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愛知県蒲郡市は、三河湾を望む複合型リゾート施設「ラグーナテンボス」があることで知られる。そこから徒歩20分程の場所に2017年4月、斬新な住宅展示場「SHARES ラグーナ蒲郡」がオープンした。コンセプトは「泊まれる住宅展示場」。どうして泊まっていいの? 食事や布団の用意は? 湧いてくる疑問をぶつけてきた。
海風を感じながらバーベキューが楽しめる住宅展示場
東海エリアを中心とした11社による、オシャレな14棟の住宅と4棟の小屋を擁する「SHARES ラグーナ蒲郡」。14棟はすべてが平屋で30坪以内、1500万円前後という価格だ(購入時保証費込み)。通常の住宅展示場と同じように、ここで建物を選んで好きな場所に建てることができる。建物の価格が決まっていることが大きな特徴で、各社の営業担当者は常駐せず、「SHARES ラグーナ蒲郡」運営会社の専門スタッフが住宅やメーカーを公平な視点で紹介する。
宿泊は有料で、1棟貸し切りで一泊2名3万4000円~(5名まで宿泊可、1人増えるごとに3000円の寝具代が必要)。やや高めの料金設定にも感じられるが「週末は宿泊予約で約8割が埋まっています。夏季なので混み合ってきました」と、「SHARES ラグーナ蒲郡」の運営会社である株式会社住宅アカデメイアの鴨下義和さん。
各建物の中にはベッドや布団はもちろん、調理器具や食器なども揃う。「ラグーナテンボス」に併設のショップ「フェスティバルマーケット」で食材を調達して、海辺のバーベキューを楽しむ家族も多いという。
朝から晩まで稼働する働き者のモデルハウス展示場なのに泊まっていいのはなぜか。それはズバリ「使っていない時間の、モデルハウスの有効活用です」と鴨下さん。「私たちは元々住宅会社のコンサルティングをしています。住宅展示場の運営には固定費や人件費がかかるため、顧客である住宅会社さんの負担が大きい。そこで見学できる建物を日替わりにし、11時から17時までは住宅展示場、17時からはホテルとしてモデルハウスが稼働するスタイルを考案し、運営しています」。
このスタイルであれば、宿泊費用により展示場の運営費の一部を賄えるし、自社の営業担当者が駐在しなくても運営会社の専門スタッフが住宅の魅力を伝えることができるなど、出展する住宅会社にもメリットが大きい。宿泊者にとっては、好立地にある個性的な1棟をホテルとして楽しむことができる。
展示場内は、14棟の住宅と4棟の小屋を「ガーデンエリア」「オーシャンエリア」「アウトドアエリア」「キャンピングエリア」に分けて配置。それぞれが、多様なライフスタイルの住人を想定したコンセプトハウスになっている。個々の時間を尊重したいならステップフロアのある「one-HAPPY」。自然のエネルギーを取り入れた生活に興味があるなら「VOLKS-nR」や「OM-WORKS」。よりミニマルに暮らしたいなら「casa cago」。アウトドア派には玄関を入ってすぐに浴室があり、屋上も付いた「OFFTIME」……。どれも魅力的で、泊まりたくなる!
泊まりだから、隅々まで一晩中チェックできる!「ここではどの建物も、価格や大きさ、性能、保証などがほぼ同条件。だから建物重視ではなく“本当にやりたいことや住みたい場所は”とライフスタイル重視で選ぶことができます」と鴨下さん。購入検討者の中には、子どもが独立して現在の住まいに不便を感じたシニア世代が「個々の趣味に打ち込める平屋がほしい」と訪れるケースもあるという。
では、住宅購入目的で試泊するという利用者は多いのだろうか。「そうであれば何よりですが、これからですね。今のところ、宿泊はホテル利用目的の人が大半です。住宅購入を検討する人には宿泊料の割引サービスもありますが……」と鴨下さん。
宿泊利用者は、関東や関西からレジャー目的で訪れるファミリーや、近場から来て女子会を開くグループなど。ただ、中には「2棟を借りたので比較できた。家が欲しくなった」というグループや、「宿泊が二地域居住を考えるきっかけになった」という人もいたという。
時間が経つにつれて変化する気温や採光、音の響き方など、宿泊しないと分からないことはたくさんありそう。
それに泊まりなら、一晩中細部をチェックしてもいい。キッチンからの眺め、子どもが遊ぶ様子、風呂場の開放感、間取りや動線など、この家での暮らしを体感し、具体的に思い描くことができる。実際に、電気をつけたり消したりして明るさを確認したり、キッチンの使い勝手を入念にチェックする人もいるよう。
鴨下さんは「設備や仕様だけでなく、仕切られていない家での過ごし方や吹抜けがある開放感など、日常とは違う家で過ごす豊かな時間を感じて欲しいですね」と話す。
遊び感覚で建物との相性を確認できる、住宅展示場の体験試泊。機会があればぜひお試しを。
ただ見学するだけでなく、気になる1棟に実際に宿泊してみることで、自分の理想のライフスタイルが見えてくるかもしれない。逆に「ここは違うな」と思っていた家が、泊まってみたら「意外といいかも!」というケースもあるだろう。住宅会社のイベントなどでも時々見かける体験試泊。試すと得るものが大きいかも。
●取材協力この記事のライター
SUUMO
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『SUUMOジャーナル』は、魅力的な街、進化する住宅、多様化する暮らし方、生活の創意工夫、ほしい暮らしを手に入れた人々の話、それらを実現するためのノウハウ・お金の最新事情など。住まいと暮らしの“いま”と“これから= 未来にある普通のもの”の情報をぎっしり詰め込んで、皆さんにひとつでも多くの、選択肢をお伝えしたいと思っています。
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