしたいと思っています。

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