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SUUMOが『2023年住まいのトレンド予測』として、2023年4月に公表したキーワードが「平屋回帰」だった。その平屋について、MUJI HOUSEが「理想の平屋」アンケート調査を実施した。平屋のメリットや懸念点なども聞いているが、平屋でやってみたいことは、どうやら庭とつなげて開放的に暮らすことのようだ。
【今週の住活トピック】
無印良品の家「理想の平屋」アンケート調査を実施/MUJI HOUSE
MUJI HOUSEが実施した「理想の平屋」アンケート調査は、その対象が、無印良品の家メールニュース会員や公式SNSフォロワーなど約3300人が対象。無印良品の家に関心のある層への調査というのが前提だ。
まず「平屋に住んでみたいか?」の問いに対する回答を見ると、「非常に共感できる」(62%)「やや共感できる」(29%)を合わせると91%となり、平屋に共感している人がかなり多い。「もし戸建てを建てるなら、『平屋』か、『2階建て』『3階建て』か?」と聞くと、平屋派(「断然平屋」+「どちらかといえば平屋」)は66%になり、2階建て派(「断然2階建て」+「どちらかといえば2階建て」)の13%、3階建て派(「断然3階建て」+「どちらかといえば3階建て」)の2%を大きく引き離した。
ただし、「子育て中なら2階、年を取ってからなら平屋」や、「土地の広さや周りの環境を考慮して検討」といった、条件によっても変わるというコメントも見られた。
出典:無印良品の家「理想の平屋」アンケート調査
平屋のよいところは「階段がない」「老後に安心」「バリアフリー」では、なぜ平屋を好むのだろうか?
「平屋のよいところだと感じる部分はどこか?」の問いに対する回答を見ると、多い順に「階段がない」(69%)、「老後に安心」(67%)、「バリアフリーなところ」(61%)、「家事効率がよさそう」(55%)となった。
出典:無印良品の家「理想の平屋」アンケート調査
この結果を見ると、「ワンフロアで階段の上り下りがない」ことで、「生活動線が短くなり家事効率がよくなる」、「バリアフリーで安心」といった点が評価されたことになるが、これはマンションのメリットとして挙げられるポイントでもある。つまり、マンション感覚で住める戸建てと見ている人が多いということだろうか。
平屋でやってみたいことは「リビングと庭とつなげて使いたい」一方、「平屋を建てることになったらやってみたいこと、取り入れたいこと」という問いには、戸建てらしい回答が並んだ。「ウッドデッキ」(45%)、「リビングと庭をつなげて使いたい」(38%)など、庭とつなげて開放的に暮らしたいという意向が見て取れる。
ほかにも、「広い土間」や「ビルトインガレージ」など、外部と出入口をつなげた空間を取り入れるなど、マンションではつくりづらい、戸建てらしいプランを平屋に求めていることがうかがえる。
出典:無印良品の家「理想の平屋」アンケート調査
平屋の懸念点は「広い土地が必要」「防犯面」「浸水リスク」では、平屋について気になる点はあるのだろうか?
「平屋の懸念点と感じる部分はどこか」という問いには、多い順に「広い土地が必要」(67%)、「防犯面が心配」(50%)、「豪雨や河川の氾濫による、床下浸水や床上浸水のリスク」(50%)となった。
出典:無印良品の家「理想の平屋」アンケート調査
たしかに、2階建てと同じ延べ床面積を平屋で確保しようとすると、より広い土地が必要となる。ただし、最近の平屋人気は、コンパクトな平屋が注目を集めた結果だ。MUJI HOUSEの分析でも「50代の夫婦2人暮らしに多く支持されている」という。2人暮らしに十分な広さのコンパクトな平屋であれば、土地の広さや高い建築費用への懸念も軽減されるだろう。
浸水リスクについては、「安全な場所に避難が難しい場合は、2階などに垂直避難する」という認識が広がっていることもあるのだろう。とはいえ、浸水するときは2階建てでも浸水する。むしろハザードマップや過去の浸水被害などを調べて、浸水リスクの低い場所を選ぶことの方が重要だろう。
防犯リスクも同様だ。不審者が隠れる場所をできるだけ作らないなどの設計上の工夫や、必ず戸締まりをするなどの防犯意識を高めることのほうが重要だ。
平屋回帰はどうなった?イマドキの平屋の傾向をSUUMO副編集長に聞いてみた『2023年住まいのトレンド予測』のキーワードは「平屋回帰」だった(「2023年住まいのトレンドワードは「平屋回帰」!流行は”コンパクト”で”高コスパ”な平屋暮らし」を参照)。2024年の今、回帰は進んでいるのだろうか? トレンドワードを発表したSUUMO副編集長の笠松美香さんに聞いてみた。
笠松さんによると「平屋の人気はますます高まっている」という。たとえば、国土交通省の「建築着工統計調査」の結果から、居住専用住宅の木造建築物全体のうち地上階数1階建ての割合を「木造住宅の平屋率」としたデータを挙げた。全国の平屋率は年々増加傾向にあり、2023年では前年より1.5%※と伸び率が大きくなった。
※平屋率は四捨五入で算出しているため、実際には1.53%となり、1.6%にならない。
居住専用の木造建築物の平屋率国土交通省が発表している建築着工統計より、居住専用住宅の木造建築物全体のうち地上階数1階建ての割合をSUUMO編集部にて集計
その背景として、実家を相続する子ども世代の高齢化を指摘する。子どもの数だけ部屋を用意した、部屋数の多い親世代の実家は、夫婦だけの世帯や一人暮らし世帯にとっては持て余すことになる。そのためコンパクトな平屋に建て替えたり改修したりする事例が増えていくと、笠松さんは見ている。
また、若い世代を取材すると、新築住宅の耐用年数が長期化するなか、子育て期間より夫婦だけの期間を重視して、敢えて大きな家にしない選択をした事例も見られるようになったという。モノを所有から利用する時代になり、「隅々まで目が行き届き、普段の掃除や維持管理のしやすいコンパクトな家のニーズが高まっていると考えている」と、笠松さんはコメントした。
少子・高齢化や共働き増加などの社会変化は、戸建てに住む家族の構成や暮らし方、価値観などにも変化をもたらした。部屋数の多い戸建てで子育てといった従来の考え方にこだわらず、自分たちの暮らしたいことが実現するのはどんな家か、多くの選択肢から選ぶ時代になったのだろう。平屋のメリット・デメリットを冷静に把握したうえで、希望の暮らしが実現するか検討するようにしてほしい。
●関連サイト
無印良品の家「理想の平屋」アンケート調査を実施
この記事のライター
SUUMO
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『SUUMOジャーナル』は、魅力的な街、進化する住宅、多様化する暮らし方、生活の創意工夫、ほしい暮らしを手に入れた人々の話、それらを実現するためのノウハウ・お金の最新事情など。住まいと暮らしの“いま”と“これから= 未来にある普通のもの”の情報をぎっしり詰め込んで、皆さんにひとつでも多くの、選択肢をお伝えしたいと思っています。
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