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多くのハイグレードマンションが集積し、住宅市場では常に熱い視線を注がれている千代田区の番町エリア一帯。今回紹介する番町パークハウスは、そんな四番町に立地するマンションだ。
造園会社を変更。将来を見据えて庭を守る
番町パークハウスの大きな特徴のひとつが、3700m2超の敷地のうち約36%を緑化しているという贅沢なランドプランだ。管理組合理事の加藤繁氏は次のように言う。
「従前は地権者の方の私邸でしたが、代々、庭を大切に守ってきたそうです。そのため、デベロッパーにマンション開発を任せる際は、できる限り庭を残すよう要請したのです。この方はマンションの完成を待たずに急逝なさったのですが、遺族のみなさんのご厚意で、地権者の方が住むはずだった1階の住戸は、庭を愛でられる共用施設のダイニングサロンとして入居者に開放されることになりました」
こんな経緯があるため、入居者の誰もが庭を大切な財産としてとらえているのだという。ダイニングサロンは入居者が貸し切ることもできて、1時間当たり1500円と、手ごろな価格設定になっている。
管理面では、季節ごとに剪定を続け、以前と変わらぬ姿を維持してきた。
「しかし、『今後は樹木の入れ替えや将来を見据えた計画立案などが必要になってくる』と造園会社の担当が申し出てくれたのです。そこで新年度からは、より規模が大きく、対応力のある造園会社にお願いすることになりました」
10年間で大半の世帯が理事を経験。懇親会などのイベントも開催この物件のもうひとつの特徴は、10年間でほぼ全世帯が管理組合理事を経験していることだろう。竣工から年月が経過すると、理事会では、マンションの修繕や規約の見直しなど、さまざまな課題に直面するものだ。入居者の多くが理事を経験していれば、管理組合に対する理解度も深まる。課題解決を目指す上では心強いはずだ。
「入居者同士が交流を育めるような場の提供も大切だと考え、3年前からは防災訓練と懇親会をセットにして実施しています」
加藤氏は、今後も交流の場を増やしていきたいという。
「お互い顔見知りになっていただくだけでも、マンション内の雰囲気は和むものです。このような取り組みを重ねることで、入居者全員の相互理解で合意形成できるような管理組合にしたいと思っています」
開発段階から従前の庭を残し、現在まで大切に引き継がれてきているのが素晴らしい。加えて、庭にあった石碑を一般公開しているそうだが、一帯が積み重ねてきた歴史を重んじる姿勢があると、周辺住民にリスペクトされ、地域でも愛されるマンションになるはずだ。なお、庭園や植栽は、15年ほどの周期で樹木の植え替えや土壌の入れ替えなど、大がかりな手入れが必要になるものだ。前もって正直に進言したという。造園会社の担当にも、おそらくコストが上がるにもかかわらず将来を見据えて意見を聞き入れた管理組合にも賛辞を贈りたい。入居者同士の交流をうながしたいという話だが、簡単・小規模で構わないので、まめに開催することをお勧めしたい。
管理組合の理事会は上のような組織体系で、計8 名。任期は1 年間で、立候補制で選出している(立候補がない場合は輪番制)。竣工から10年経過し、おおむね全世帯が理事を経験したことになるという。
※この記事は『都心に住む』2017年6月号(4月26日発売)からの提供記事です
※管理組合のルールや方針は変更される場合があります
この記事のライター
SUUMO
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『SUUMOジャーナル』は、魅力的な街、進化する住宅、多様化する暮らし方、生活の創意工夫、ほしい暮らしを手に入れた人々の話、それらを実現するためのノウハウ・お金の最新事情など。住まいと暮らしの“いま”と“これから= 未来にある普通のもの”の情報をぎっしり詰め込んで、皆さんにひとつでも多くの、選択肢をお伝えしたいと思っています。
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