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佐久間さん(38歳・仮名)は営業職として多忙な日々を送りながら、長く”性の不安”を抱えてきました。そのせいで、ついに妻との関係にもひびが入ってしまいました。
友人にも言えない。パートナーにも言えない。病院に行く勇気も出ない。夜中にスマホで検索しては、怪しいサプリの広告や不安を煽る記事に振り回される——そんな孤独な戦いを続けています。
※本記事は一般的な情報提供であり、診断や治療の代替ではありません。強い苦痛や症状が続く場合は医療機関等へ相談してください。※本人が特定されないよう設定を変えてあります
※写真はイメージです
——あの夜の後、奥さんにはちゃんと話せましたか?
はい。記事を読んでしばらくした後、意を決して話しました。最近、仕事の疲れがずっと溜まってて、うまくいかないことがある。あなたが魅力的じゃないとか、そういうことじゃない。自分の問題なんだ。ちゃんと向き合おうと思ってるって。
——素晴らしいですね。原因を相手の魅力に結びつけず、改善の意志を伝える。まさに記事で書いたことを実践してくれました。
記事に書いてあった内容を参考にしました。自分の言葉だけだと、うまく言えなかったと思います。妻は、最初は黙って聞いていました。でも話し終わった後、「……そうだったんだ。私、ずっと自分のせいだと思ってた。あなたから言ってくれて、ありがとう」って言ってくれて。
——沈黙は、相手に“別の解釈“を渡してしまいますからね。「私に魅力がなくなったのかな」とか「浮気してるんじゃ」とか。言葉にすることで、二人で同じ方向を向きやすくなります。
あの夜から、妻との空気が全然変わりました。まだ完全に解決したわけじゃないですけど、「一緒に向き合っていこう」という感じになれて。
——医療機関への相談は考えましたか?
正直、「病院に行くほどじゃない」と思っていました。そこまで深刻じゃないだろう、と。
——その感覚、すごく多いです。でも実は、「病院に行くほどじゃない」と我慢している間に、自己評価だけが下がっていくのが一番つらいパターンなんです。性機能の悩みは、生活改善で整うことも多いです。でも、医療の助けが有効なケースも確実にあります。ホルモンバランス、循環器系の問題、服用している薬の副作用、メンタル不調など、背景に別の要因があることもありますから。
行くの、怖かったんです。なんか、「お前は男として終わり」って宣告される気がして。
——その気持ちはわかります。でも、医療機関は「診断を下す場所」というより「選択肢を増やす場所」なんです。泌尿器科、メンズヘルス外来、心療内科・精神科、カップルカウンセリングなど、入口はいくつもあります。まずは「相談」と思えばいいんです。
まだ行けてないんですが、記事を読んで「行ってもいいんだ」とは思えるようになりました。今度、妻と一緒に相談に行こうかと話しています。
>>性は、成績表じゃない!
——最後に、同じ悩みを抱えている人に向けて、何か伝えたいことはありますか?
「黙ってるほど苦しくなる」ってことです。自分は記事を読んで、妻に話して、ようやく楽になれた。小さくてもいいから、誰かに話してほしい。一人で抱えていた時間が、今思うと一番つらかったので。あと、「離婚」の話をされたあの夜、僕は「終わった」と思いました。でも、終わってなかった。言葉を見つけて、伝えることで、関係は立て直せる。それを知ってほしいです。
——本日はありがとうございました。
取材を終え、佐久間さんを見送った後、私はしばらくその場に立っていました。性の悩みは、暗闘です。誰にも見せられない場所で、たった一人、自分を責め続ける。その孤独の重さを、私はこれまで何度も聞いてきました。
けれど佐久間さんは、声を発してくれました。話すことは、弱さではありません。それは、自分を取り戻すための最初の動作なのだと、私は信じています。たとえ、うまくいかない日があっても、あなたの尊厳は傷つかないし、関係を立て直す手段は必ずあります。悩みを”言語化”できた時点で、もう回復は始まっているんです。
もし今、一人で抱えている方がいたら、この記事が「最初の一歩」になれば嬉しいです。
この記事のライター
OTONA SALONE|オトナサローネ
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