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「食器洗い乾燥機」(以下、食洗機)の所有率は、日本では3割弱とまだまだ一般的とはいいがたい。筆者宅では大活躍&手放せない家電のひとつなのだが、「持っているけど使っていない」「期待はずれ」なんて意見を耳にすることも。では、実際に使っている人の利用実態や不満点はどのようなものなのか、アンケート結果と所有率が9割を超えている海外の食洗機事情をあわせてチェックしてみよう。
食洗機所有率は3割弱、だが1日1回以上使う人が6割も
昨今の新築マンションや新築一戸建てでは設置されることが多くなった食洗機だが、実際のところ、日本の普及率はどのくらいなのだろうか。マイボイスコム(株)の2014年の調査によると、食洗機の普及率は日本では28.3%と3割弱で、「どこの家庭にもある」とは言いがたい状況だ。だが、第1回調査(2004年)では2割程度だったことを考えると、10年で着実に普及してきたといえる。では、食洗機を使用している人の利用頻度はどのくらいなのだろうか。
食洗機の利用頻度は、1日1回ないし2回が多数派という結果になり、3回を含めると、所有者の6割はほぼ毎日、使用している結果に。ちなみに筆者も毎日最低1~2回は利用している。手のかかる子どもがいる夫婦共働き家庭なので、家事をどう減らすかは死活問題。そのため、今は食洗機ナシの生活は考えられない。といっても、まわすのは深夜帰宅の夫なのだが。
食洗機所有者も大半は満足していて、食洗機を利用したい理由として「キレイに洗えるし、時間の節約になる」「水道代の節約になり、手あれも防げる」「自分の時間がつくれる」「掃除機や洗濯機以上に、ナシの生活は考えられない」というコメントも。一方で気になるデータもある。
というのも、「今後も食洗機を使用したいか?」(2009年 マイボイスコム(株)調べ)との質問には「ぜひ利用したい」「やや使いたい」というのが45%にとどまっているのだ。ということは、現在の食洗機所有者の約半数はなんらかの不満を抱えていて、今後はなくてもいいと考えているようなのだ。
今後も利用したい人は、約半数以下。ではその理由は?この不満の理由を探っていくと、食洗機の不満点として「変わったかたちの食器、大きな食器がいれにくい」(52.5%)、「洗えない素材のものがある」(34.8%)、「一度にたくさんの食器を洗えない」(32.7%)、「少量洗うのはかえって効率が悪い」(30.4%)といった点が上位に。このあたり、日本では漆器や椀物など、多様な食器があること、また家族の構成人数が減っていることと関係があるのかもしれない。
また、食洗機を設置しない理由についての理由を探ってみると(同じく2009年マイボイスコム(株)調べ)、「設置場所に困る」(65.8%)、「導入にコストがかかる」(51.0%)が2大理由に。日本のキッチンは新築分譲住宅でも、おおよそ3畳程度。広さに余裕がないこと、また導入コストはビルトインタイプで20万円台~と考えると、「食洗機は欲しかったけど、あきらめた」と判断されているのかもしれない。
食洗機普及率が9割以上の海外。日本製とどんな違いがある?一方で、欧米では食洗機の普及率は90%以上で、家電メーカー各社の競争も激しくなっているという。このあたりの事情を、海外の食洗機事情に詳しい、ツナシマ商事の代表取締役社長の嶋岳人さんに聞いてみた。
「欧米では食洗機が普及して、食器洗いを手洗いすることはなくなりました。洗濯機が普及して、洗濯板で洗う人がいなくなったのと同じです」と衝撃のコメントが。背景には、何よりも家事を効率的に行いたいというニーズ、さらに水やエネルギーへのエコ意識の高さ、キッチンの広さがあるようだ。
「そもそも、日本製と比較しても食洗機のサイズが大きいので、4人家族の3食分の食器、つまり12人分を一度に洗えます。洗浄力も強力なので、食後にそのまま食洗機に入れるだけ、1日1回まわせばOKなんです」。つまり、食洗機のサイズと、洗浄性能を向上させて、「とにかく食器洗いは食洗機にまかせる!」を徹底追求したかっこうだ。現在の食洗機の一度に洗える量の少なさや、食器の入れにくさに不満がある人は、一度、海外製を検討してもいいのかもしれない。ただ。日本国内メーカーと比較した場合、「大きい、価格は高め、乾燥性能がやや落ちる」点には注意してほしい。
食洗機、筆者はもちろんだが、編集部でも使用者の満足度は高い。コツは、汚れのひどいものは食洗機に入れる前につけこむ、または汚れの落ちやすい配置をするなど、「どうやったら食洗機さんが洗いやすいか」を考える点にあると思う。
嶋さんは「食洗機は、家族に時間のゆとりをもたらしますし、節水節電をすることで、お金を生み出すことのできる唯一の家電」といっていたが、筆者も同感である。イニシャルコストはかかっても、ランニングコスト(水道代や電気代、手洗いした場合の時給など)と比較すると安いため、数年で回収できるように思う。ましてや、貴重な「家族の時間」をつくることができるのだ。きっと家族の強力な味方になってくれるように思う。
●参考この記事のライター
SUUMO
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『SUUMOジャーナル』は、魅力的な街、進化する住宅、多様化する暮らし方、生活の創意工夫、ほしい暮らしを手に入れた人々の話、それらを実現するためのノウハウ・お金の最新事情など。住まいと暮らしの“いま”と“これから= 未来にある普通のもの”の情報をぎっしり詰め込んで、皆さんにひとつでも多くの、選択肢をお伝えしたいと思っています。
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