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IT化が進む不動産業界で今度は遠隔接客なるサービスが登場。どんなことができるのか、さっそく体験してみた。
遠く離れた店舗の担当者とテレビ電話で会話ができる
バーチャル・リアリティでモデルルームを仮想見学したり、家がいくらで売れるかを人工知能で自動的に査定したりと、不動産業界でもさまざまな場面でIT化が進んでいる。今回紹介するのは、ITを使って接客をするサービスだ。
大京穴吹不動産が導入した「店舗間IT接客」は、モニターを通じて遠く離れた店舗の担当者と会話をしながら物件案内などをしてもらえるというもの。例えば転勤先などで賃貸住宅を探すときや、親の実家や投資物件など遠隔地にある住宅を売却したいときなど、現地に足を運ばなくても案内や相談をすることができる。
先日、報道関係者向けの体験会があったので行ってみた。会場のスクリーンに映し出されたデモ画面は3つに分割されており、一つにはお客役の女性の顔が映っている。女性がテレビ電話で呼び出すと、会場から離れた店舗にいる担当者がもう一つの画面に現れ、「いらっしゃいませ」とあいさつする。女性は以前大阪に転勤で住んでいたころに購入したマンションの売却について相談するという設定だ。担当者は周辺の物件相場など図表を交えて説明した。
次に画面が切り替わり、今度は東京の税理士事務所とつながった。税理士が画面に現れ、大阪にある実家マンションの相続についての相談がやりとりされる。接続まで少し時間がかかるが、その後の会話はスムーズだ。担当者の表情が映り、図表や間取りを見ながら説明を受けられるので、実際に会って話すのとさほど変わらない。
同社では全国の73店舗にこのシステムを導入している。利用を希望する人は電話で予約をすることで、最寄りの店舗に設置されたモニターを通じて希望するエリアの担当者と会話することができる。また店舗スタッフだけでなく、首都圏と大阪の店舗では、税理士への相談も可能。今後は、ファイナンシャルプランナー、介護職員など提携企業の担当者とも相談を可能とする予定だ。このシステムを使って、今年10月から本格運用(予定)の賃貸取引における物件の重要事項説明もできるようにする予定だという。
ショッピングモールで、買い物ついでにVRと遠隔接客で部屋探しさらに7月には、買い物ついでにVRを用いたIT接客が受けられる無人店舗がイオン品川シーサイド店に登場した。2階フロアの一角に設けられたその『どこでもストア(TM)』は、大人が2人ほど座れるボックス状の形をしており、中にはモニター画面とゴーグルが設置されている。このゴーグルでVR(バーチャル・リアリティ)の画像が見られる仕組みだ。
さっそくゴーグルをのぞいて見ると、モデルハウスの室内が映し出された。VRなので、見たい方向に顔を向けると画像も同じ方向に移動する。図面や写真だけでは分かりにくい天井の高さや空間の広さなども実感できる。足元を見ると間取り図が表示されているので、自分のいる場所や見たい部屋などが視覚的に分かりやすい。
実際の店舗にいる担当者を呼び出すことも可能だ。モデルハウスの画像の中に担当者の顔が現れ、物件を案内してくれる。会話もできるので、「この物件は築何年ですか?」「2階からの眺望を見たいのですが」などと質問するとすぐ答えてくれた。
この『どこでもストア(TM)』に物件を掲載しているのは、三菱地所と大京穴吹不動産、フォーメンバーズの3社だ。システムのVR技術はナーブ株式会社が担当した。「『どこでもストア(TM)』はVRを活用した遠隔接客店舗のプラットフォームなので、多くの不動産会社に出店してもらうことができます」と話すのは、フォーメンバーズの親会社であるギガプライズ代表取締役社長の梁瀬泰孝さんだ。同社によると、2017年度内に首都圏の商業施設を中心に25カ所への設置を目標にしているという。
遠く離れた場所にある不動産会社の担当者に相談できたり、買い物のついでに気になる部屋を案内してもらえれば、家の売買や部屋探しがもっと気軽にできるようになりそうだ。ITの活用による不動産業界のさらなる進化に今後も期待していきたい。
●取材協力この記事のライター
SUUMO
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『SUUMOジャーナル』は、魅力的な街、進化する住宅、多様化する暮らし方、生活の創意工夫、ほしい暮らしを手に入れた人々の話、それらを実現するためのノウハウ・お金の最新事情など。住まいと暮らしの“いま”と“これから= 未来にある普通のもの”の情報をぎっしり詰め込んで、皆さんにひとつでも多くの、選択肢をお伝えしたいと思っています。
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