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「ある日モ〇ムリから電話がかかってきた」50人規模の事業所。対応が終わってから気づいた「それどころではない半端ない損害」

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「お恥ずかしいので内緒にしていただきたいのですが……ついに、ウチにもきちゃったんですよ、あれが。モ〇ムリ」。

 

ランチの席でこう話し始めたのは、製造業を営む56歳の女性、Yさん。ご両親と一緒に経営している会社は約50名の従業員を雇用しています。うち40名が女性で、全員をパートタイムではなく社員として雇用している点が特徴です。

 

昨今話題になることも増えた退職代行業者。SNSなどで目にするのは、たとえばブラック職場のパワハラから逃げるためにこうした業者を「使った側」の方々のエピソードがほとんどで、「使われた側」の話はさほど目にしません。ある日突然連絡を受けるといったい何が起きるのか、Yさんの体験を伺いました。(本記事はプライバシーの観点から一部の話を変えて記述しています)

 

ある日突然電話がかかってきた。一方的に話して質問には答えない、交渉権がないから

退職代行業者の多くは2万円台で「退職通告の代行」を請け負います。いわゆる「非弁行為」に該当する「交渉」を行っているのではと指摘されますが、Yさんが対応した「モ〇ムリ」は「通告だけを行っている」と主張しているようです。また、これら代行業者の中には弁護士法人が運営する、交渉の権利を有する事業者もありますから、一概にすべてが問題とも言えません。

 

「ウチの場合、入社2年目の21歳の女性から、8月にモ〇ムリでの退職連絡を受けました。すでにお盆のシフトを組んだあとだったので社内はかなり混乱しましたが、それより何より、ショックがすごかった。『なんで彼女は直接私たちに辞めたいと言えなかったのだろう……』。この半年、ふとそう思い出しては気分が落ち込み、悩み続けています」

 

まずは経緯を簡単に。8月上旬のある朝、「退職代行のモ〇ムリです」と名乗る女性からYさんの事業所に電話が着信しました。「〇〇さんの上長とお話がしたいのですが」と言われたため、経営陣であるYさんが電話を代わり、社長室でスピーカースイッチを押して、Yさんのお父様を含む複数名で話を聞きながら対応をスタートしました。すると女性は淡々と以下のことを告げました。

 

・〇〇さんは今日から出勤しません。これから有給休暇を消化します。

・引継ぎは行いません。

・彼女に連絡を取ってはなりません。親に連絡を取ることも禁止します。

・会社に残った私物を自宅まで宅急便で送ってください。

・給与は予定日時に振り込んでください。

 

「引継ぎをしなくてもいい」新人だったのは不幸中の幸いだとはいえ

「恐らくいちばん問題になるのは2つ目の『引継ぎは行いません』だと思いますが、入社2年目でまだ引き継ぐことが少なかったのは不幸中の幸いでした。ですが、彼女は真面目で仕事も丁寧、期待の若手でした。なぜこんな急に、昨日も出勤していたのにと、本当に動転してしまって頭は真っ白になりました。どうして、なんでという思いでいっぱいの中、やっと口から出た言葉は『どうしてですか?』。すると、女性は『怖い先輩がいるからだそうです』とだけ答えました」

 

確かに「ほら、髪を結んで!」などと注意する女性の先輩もいるものの、事故を防ぐためにはこうした身だしなみの指導や作業時の緊張感維持は重要です。安全のためには一概にハラスメントと言えるものでもないのです、とYさん。

 

「ブラックになりがちな業態だという自覚があるため、私をはじめ経営陣はかなり真剣に対策を心がけてきました。約50人の社員全員と年に1回は評価面談も行い、できる限り意見を言いやすい、業務改善しやすい環境を作ろうと心をくだいてコミュニケーションをとってきたつもりでした」

 

でも、きっとそれは私の独りよがりだった、私が知らないところでハラスメントがあったのかもしれませんし、もしかしてコミュニケーションを取ろうとすること自体も相手によっては強要と取られるのかもしれない。とにかくこういう電話は突然くるんですね、そうため息をつきます。

 

「このオペレーターさんもきっと、ひたすらこういう伝言をしては罵声を浴びる役割のパートさんなのだろうな。そう思えたので、電話を一緒に聞いていた人たちに『怒っても意味がないと思う』と伝え、電話を切りました」

 

弁護士の意見は「交渉権はないが、だからといって直接連絡すればパワハラになりかねない」

電話を切ったあと、Yさんのお父様は激怒しました。退職した女性にではなく、モ〇ムリに対してです。「交渉権も持たない、伝言しかできない立場で、何の権利を持ってこうした交渉ごとをしてくるのか。こんな業態があること自体が問題だ」。こうした代理交渉は限られた人だけが行えることを知っていたのです。労働組合が委任した組合員、その外部の支援者(弁護士以外も可)、また特定の範囲で特定社会保険労務士も可能です。

 

とはいえ、あとで弁護士に相談してみると、「確かに退職代行業者には何の権利もない。交渉権もないから通告だけしている体裁をとっているが、実際は交渉に類することを行う大変に問題のある業態だ。だからといって、こう通告された以上は、辞めた人に直接連絡をとるとパワハラだと訴えられる可能性がある。言われた通り連絡はしないでください」と言われたそう。

 

「その後、会社あてに退職届が郵送されてきました。そこには退職意思の表明だけでなく『有給休暇の消化を認めない場合は、労働基準監督署へ相談する』という一文も添えられていました」

 

はっきりと法的手段に言及した、いわば喧嘩腰の内容です。

 

「私の感覚では、こんな最後通牒のような一文、こじれにこじれた喧嘩の最後に書く内容だなって思います。ですが彼女は前日まで出社して何事もなく仕事をしているように見えました。休みがちだったわけでもなく、面談時にも特になにも表情は曇らず、また周囲の同僚たちからも何の異変も聞いていません。そんな彼女がいきなりここまで喧嘩腰だなんて、どれだけ怒りを溜めていたの? また悲しくなりました」

 

私たちにどのような至らないところがあったのか。でも、それを指摘してもらうこともできなかった、そうYさんは肩を落とします。

 

「この一文も代行業者からの指示の一部に過ぎないのかもしれません。そうだったにせよ、なかったにせよ、代行業者の行為には大きな疑問が残ります。私どもにも就業規則があります。法的には退職の意思を示してから14日で退職できることはもちろん承知していますが、弊社の規則上は3カ月前通告です」

 

これは顧客の利便を考えたうえでのお願い事であり、入社時に説明し同意も受けているのだそうです。

 

「こうした経緯を無視して通告を行い、『連絡するな』と禁止を告げたうえで、引継ぎ等も行わないという一方的な譲歩を引き出したわけですから、やっぱり交渉行為ですよね。返事は聞かないでガチャンと切った、伝えただけだから通告のみだと言うなら、『〇〇さんは退職します』以外のことは口にしてはいけなかったのではないかと思うんです」

 

つづき>>>退職はそれでもつつがなく終わったが、社内に残ってしまった「言いようのない傷」の正体とはいったい…?


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この記事のライター

OTONA SALONE|オトナサローネ

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