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さんきゅう倉田です。
芸人を続けながら35歳から東京大学に通っています。
今学んでいるのは、ミクロ経済学、マクロ経済学、ファイナンス、インベストメント、計量経済学、統計学、フランス語、英語、心理学、マーケットデザインで、書籍から得られない養分をキャンパスで得ています。
先日、大阪大学出身の官僚と会った。
少し話をしてから、官僚はぼくに研究について聞いてきた。
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▶「学部生なのか院生なのか」にこだわる官僚
「どんな研究をしているんですか」
ぼくは、学部なので研究はまだしていませんと答えたが、納得がいっていない顔をしている。
「研究はしないんですか」
経済学部は4年のときに論文を書きますが、ちゃんとした研究は大学院に入ってからなんです。そう答えた。
「え?学部生なんですか」
どうやら大学院生だと思っていたらしい。さっきお姉さんが「東大の3年生なのよ」としっかり伝えていたが、認知していなかったようだ。
聞き間違いや聞き逃しではなく、認知的不協和があるのだと感じた。
大学の良し悪しは入試の難易度で決まらないが、大阪大学と東京大学では難しさにかなりの差がある。
彼は大阪大学出身であるから、東京大学の難しさをよく知っていて、芸人をしているおじさんが東大に合格したという事実がにわかには信じられなかったのだろう。
だから、聞き間違いや発話者の事実誤認として処理し、院生だとすり替えるに至った。
▶東大生にそれを聞くのは失礼です!
彼は「え?普通に一般入試で東大に受かったんですか」と認知のずれによって発生した不快感を解消すべく質問を続けていた。
これは難関大出身者によくある行動である。2年半以上東大生をやっていると筆者にとっては、よくある出来事だ。
芸人や学歴に全く興味がない人、同じ東大生だとこのような質問は降りかかってこない。ある程度学歴のある人だけが聞く質問なのだ。
「大学院じゃなくて、学部ですよね?」
人によっては、繰り返し確認してくることがある。赤の他人なのだし、同じ大学でもないんだから、大学院生でも学部生でもどっちでもいいではないかと思うのだが、みな正確に把握したいらしい。
ぼくはいつも彼らの気が済むまで質問に答える。
彼らは出会ったばかりの人間が「東大の大学院卒です」と言ったら、「学部も東大ですか?」と聞くタイプかもしれない。
非常に下品である。学歴厨まる出しだ。
どうしても確認したいときは、「何の研究してたんですか」と研究を聞いてから、「じゃあ学部は工学部の◯◯学科ですか」などと絞り込むといい。
その回答で東大かそうでないかは分かる。
ただ、東大OB・OGでないなら、目の前の相手が東大大学院生で学歴ロンダリングをしようがしまいが別にいいではないかとは思う。
※東大大学院生の学歴ロンダリングについてはこちらをご参照ください。「それって実は『東大卒』ではなくない!?プロフィールに書いて『学歴ロンダリング』と揶揄されてしまうNGケースとは」(記事はコチラ)
▶東大大学院のリアル。本当にイージーなの?
学部と比較して平均的な入試難度は低いかもしれない。特に文系では東大の学部から大学院に進学する学生はごく一部であるから、入試倍率が低い。
そもそも法学部や経済学部と異なり、東大であっても人文系の授業の先生の選手層はかなり薄く、授業のレベルも低い(駒場で授業を受けた筆者個人の見解です)。
東大出身ではないが人文系で東大の准教授になった先生がいて、授業1回分を使って映画を流したり、授業中に誰にも迷惑をかけていないブランド物のバッグが好きな人を揶揄したり、適当に喋って虚偽を繰り返したりしていた。
この授業のあと「人文系は研究者が少ないんだな」と学生同士で話したことを覚えている。
先日、中国出身の東大院生かつ芸人がXで「留学生の方が大学院の入試は難しい」と発言して、ファンからの支持を得ていたが、言語の壁があることを無視すれば、全くそんなことはないのでここで訂正しておきたい。
基本的に留学生向け試験の入試難度は著しく低く、大学院であってもそれは変わらないはずだ。
東大大学院に対しての正確な情報が人口に膾炙(かいしゃ)することを願っている。
■編集部より
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