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「同性カップル」の住宅購入には、さまざまなハードルがある。前編では住宅ローンの組み方から将来の相続まで、特に気になるポイントと対処法を紹介したが、後編では、住まいを購入した同性カップル2組に、購入時のエピソードと購入後の暮らしぶりをインタビュー。ご近所付き合いの仕方なども語っていただいた。
ケース1:「1人がローンを組んで2人で返済。賃貸よりも心に余裕が生まれました」
●プロフィール
I さん(40代)・Nさん(40代)
広さ:64m2 間取り:1LDK
I さんとNさんが暮らすのは、都心のタワーマンションの高層階。メゾネットタイプで2階分の高さのある窓から降り注ぐ日差しが、まるで屋外のような気持ち良さだ。この住まいは、Iさんが住宅ローンを組んで購入し、住宅ローン返済額の半額をNさんがIさんに毎月払っている。
「以前住んでいた賃貸マンションは、単身者用のため狭かったので、もう少し広めの物件をと考えたのですが、このエリアだと家賃が高くて」(I さん)
それなら買ったほうが良いのではないかと、購入することにしたそう。
あいさつ程度の距離感で違和感なくご近所付き合い「都心のタワーマンションということもあり、お互いに干渉し合わないコミュニティ。同じフロアで顔見知りになった居住者と、会えばあいさつする程度の近所付き合いですが、お互いに違和感なく接しています」(Iさん)
ここでの暮らしはかれこれ10年になるが、購入して正解だったと言う。
「賃貸が借りにくいからと、別居しているカップルが多いと思いますが、思い切って購入して一緒に暮らすと楽しいし、気持ちにゆとりも生まれました。リノベーションなどにも興味があるので、そろそろ住み替える予定です」(Iさん)
ケース2:「私たちの関係を証明するものは何もない。でも“家”が2人の絆の証しになりました」●プロフィール
Tさん(30代)・Wさん(40代)
広さ:70m2台 間取り:3LDK
TさんとWさんは同居歴8年。賃貸を借りるときは、不動産仲介会社に「友人とルームシェアをする」と言っていたが、それでも、大家の意向で断られることがあった。家賃は2人で折半していたが、払い続けるのがもったいないと、購入を検討。
「ただ、少なくとも年収500万円くらいは必要だというイメージがあって。ペアローンが組めないこともあり、購入のハードルは高いと思っていました」(Wさん)
無料で住宅購入の相談ができると知って、2人でSUUMOカウンターに行くと、資金計画の立て方や見学物件について、じっくりと相談することができた。最後に、同性カップルであることを相談員に明かしたときも、「それなら」と、モデルルーム見学の際にその都度事情を説明しなくても済むよう事前に調整。見学の際、各モデルルームの担当者には既に話が通っており、事情を汲んだ上で対応してもらえた。
住宅ローンは、35年返済が組めるようにと、年下のTさんが契約した。ローン審査の際、同居人欄にWさんの名前を書いたときも、銀行から特に何も言われることはなかった。
入居後、2人で近所にあいさつに行く際は、菓子折りののし紙に2人の名字を連名で記した。一瞬、怪訝な表情をされたときは、「ルームシェアです」と言って関係をはぐらかすこともあったという。
万が一のときにはパートナーに財産を残したい現在、このマンションはTさん1人の名義となっている。
「親が健在なうちは、パートナーは友人ということにしておくつもり。身内が兄だけになったら関係を打ち明けて、マンションがパートナーに残るようにと考えています」(Tさん)
戸籍上のつながりはないが、2人の絆は、共に暮らすこの家が証明してくれているというTさんとWさん。家を購入したことで、住まいに対してこれまでにない愛着が湧いたという。今後も、この家を2人で大切に“育んで”いくそうだ。
取材・文/日笠由紀
※この記事はSUUMO新築マンション首都圏版7月11日号からの提供記事です
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SUUMO
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『SUUMOジャーナル』は、魅力的な街、進化する住宅、多様化する暮らし方、生活の創意工夫、ほしい暮らしを手に入れた人々の話、それらを実現するためのノウハウ・お金の最新事情など。住まいと暮らしの“いま”と“これから= 未来にある普通のもの”の情報をぎっしり詰め込んで、皆さんにひとつでも多くの、選択肢をお伝えしたいと思っています。
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